こんなスローライフは想定外!~いつの間にか、親友を虜にしてしまっていたようで!?~

うみくも

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Step2 バグった距離感は、矯正不可のようで……

暴露…からの発狂

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「アイザック。話を振ってきたのはお前だからな? こうなったら、最後まで付き合えよ?」


「え…? 何、その怖い前振り…?」


 いつもより低い声でノクスにそう言われて、オレは戸惑うことしかできなかった。


 ちょっと待って?
 男が気になる女子の話をするのって普通だよね?
 なんでこんなに地雷臭が漂ってるの?


「おれはな、自分がモテることはよく知ってるんだ。」


 あ、どうしよう。
 心の準備をする前にノクスが語り始めちゃった。


「フィルみたいにトラウマがあるってわけじゃないし、恋愛にもそれなりに興味はあるんだ。あるんだけど……」


 何か言いにくいことがあるのか、そこで言葉を区切るノクス。


 なんとも言えない微妙な沈黙を気合いでやり過ごしていると、腹をくくったらしいノクスが盛大な溜め息をついた。


「周りの女子がかすむくらい圧倒的に可愛い奴が、常におれの隣にいるんだよなぁ……」


「…………ハッ!!」


 察してしまった時の衝撃を、どう表現したものか。
 青天の霹靂へきれきって、まさにあのことを言うんだよな。


「あの、その……そんなに可愛いのか?」


「圧倒的にって言ったばっかだろ。ヴァリアじゃ、おれしか味方がいないってのも分かる。おれの肩身が狭いんじゃないかって気にするのも分かる。でもな、事あるごとにおれのために行動されて、姿を見かける度にキラキラした顔で寄ってこられてみろ。意識するなって言われる方が無理じゃね…?」


「あー……えー……」


「そうでなくとも、ヴァリアに行く前からだなぁ…っ」


 ふるふると大きくなっていくノクスの震え。
 かけてあげられる言葉も見つけられないまま、時間だけが過ぎて―――


「だああぁぁーっ!! こうなりゃ自棄やけだあぁぁーっ!!」


 とうとう、ノクスが発狂してしまった。


「なあ! 自惚うぬぼれだって思うなら、はっきりとそうだって言ってくれ!! フィルの奴、おれのこと好きじゃね!?」


「そうだな!! 恋愛感情かどうかはさておき、圧倒的に一番好きだと思うけど!?」


 その問いかけには、問答無用で同意するしかなかった。


 そして、オレが頷いたことに安心したのか、ノクスのリミッターが本格的に外れてしまう。


「そうだよな!? ぶっちゃけ、出会ったばっかの時から、幼馴染みのお前よりもおれに懐いてなかったか!?」


「うん、そうだと思う! あのフィルが秒速で懐くなんて、天変地異の前触れかなって思ったくらいだから!!」


「だよなぁ!? 思い返してみれば、キシムで暮らしてた時もおれが常に最優先で、気付いたら隣とか後ろにちょこんといてさぁ…っ。何なんだ、あいつは!? 子犬か!? 天使か!? 紙一重で、ただのアホなのかぁっ!?」


「お、落ち着けって!! こう言っちゃ悪いけど、フィルにそういう気は皆無だと思うぞ!? 大人びてるとはいっても、まだ十二歳なんだ。好きの種類に区別なんかなくて、よくも悪くも純粋にノクスに懐いてるだけだと思うんだよ!!」


「んなことは分かっとるんじゃーっ!!!!」


 一際大きな声で叫んだノクスは、次の瞬間力尽きたように頭を抱えて脱力する。


「おれだって、フィルを困らせたいわけじゃねぇんだ。そもそも、自分がそういう性癖だって認めることにもまだ抵抗があるし。でも……でも…っ。可愛いもんは可愛いんだよ。他に目を向けようにも、フィル以外眼中に入らねぇんだよぉ……」


「あー……」


「これまで、可愛いと思った女子がいなかったわけじゃねぇよ? でもな、ごく自然に〝あー、可愛いかもなー。仕草がフィルに似てて。〟なんて思ってる自分を自覚しちゃあ、もう手遅れじゃね…?」


「んー……」


「じゃあ、フィルを意識しすぎないように距離を置いてみるか? おれ、専属護衛なんだけど? それ以前に、あんなにも可愛い生き物を遠ざけるとか、おれには無理だってえぇー……」


「……うん、分かった。好きなだけ嘆け。眠くなるまでなら、いくらでも話を聞いてやるから。」


 なんか、驚愕や複雑さを噛み締めるより前に、目の前の友人がびんに思えてならなくなってきた。


 その後、フィルの話を念仏のように連ね始めたノクス。


 嘆き半分ノロケ半分といったノクスの話を、オレはひたすらに聞いてやることしかできなかった。

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