こんなスローライフは想定外!~いつの間にか、親友を虜にしてしまっていたようで!?~

うみくも

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Step9 今さらの初デートは、何かがおかしいような…?

可愛さは核爆弾級

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(ん…? なんか、急に大人しくなったな……)


 ささやかな変化を、ノクスは敏感に感じ取る。


 何かあったのだろうか。
 今までにはなかった静まりだ。
 これは、少しばかりいじめすぎてしまったかもしれない。


 フィレオトールの感覚を研ぎ澄まさせるためとはいえ、目隠しをしてしまうと、こちらも彼の表情から感情を読み取りにくくなるのが難点だ。


「フィル…?」


 研究中止も視野に入れ、ノクスはフィレオトールの目元からネクタイを取ってやることにする。


「ノクス…?」
「悪い、お前にはハードル高かったな。手もほどいてやるから。」


 というか、ネクタイもリボンも、ほどこうと思えば自分でほどけるんだけどな。
 本当に素直すぎて、こういう時は心配になる。


「ほら。これで大丈夫―――」


 リボンを取り去った瞬間、何かがぶつかってきて視界が揺れる。
 せつ的に平衡感覚が狂って、意識が黒く塗り潰された。


「おお…っ」


 ベッドに尻餅をつくことになったノクスは、そんな一言を呟くしかなかった。


 半裸で膝に乗ってくるとは、なんて大胆なんだ。
 おかげで、すげー構図になってるぞ。


「………」


 潤んだ瞳をして、熱っぽいまなしでこちらを見つめるフィレオトール。
 その全身から、むせ返るほどに甘い香りが立ち上ったよう思えた。


(おっと…。これは、上手いこと理性を吹っ飛ばせたか…?)


 フィレオトールには詳しく言わなかったが、今日の研究コンセプトはべた甘。


 先ほど告げた言葉に嘘はないが、とことん甘やかした上で物語のように優しく語りかけてやろうと、攻め方にも雰囲気作りにもこだわった。


 何はともあれ一安心。
 雰囲気の変化が研究を嫌がった故のものでなくてよかった。


(それにしても、エロい顔……)


 頭がしびれて眩暈めまいがするほどに甘く見えるこの表情。
 それで思い出すのは、フィレオトールが船で媚薬を盛られた夜のこと。


(上手く誘導すれば、おねだりが聞けるかもしれんな。)


 そう思ったノクスは、あやしい微笑みを浮かべる。


 嫌がっていないなら遠慮は無用。
 心置きなく研究を続行できる。


「なあ、フィル……今日は、このまま上に乗ってこいよ。」


 一歩どころか百歩くらい踏み込み、そんな提案を吹っかけてみる。


「上…?」
「そう。このまま……」


 甘くささやきながら、念入りにほぐした蕾に熱棒の先端を押し当てる。
 すると―――


「ん…」


 切なげに眉を寄せながら、フィレオトールがゆっくりと腰を落とし始めた。


(おい、いいのか!?)


 てっきり赤面して拒まれると思っていたので、自分で提案しておきながら狼狽うろたえてしまった。


「あ……ああっ!!」
「………っ」


 その狼狽ろうばいも、快楽と甘い雰囲気の大波にさらわれそうになる。


「は……う……これで、いい…?」
「ああ……いいんだけど……」


 お前、本気で大丈夫か?
 明日になって、恥ずかしさで死んでも知らんぞ?


 まさかの行為に思わずそう言いかけて、ノクスはそこで固まることになる。


 泣き出す一歩手前で、熱い吐息を漏らす扇情的な表情。
 自分の体を支えるので必死なのか、小刻みに震える体。


 明日の精神のためにも、早く体勢を変えてやった方がいいと訴える理性。
 どうせなら、とことん楽しめばいいだろうとささやく煩悩。


 二つが衝突した結果、せめぎ合いすら起こらずに煩悩が圧勝。


「……ふふ。」


 知らぬうちに、テンション高めの忍び笑いが零れてしまうノクスだった。


「くたくたで力入らないくせに、何力んでんだよ。いつもみたいに楽にしてろ。」


 片手でさらさらとした髪の感触を楽しみながら、もう片方の手でやんわりと腰をなでる。


「あっ……ああっ!!」


 結果的にこちらを一番深くまで受け入れることになったフィレオトールは、高い矯声をあげて悶えた。


「ノクス…っ。だめ、これ…っ」
「だめってことは、好きってことか?」


 意地悪心を止められず、ついそんな風に訊ねてしまう。


「ほら……どうなんだ?」


 ああもう、こりゃだめだ。
 楽しくてたまらない。


 さあ、いやいやと可愛く否定してみろよ。
 もっと追い込んでやるからさ。


 明日のことなんてどうでもよくなって、ノクスはフィレオトールの頬をなでて迫る。
 だが……


「―――うん。」


 まさかにまさかの展開で、フィレオトールが素直に頷いてしまった。


「……えっ!?」


 ちょっと待て。
 今の、聞き間違いか?
 幻か?


 驚いた理性が幻説でごまかすより先に、フィレオトールが首に両腕を回してぎゅっと抱きついてきた。


「好き…。ノクスと一番くっついていられる……」


 なんてこったい。
 鋼の理性が壊れたせいか、お口が非常に素直なことで。
 それはともかく……


(相変わらず、可愛さが天井知らずだな、おい!!)


 条件反射でフィレオトールを抱き締め返し、ノクスは悶絶する。


 お前の可愛さは、もはや核爆弾だよ!
 一度食らったら、半永久的にメロメロ効果から抜け出せないっての!!


 ちょっ……
 今はすりすりしてくんな!!
 核爆弾二投目とか、シャレにならん!!


 まずい、早くも理性が危ない。
 このまま、めちゃくちゃに抱き潰してしまいたい。


 だが待て。
 それじゃあいつもと変わらないだろ。


 衝動に負けて、こんな美味しい展開を棒に振るってのか?
 絶対に、今しか聞けない言葉や今しかできないことがあるっていうのに?


 どうすんだよ、おれ!?


「ああもう可愛い。死ぬほど可愛い。この鬼畜天使め…っ」


 華奢な体を狂おしいくらいに抱き締めて、大きく息を吐くノクス。
 そして……


「ありがとう。すっげー嬉しい。」


 渾身の理性で掻き集めた探究心で煩悩を押さえつけ、べた甘モード続行を決意した。

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