Real~Beginning of the unreal〜

美味いもん食いてぇ

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2章

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「あ、人。わぷっ」

「はい俺の勝ちっ。あ?ほんとだ」

 空中でノエルを袋に詰めた東条は、吹き抜けを飛び越え、そのまま三階の手すりにへばりつく。

 眼下には、目を丸くして此方を見上げる三人の男女がいた。

(んー。……あれ?身体強化してないのかあいつら)

 身体強化を使う者に対しては、全身を覆う様な凝縮した魔力の気配を感じ取れる。

 今まで会って会話してきた人は皆鎧を着ていたが、彼等のそれは例えるならTシャツだ。
 魔力を帯びていないゴブリンの一撃ですら危うい。

(魔力量は多いのに、勿体ない)

 バットと女もそれなりに多いが、何より先頭のクソったれイケメンが突出している。

 キュクロプスや紅には届かないまでも、快人よりあるのではなかろうか?

 しかしまあ、そもそも身体強化自体常識というわけではない。

 ヤクザ三人組の様に勘で出来る者もいれば、自分や快人の様にロマンから到達する者もいる。
 彼等にはその両方が無かったというだけだ。

 そんなことを考えながら三人を見定めていると、

「一度下りてきてくれないかっ?話がしたい!」

 クソったれイケメンが声を張り上げた。

 別に断る理由はないし、とジャンプして彼等の前に降り立つ。

 目を丸くして驚愕する三人に、ちょっぴり優越感が湧き上がってしまう。

「初めまして。まさと言います」

「これは丁寧に、俺は新と言います。
 単刀直入に言いますが、その袋に入った少女を開放していただきたい」

「……?」

 よく見れば、クソったれイケメンの新の顔は怒りと警戒に尖っている。
 後ろの二人も似たようなもの。

 東条は何故かと考えるも、すぐに思い至った。
 あの一部始終を見ていれば、女児誘拐犯と間違われても仕方ない。

「ああ大丈夫ですよ。こいつ俺の相棒なんで」

「……信じられるわけがないだろう」

「えぇ……」

 説得を試みるも、返ってきたのは不審者への拒絶。
 もしや面倒臭いタイプの人間か?と眉間に皺が寄るも、

「そんな格好で女子を追いかける奴が、まともなはずがないっ!」

「……忘れてた」

 次の言葉で全てを理解した。

 前言撤回、この男は正常だ。まともな価値観を持っている。

「返す言葉も無いわ。おいノエル、お前もそろそろ出てこい。このままじゃ逮捕されちまう」

 自分での説明を諦めた東条は、袋の中で今の状況を楽しんでいる彼女に助けを求める。

 すると、もぞもぞと袋が蠢き、

「ぷはっ」

 首とカメラだけの奇怪な生物が顔を出した。

「問題ない。ノエルはこの変態の相棒。鬼ごっこしてた。カメラ撮って良い?」

「え、あぁ、カメラ?……いいけど、え?」

 怒涛の説明と質問に、新も何とか食いつく。
 そこで何かを思い出したのか、ふ、と彼の目が二人を交互に見た。

「……ノエルに白髪に、カメラって、まさか」

「配信者のお二方ですか!?こんな所でお会いできるなんて」

「ってことはあんたカオナシさんか?そんな趣味だったのか」

 三人同時に驚きの声を上げる。
 彼等のコロニーの中でも、二人の動画は多くの者が見ていたのだ。

「ん?ちょい待て。これはこいつに着せられたんだ。断じて俺の趣味じゃない」

「あ、ああ。分かった」

 そこだけは何としても理解してもらわなければ。今後の尊厳に関わる。

 迫る髭面に、流石の嶺二もたじろいだ。

「あとカオナシさんって何だ?俺の事か?」

 初めて聞く名前に疑問が浮かぶが、そこはノエルが説明してくれた。

「まさいつも顔隠してるから、カオナシさんって呼ばれてる」

「あーなるほど。……結構いいじゃん」

 アーアー言いながら手から金塊を出すことはできないが、呼びやすいし親しみやすいあだ名だと思う。

「すみませんでした。先程は失礼なことをいってしまいました」

 頭を下げる新に、東条は笑って手を振る。

「いやいや止めて下さい。悪いの確実にこっちですから、視聴者に叩かれてしまいます」

「そう言って貰えると助かります」

 甘いマスクで許しを請う美丈夫。照れ笑いもイケメンだなー、と無心に思う東条であった。
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