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Step8 縁切り魔族降臨!? 強制テレパシーで大混乱!
どちらも重症
しおりを挟む「あ…」
昨日と同じように自分たちを包んだ風がやんだ後、フィレオトールとノクスは目を見開いて顔を見合わせた。
しばらくの無言の後―――
「やったーっ! ようやく消えたーっ!!」
二人は手を取り、涙を浮かべながらテレパシーから解放されたことを喜んだ。
まるで、難病の手術が成功したかのような喜びよう。
果てには抱き締め合うバカップルに、ジノンの脳内血管がぶつりと切れる。
「あんたらはアホなのーっ!! 人間らしい知性はどこいったわけ!?」
「知性があるから逆に耐えらんねぇんだよ! こんなに可愛くて健気な寂しがり屋、手放しておけるわけねぇだろうが!!」
怒鳴ったジノンに、ノクスが負けない勢いで反論する。
それを聞いたジノンは、さらに目を三角に。
「あんた、可愛いが全部の免罪符になると思わないでよ!? 童貞をこじらせた性欲バカみたいになってるからね!?」
「うるせぇ!! 可愛いもんは可愛いんだから、仕方ねぇだろ!?」
言葉の勢いが余ったのか、ノクスがフィレオトールを抱く腕にきつく力を込める。
すると、フィレオトールが少し驚いたように瞼を叩いた。
ノクスとジノンが喚き散らしているせいで、自分は完全に蚊帳の外だと油断していたのか……
きゅ…
胸に回されたノクスの腕に触れる手にささやかな力を込めて、ふんわりと気の抜けた微笑みを浮かべるフィレオトールであった。
もちろん、その一部始終はノクスもジノンもばっちりと目撃しており……
「ほらなーっ!?」
「はいはい、そうね! 惚気は一旦もう大丈夫よ!!」
また爆発する双方。
「ちょっと、フィル! なに素知らぬ顔してんのよ! あんたもあんたよ!?」
「ええっ!? 僕!?」
「当たり前じゃない! あたしっていう第三者がいる前で、よく恋人を煽れるわね!?」
「ほえ…? 僕、なんか変なことした…?」
こてんと小首を傾げるフィレオトール。
瞬間、その場の―――主に、ジノンの周囲の空気が凍った。
「嘘でしょ!? あんた、それ無意識なの!?」
「へっ…? えっ…?」
「え、じゃないわよ!! その手は何って話よ!?」
「手…?」
ジノンに言われて、自分の両手を見下ろすフィレオトール。
次の瞬間、ジノンの指摘の意味を理解したのか、その顔が真っ赤に染まった。
「あわわわわっ…。こ、これはその…っ」
「どうだ。これが、無自覚天然天使の実態よ。」
慌てて離れようとするフィレオトールを腕の中に閉じ込め、ノクスはふんと鼻を鳴らす。
それ見たことか。
おれは悪くない。
態度でそう語るノクスに、ジノンは深く溜め息をついた。
「あんたねぇ…。本性は一体どっちなのよ。免疫ゼロのウブっ子? それとも、壊れるくらいに抱かれたいエロっ子?」
「……うにゃーっ!?」
デリケートゾーンに容赦なく切り込まれ、フィレオトールは瞬く間に沸騰状態に陥ってしまう。
「あう……う……」
「どうしたのよ? 言ってみなさいな?」
「うう…っ」
「んー?」
「~~~っ」
答えられない問いにテンパったフィレオトールは、最終的に逃げるようにしてノクスの胸に顔をうずめた。
「……これは、紙一重ね。」
「たまらんだろ?」
苦い感想を零すジノンに対して、フィレオトールを抱き止めるノクスはご満悦。
とにもかくにも、この二人の間にはヒビすら入っていないことだけは分かった。
ここはもう潔く……
「―――はあぁ…。悔しいけど、あたしの負けよ。」
がっくりと肩を落とし、ジノンは敗北を宣言した。
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