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Step2 バグった距離感は、矯正不可のようで……
とにかくすごかった!!
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外から、微かに鳥たちが鳴く声がする。
それに意識を引き上げられて目を開くと、外はとっくに明るくなっていた。
「うぅ……今、何時…? 畑に行かなきゃ……」
ここ半年で身についた習慣が、意識半分でも体を動かそうとしてくる。
しかし……
「あれ…?」
身動ぎしようとして、体が思うように動かないことに気付いた。
自分の腹を何かが固定している。
そして、後ろにぴったりと寄り添うぬくもりが。
後ろを向くと、自分を抱いて穏やかな寝息を立てているノクスがいた。
「………」
しばらくその寝顔を凝視。
そして―――
「~~~~~っ!!」
一瞬で、昨夜の記憶がよみがえってきた。
(や……や……やっちゃった!!)
ぐるりとノクスから顔を逸らし、フィレオトールは顔を赤くして震え出す。
全然そんなつもりはなかったのに、結局最後までノクスに流されてしまった。
いやね!
全面的に悪いのは、アホな自分なんですけど!!
どうしよう。
ノクスが起きたらなんて言えばいい?
引き返せる一線なんか、軽く飛び越えましたよね!?
もしかして、今後は普通にこういうことをするの…?
こういうこと……
ぐるぐると悩むフィレオトールの顔が、どんどん赤みを増していく。
(なんていうか、その……―――とにかくすごかった!!)
思い出したら、羞恥心が止まらない。
一体全体、何回やりました?
最初こそものすごく優しかったけど、途中からとんでもなく激しくなかったですか!?
気絶するまではいかなかったけど、最後の方は息も絶え絶えで、意識も途切れがちだったんですけど?
ぼんやりと服を着たことまでは覚えているけど、倒れるように枕に飛び込んだと思ったら、そのまま意識を手放してしまった。
自分に経験がないので教えていただきたいのですが、情事ってあんなに激しいものなんです?
恋愛に夢を抱いたことがない自分は、情事なんか後継者を作るための作業くらいにしか捉えてなかった。
所詮、貴族どうしの結婚は家柄で相手が決まる義務的なものでしかないのだ。
だから、情事もそれなりにあっさりと終わるんだろうと思っていたのだけど……もしかして、この認識って違いました?
そうは思っても、生憎と答え合わせなんかできない。
だって、こんな話なんか誰ともしたことないもん。
(ああ……セレンがやたらとげっそりしてた時があったのって、まさか……)
あの時は体調でも悪いのかと思って少し心配したものだが、こういう理由だったとしたら納得。
どうりで大丈夫かと訊ねても、ごまかすように笑うだけだったわけだ。
「うああ……ノクスのばかぁ……」
「悪いのはお前だ。」
「わああああっ!?」
突然耳元に声を吹き込まれて、口から勝手に絶叫が飛び出していった。
反射的にそこから逃げようとするも、ノクスが腹に回していた腕に力を込めたせいで、その魂胆は水泡に帰す。
「こういう時は猫みたいな反応をすんのな、お前。」
「あう……あうあうあう…っ」
フィレオトールは、魚のように口をパクパクとさせる。
ちょっと待ってください。
まだ何も心の準備ができてません。
とてもじゃないけど、ノクスと顔を合わせられる状態じゃないです。
結果として黙り込むことになったフィレオトールに、ノクスはふうと軽く息を吐いた。
「体、大丈夫か?」
「え…? 体?」
訊ねられて、ようやくそちらに意識がいった。
「……なんか、めちゃくちゃ色んな所が痛い……」
ちょっと動こうとした瞬間に、腰辺りを中心に痛みが走る。
全身が筋肉痛を起こしているかのように引きつれていて、声を出しすぎたせいなのか、喉もひりひりとしている。
体が悲鳴をあげているこの感覚も、かなり久しぶりだ。
今さらながらに、猛烈に水が飲みたい。
「ううぅ……」
自覚した瞬間に体がしんどくなって、フィレオトールは体から力を抜いてぐったりとする。
すると……
―――ぽん。
ノクスの手が優しく頭に置かれた。
「へ…?」
そのまま慈しむように頭をなでられて、フィレオトールはノクスの方を振り仰ぐ。
「昨日のお返しだ。」
ノクスは、なんでもないことのようにそう告げてきた。
「え…え…?」
瞬く間に、顔に血液という血液が集まってくる。
「まさか……起きてたの…?」
「ああ。」
単純明快だったが故に、その答えは精神に大ダメージを与えてきた。
(はっず――――っ!!)
フィレオトールは顔を覆って悶える。
眠ってると思ってたから気を抜いていたのに、まさか見られていたなんて。
「い……いつから起きてた…?」
「ん? お前が外から戻ってきて、おれに近寄ってきた辺りからか?」
「最初からだーっ!!」
「いやぁ……こっちはしんどかったぞ。」
フィレオトールの頭をなでながら、ノクスは遠い目をする。
「毛布をかけて終わりかと思ったら、当然のように頭をなで始めて…。なんだこの可愛い生き物はって思ってたら、そのうち近くに座ってくるし。」
「ううう…っ」
「どうせおれが寝てるから油断してるんだろうなって思って寝たふりを決め込んでたら、あーだうーだ唸りながらも頭をなでるのはやめない。そんで動かなくなったから薄目を開けてみれば、おれの上で寝落ちしてるっていう…。その上緩んだ顔ですり寄ってくるんだからもう……」
「待って! そんなことまでしてた!?」
「してたわ。あの時のおれの頭は、〝襲うな〟と〝我慢しろ〟の二つがゲシュタルト崩壊状態だったんだぞ。おれを殺す気かよ…。正直、あの時すぐに押し倒さずにお前が起きるまで待ったおれは、褒められていいと思う。」
「いやーっ!! 起きてるなら、起きてるって言ってよ!」
「誰が。せっかくの現行犯なんだから、ごまかせないところまでやらせた上でちゃんと捕まえないといけないだろ?」
「え…?」
はたと、フィレオトールはそこで固まることになった。
それに意識を引き上げられて目を開くと、外はとっくに明るくなっていた。
「うぅ……今、何時…? 畑に行かなきゃ……」
ここ半年で身についた習慣が、意識半分でも体を動かそうとしてくる。
しかし……
「あれ…?」
身動ぎしようとして、体が思うように動かないことに気付いた。
自分の腹を何かが固定している。
そして、後ろにぴったりと寄り添うぬくもりが。
後ろを向くと、自分を抱いて穏やかな寝息を立てているノクスがいた。
「………」
しばらくその寝顔を凝視。
そして―――
「~~~~~っ!!」
一瞬で、昨夜の記憶がよみがえってきた。
(や……や……やっちゃった!!)
ぐるりとノクスから顔を逸らし、フィレオトールは顔を赤くして震え出す。
全然そんなつもりはなかったのに、結局最後までノクスに流されてしまった。
いやね!
全面的に悪いのは、アホな自分なんですけど!!
どうしよう。
ノクスが起きたらなんて言えばいい?
引き返せる一線なんか、軽く飛び越えましたよね!?
もしかして、今後は普通にこういうことをするの…?
こういうこと……
ぐるぐると悩むフィレオトールの顔が、どんどん赤みを増していく。
(なんていうか、その……―――とにかくすごかった!!)
思い出したら、羞恥心が止まらない。
一体全体、何回やりました?
最初こそものすごく優しかったけど、途中からとんでもなく激しくなかったですか!?
気絶するまではいかなかったけど、最後の方は息も絶え絶えで、意識も途切れがちだったんですけど?
ぼんやりと服を着たことまでは覚えているけど、倒れるように枕に飛び込んだと思ったら、そのまま意識を手放してしまった。
自分に経験がないので教えていただきたいのですが、情事ってあんなに激しいものなんです?
恋愛に夢を抱いたことがない自分は、情事なんか後継者を作るための作業くらいにしか捉えてなかった。
所詮、貴族どうしの結婚は家柄で相手が決まる義務的なものでしかないのだ。
だから、情事もそれなりにあっさりと終わるんだろうと思っていたのだけど……もしかして、この認識って違いました?
そうは思っても、生憎と答え合わせなんかできない。
だって、こんな話なんか誰ともしたことないもん。
(ああ……セレンがやたらとげっそりしてた時があったのって、まさか……)
あの時は体調でも悪いのかと思って少し心配したものだが、こういう理由だったとしたら納得。
どうりで大丈夫かと訊ねても、ごまかすように笑うだけだったわけだ。
「うああ……ノクスのばかぁ……」
「悪いのはお前だ。」
「わああああっ!?」
突然耳元に声を吹き込まれて、口から勝手に絶叫が飛び出していった。
反射的にそこから逃げようとするも、ノクスが腹に回していた腕に力を込めたせいで、その魂胆は水泡に帰す。
「こういう時は猫みたいな反応をすんのな、お前。」
「あう……あうあうあう…っ」
フィレオトールは、魚のように口をパクパクとさせる。
ちょっと待ってください。
まだ何も心の準備ができてません。
とてもじゃないけど、ノクスと顔を合わせられる状態じゃないです。
結果として黙り込むことになったフィレオトールに、ノクスはふうと軽く息を吐いた。
「体、大丈夫か?」
「え…? 体?」
訊ねられて、ようやくそちらに意識がいった。
「……なんか、めちゃくちゃ色んな所が痛い……」
ちょっと動こうとした瞬間に、腰辺りを中心に痛みが走る。
全身が筋肉痛を起こしているかのように引きつれていて、声を出しすぎたせいなのか、喉もひりひりとしている。
体が悲鳴をあげているこの感覚も、かなり久しぶりだ。
今さらながらに、猛烈に水が飲みたい。
「ううぅ……」
自覚した瞬間に体がしんどくなって、フィレオトールは体から力を抜いてぐったりとする。
すると……
―――ぽん。
ノクスの手が優しく頭に置かれた。
「へ…?」
そのまま慈しむように頭をなでられて、フィレオトールはノクスの方を振り仰ぐ。
「昨日のお返しだ。」
ノクスは、なんでもないことのようにそう告げてきた。
「え…え…?」
瞬く間に、顔に血液という血液が集まってくる。
「まさか……起きてたの…?」
「ああ。」
単純明快だったが故に、その答えは精神に大ダメージを与えてきた。
(はっず――――っ!!)
フィレオトールは顔を覆って悶える。
眠ってると思ってたから気を抜いていたのに、まさか見られていたなんて。
「い……いつから起きてた…?」
「ん? お前が外から戻ってきて、おれに近寄ってきた辺りからか?」
「最初からだーっ!!」
「いやぁ……こっちはしんどかったぞ。」
フィレオトールの頭をなでながら、ノクスは遠い目をする。
「毛布をかけて終わりかと思ったら、当然のように頭をなで始めて…。なんだこの可愛い生き物はって思ってたら、そのうち近くに座ってくるし。」
「ううう…っ」
「どうせおれが寝てるから油断してるんだろうなって思って寝たふりを決め込んでたら、あーだうーだ唸りながらも頭をなでるのはやめない。そんで動かなくなったから薄目を開けてみれば、おれの上で寝落ちしてるっていう…。その上緩んだ顔ですり寄ってくるんだからもう……」
「待って! そんなことまでしてた!?」
「してたわ。あの時のおれの頭は、〝襲うな〟と〝我慢しろ〟の二つがゲシュタルト崩壊状態だったんだぞ。おれを殺す気かよ…。正直、あの時すぐに押し倒さずにお前が起きるまで待ったおれは、褒められていいと思う。」
「いやーっ!! 起きてるなら、起きてるって言ってよ!」
「誰が。せっかくの現行犯なんだから、ごまかせないところまでやらせた上でちゃんと捕まえないといけないだろ?」
「え…?」
はたと、フィレオトールはそこで固まることになった。
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