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Step6 事件発生!思いつきの船旅で大ピンチ!?
初対面の恒例行事
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乗った船は、豪華客船と呼ぶには十分な設備を揃えていた。
落ち着いたラウンジを始め、様々な料理を楽しめるレストランの数々。
ショーや舞台が楽しめるホールに、外の景色をゆったりと眺められるデッキ、体を癒せるリラクゼーション施設まで。
二週間の旅路を飽きさせない工夫が、至るところに散りばめられていた。
とはいえ、雲の上のように手が届かないレベルかというとそうでもない。
階層や部屋の位置で細かくグレードが分けられているらしく、ちょっとお金を貯めれば庶民でも船に乗ることができるそうだ。
その証拠に、船内には様々な身分の人がいた。
ゼクが予約してくれた部屋も、このくらいの贅沢ならたまにはいいかと思えるくらいの豪華さだ。
おまけに、幅広い客層を取り込んでいるこの船には、庶民と同じ空気を吸いたくないからと、無駄にプライドが高くてめんどくさい貴族は乗ってこないときた。
変装具で姿を変えているとはいえ、いつ誰が見ているか分からない以上、貴族が少ないのは非常にありがたい。
「んーっ! 風が気持ちいいーっ!」
荷物を整理するや否や部屋を飛び出したフィレオトールは、デッキで潮風を浴びながら大きく伸びをした。
後方には徐々に離れていく港、前方には遥か先まで広がる真っ青な海。
なんて素敵な光景でしょうか。
「お、綺麗な子はっけーん!」
「君たち、あれでしょ? 勇者とそのお供でしょー?」
ふと、近くで鳥と戯れていた精霊たちが声をかけてくる。
下を見れば、海からも何人かの精霊たちが飛び出してくるところ。
もう慣れた展開だ。
とりあえず防音結界を張って、周囲に不審に思われないように幻影魔法もかけておくとしよう。
「みんな、はじめまして。僕のことはフィルって呼んで。」
「フィル、フィルー♪」
「聞いたことあるよー。」
遊ぶように周囲を舞う精霊たちは、どこか嬉しそう。
ついでに彼女たちと遊んでいた鳥まで肩や頭に止まってきたけど、まあ気にしないってことで。
「ところで、君たちの女王様は近くにいる? いるならご挨拶したいんだけど。」
「ううん、いなーい。」
「女王様、海底にいるから。」
「でも、フィルの声は聞こえてると思うよ。」
「そっか。なら……」
フィレオトールは胸に片手を当て、そっと目を閉じる。
(略式のご挨拶で申し訳ありません。一時的にあなたの領域を通ること、どうかお許しください。)
この辺りの海域を守っている精霊の女王に向けて、心の中でそう念じる。
すると、船のすぐ近くで一匹のイルカが高く飛び上がった。
そして、イルカが着水すると同時にあがった盛大な水飛沫がフィレオトールとノクスを直撃する。
「……うん。どうやら、歓迎してもらえたみたいだね。」
すっと海水を拭ったフィレオトールは、特に動じることなく表情を緩めた。
「お前は本当にマメだよな。精霊たちの歓迎方法が変わってるって分かってて、なんでわざわざ挨拶するかな。」
「精霊たちにはいつも助けてもらってますからね。その分の礼儀は尽くさないと。それに、この程度の悪戯は可愛いもんだよ。」
「さすが、精霊マスターは言うことが違うな。」
巻き込まれ事故でずぶ濡れになったノクスは、大きな溜め息をついてフィレオトールの肩に手を置いた。
「ほら、早く中に戻るぞ。」
「ええぇーっ!!」
不満げな声をあげたのは、フィレオトールではなく周囲の精霊たち。
それに触発されてしまったらしく、途端に鳥たちがノクスの周囲を飛び回りながら鳴き声の大合唱を浴びせる。
「わっ!? お前ら、おれが悪者みたいに鳴いてくるな! このままじゃ風邪を引いちまうだろが!! フィルが寝込んだらどうしてくれる!?」
「あああ…っ。待って、ブレスレットが足に引っ掛かってる!!」
抗議中の鳥たちから顔をかばっていたら手首につけていたブレスレットが外れかけてしまい、フィレオトールは大焦り。
このブレスレットは、自分の見た目を変えつつ周囲への魅了作用を緩和してくれる、外出時のマストアイテム。
予備は持ち歩いているけれど、周囲に人がいる場所でこれが外れるのは非常にまずい。
「みんな、またあとで! 夜になったら好きなだけ付き合ってあげるから、とりあえず着替えさせてーっ!!」
ある意味超弩級のピンチに陥り、フィレオトールはたまらず甲高い声で叫ぶ。
その後、精霊たちをなだめるのに必死になった結果、さすがに騒がしさを感知した周囲の人々への言い訳にものすごく苦労した。
落ち着いたラウンジを始め、様々な料理を楽しめるレストランの数々。
ショーや舞台が楽しめるホールに、外の景色をゆったりと眺められるデッキ、体を癒せるリラクゼーション施設まで。
二週間の旅路を飽きさせない工夫が、至るところに散りばめられていた。
とはいえ、雲の上のように手が届かないレベルかというとそうでもない。
階層や部屋の位置で細かくグレードが分けられているらしく、ちょっとお金を貯めれば庶民でも船に乗ることができるそうだ。
その証拠に、船内には様々な身分の人がいた。
ゼクが予約してくれた部屋も、このくらいの贅沢ならたまにはいいかと思えるくらいの豪華さだ。
おまけに、幅広い客層を取り込んでいるこの船には、庶民と同じ空気を吸いたくないからと、無駄にプライドが高くてめんどくさい貴族は乗ってこないときた。
変装具で姿を変えているとはいえ、いつ誰が見ているか分からない以上、貴族が少ないのは非常にありがたい。
「んーっ! 風が気持ちいいーっ!」
荷物を整理するや否や部屋を飛び出したフィレオトールは、デッキで潮風を浴びながら大きく伸びをした。
後方には徐々に離れていく港、前方には遥か先まで広がる真っ青な海。
なんて素敵な光景でしょうか。
「お、綺麗な子はっけーん!」
「君たち、あれでしょ? 勇者とそのお供でしょー?」
ふと、近くで鳥と戯れていた精霊たちが声をかけてくる。
下を見れば、海からも何人かの精霊たちが飛び出してくるところ。
もう慣れた展開だ。
とりあえず防音結界を張って、周囲に不審に思われないように幻影魔法もかけておくとしよう。
「みんな、はじめまして。僕のことはフィルって呼んで。」
「フィル、フィルー♪」
「聞いたことあるよー。」
遊ぶように周囲を舞う精霊たちは、どこか嬉しそう。
ついでに彼女たちと遊んでいた鳥まで肩や頭に止まってきたけど、まあ気にしないってことで。
「ところで、君たちの女王様は近くにいる? いるならご挨拶したいんだけど。」
「ううん、いなーい。」
「女王様、海底にいるから。」
「でも、フィルの声は聞こえてると思うよ。」
「そっか。なら……」
フィレオトールは胸に片手を当て、そっと目を閉じる。
(略式のご挨拶で申し訳ありません。一時的にあなたの領域を通ること、どうかお許しください。)
この辺りの海域を守っている精霊の女王に向けて、心の中でそう念じる。
すると、船のすぐ近くで一匹のイルカが高く飛び上がった。
そして、イルカが着水すると同時にあがった盛大な水飛沫がフィレオトールとノクスを直撃する。
「……うん。どうやら、歓迎してもらえたみたいだね。」
すっと海水を拭ったフィレオトールは、特に動じることなく表情を緩めた。
「お前は本当にマメだよな。精霊たちの歓迎方法が変わってるって分かってて、なんでわざわざ挨拶するかな。」
「精霊たちにはいつも助けてもらってますからね。その分の礼儀は尽くさないと。それに、この程度の悪戯は可愛いもんだよ。」
「さすが、精霊マスターは言うことが違うな。」
巻き込まれ事故でずぶ濡れになったノクスは、大きな溜め息をついてフィレオトールの肩に手を置いた。
「ほら、早く中に戻るぞ。」
「ええぇーっ!!」
不満げな声をあげたのは、フィレオトールではなく周囲の精霊たち。
それに触発されてしまったらしく、途端に鳥たちがノクスの周囲を飛び回りながら鳴き声の大合唱を浴びせる。
「わっ!? お前ら、おれが悪者みたいに鳴いてくるな! このままじゃ風邪を引いちまうだろが!! フィルが寝込んだらどうしてくれる!?」
「あああ…っ。待って、ブレスレットが足に引っ掛かってる!!」
抗議中の鳥たちから顔をかばっていたら手首につけていたブレスレットが外れかけてしまい、フィレオトールは大焦り。
このブレスレットは、自分の見た目を変えつつ周囲への魅了作用を緩和してくれる、外出時のマストアイテム。
予備は持ち歩いているけれど、周囲に人がいる場所でこれが外れるのは非常にまずい。
「みんな、またあとで! 夜になったら好きなだけ付き合ってあげるから、とりあえず着替えさせてーっ!!」
ある意味超弩級のピンチに陥り、フィレオトールはたまらず甲高い声で叫ぶ。
その後、精霊たちをなだめるのに必死になった結果、さすがに騒がしさを感知した周囲の人々への言い訳にものすごく苦労した。
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