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Step10 求婚事件で破局の危機!?
オーバーキルです
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長い長いキス。
それを終えて唇を離したノクスは、フィレオトールを見つめて満足そうに笑みを深めた。
「よし、とりあえずは着替えるか。フィルのおかげで時間ができたし、今日は二人でのんびりとしよう。」
それは、窮屈な格好をしているフィレオトールを早く楽にさせてやろうという気遣いだったのだが……
「ううぅ…っ」
何故か、フィレオトールが眉を下げて涙ぐんでしまった。
「ど、どうした…?」
どうしてそんな、捨てられた子犬みたいな顔をするんだ。
自分は傍にいるのに、寂しさが増していくのは何故?
状況が読み取れず、困惑するしかないノクス。
そんなノクスのシャツを掴むフィレオトールの手に、ぎゅっと力がこもった。
「やだぁ……離れたくない。今日はずっとくっついてるぅ…っ」
涙目、上目遣い、おねだりのトリプルアタック。
その一撃の威力たるや……
「お前はおれを殺す気かーっ!!」
そう叫ばずにはいられなかった。
「可愛すぎんのもいい加減にしとけ!! 無自覚なら何をしてもオッケーだと思ってんのか!? 今の一撃でオーバーキルだよ!! そろそろマジでおれの心臓が止まるわ!!」
報酬のためだとはいえ、この状況でこんなにもフィレオトールを放置するんじゃなかった。
普通に考えれば、恋人がアプローチをかけてくる相手の元に通うなんて、どんな奴でも不安になるだろうがという話。
フィレオトールは自分の性格を熟知しているし、物事を達観しすぎている部分もあるし、事情さえ正直に話しておけば大丈夫だなんて……
イラついていたのもあって、気軽に愚痴ってしまった過去の自分をぶん殴りたい。
あれだけフィレオトールをべた惚れにさせると意気込んでおいて、フィレオトールの心の広さに甘えているのはどこのどいつだ!!
「だめ…? さすがにわがまますぎ…?」
「ちっがーう!!」
トリプルアタック、まさかの二撃目。
それに心臓が止まりそうになりながらも、ノクスは必死に言葉を紡ぐ。
「お前、マジでそれだけは誤解してくれるなよ!? お前のそれはわがままに入らんし、おれとしては嬉しい限りなんだよ!! 大歓迎なんだよ!! だけど……今は状況的にあれというか、なんというか…っ」
フィレオトールのおねだりは嬉しくてたまらないけど、そんなに可愛くなられると、それはそれでつらいなんて。
全面的に自分が悪いのだが、この複雑な心境をどう説明すればいい!?
「―――ああもう! こうなりゃ直球に言うわ!!」
考えに考えても、いい言い方が見つからない。
それに、無駄に気を回して言葉を濁したら、フィレオトールが自分を責めてしまいそうだ。
がっしりとフィレオトールの肩を掴んだノクスは、真剣な顔で率直な気持ちを伝える。
「お前な……おれにめちゃくちゃに抱き潰されたいのか? お前が可愛くてたまらん言動ばかりするから、おれはいつも性欲を抑えるのに必死なんだよ…っ。特に今は、二週間もお前に触ってないんだ。お前には無理をさせたくないけど、このままだと朝までコース一直線なんだよ…っ。それでもいいのか!?」
ストレス過多に欲求不満。
この状況で理性を手放したら、いつも以上に激しくフィレオトールを抱いてしまう自信がある。
外はまだ太陽が主役の時間帯だ。
今から朝までなんて、さすがのフィレオトールも潰れると分かる。
せめていつもの範囲で暴走をとどめるためにも、可愛い成分を分散して摂取させてくれ。
切実にそう願ったノクスだったが……
「―――それでもいい。」
フィレオトールはそう言って、ノクスに思い切り抱きついた。
「へ…?」
いつもとは真逆を行く答えに、ノクスは赤面して固まる。
そんなノクスにより一層しがみつきながら、フィレオトールはノクスの胸に顔をうずめた。
「今日はどうなってもいいから、とにかく離れたくない。僕だって、二週間も我慢しててノクスが足りないんだもん。それに……」
尻すぼみに声を小さくしたフィレオトールの耳が、ノクスと同じくらいに赤くなる。
「それに……今日は、僕もしたい気分かな………なんて……」
それはまさに、とどめには十分。
超弩級の一撃だった。
(あ、これをお預けとか無理。マジで可愛すぎる。)
すさまじきヤキモチ効果。
ウブをそのまま形にしたようなフィレオトールが、初めてド直球なおねだりをしてきたぞ。
フィレオトールを不安にさせたことは土下座案件だが、こんなにも美味しくて嬉しい一言を聞けるなんて。
その一言、何度でもおかわりでお願いします。
「お前なぁ……自分の発言には責任を持てよ?」
気遣いなんて単語を捨て去ったノクスは、フィレオトールをひょいと抱き上げる。
フィレオトールはそれに何も答えなかったが、必死にしがみついてノクスを離さない仕草に、彼の気持ちが赤裸々に表れていた。
〝可愛さは凶器〟
この言葉を、改めて思い知るノクスなのであった。
それを終えて唇を離したノクスは、フィレオトールを見つめて満足そうに笑みを深めた。
「よし、とりあえずは着替えるか。フィルのおかげで時間ができたし、今日は二人でのんびりとしよう。」
それは、窮屈な格好をしているフィレオトールを早く楽にさせてやろうという気遣いだったのだが……
「ううぅ…っ」
何故か、フィレオトールが眉を下げて涙ぐんでしまった。
「ど、どうした…?」
どうしてそんな、捨てられた子犬みたいな顔をするんだ。
自分は傍にいるのに、寂しさが増していくのは何故?
状況が読み取れず、困惑するしかないノクス。
そんなノクスのシャツを掴むフィレオトールの手に、ぎゅっと力がこもった。
「やだぁ……離れたくない。今日はずっとくっついてるぅ…っ」
涙目、上目遣い、おねだりのトリプルアタック。
その一撃の威力たるや……
「お前はおれを殺す気かーっ!!」
そう叫ばずにはいられなかった。
「可愛すぎんのもいい加減にしとけ!! 無自覚なら何をしてもオッケーだと思ってんのか!? 今の一撃でオーバーキルだよ!! そろそろマジでおれの心臓が止まるわ!!」
報酬のためだとはいえ、この状況でこんなにもフィレオトールを放置するんじゃなかった。
普通に考えれば、恋人がアプローチをかけてくる相手の元に通うなんて、どんな奴でも不安になるだろうがという話。
フィレオトールは自分の性格を熟知しているし、物事を達観しすぎている部分もあるし、事情さえ正直に話しておけば大丈夫だなんて……
イラついていたのもあって、気軽に愚痴ってしまった過去の自分をぶん殴りたい。
あれだけフィレオトールをべた惚れにさせると意気込んでおいて、フィレオトールの心の広さに甘えているのはどこのどいつだ!!
「だめ…? さすがにわがまますぎ…?」
「ちっがーう!!」
トリプルアタック、まさかの二撃目。
それに心臓が止まりそうになりながらも、ノクスは必死に言葉を紡ぐ。
「お前、マジでそれだけは誤解してくれるなよ!? お前のそれはわがままに入らんし、おれとしては嬉しい限りなんだよ!! 大歓迎なんだよ!! だけど……今は状況的にあれというか、なんというか…っ」
フィレオトールのおねだりは嬉しくてたまらないけど、そんなに可愛くなられると、それはそれでつらいなんて。
全面的に自分が悪いのだが、この複雑な心境をどう説明すればいい!?
「―――ああもう! こうなりゃ直球に言うわ!!」
考えに考えても、いい言い方が見つからない。
それに、無駄に気を回して言葉を濁したら、フィレオトールが自分を責めてしまいそうだ。
がっしりとフィレオトールの肩を掴んだノクスは、真剣な顔で率直な気持ちを伝える。
「お前な……おれにめちゃくちゃに抱き潰されたいのか? お前が可愛くてたまらん言動ばかりするから、おれはいつも性欲を抑えるのに必死なんだよ…っ。特に今は、二週間もお前に触ってないんだ。お前には無理をさせたくないけど、このままだと朝までコース一直線なんだよ…っ。それでもいいのか!?」
ストレス過多に欲求不満。
この状況で理性を手放したら、いつも以上に激しくフィレオトールを抱いてしまう自信がある。
外はまだ太陽が主役の時間帯だ。
今から朝までなんて、さすがのフィレオトールも潰れると分かる。
せめていつもの範囲で暴走をとどめるためにも、可愛い成分を分散して摂取させてくれ。
切実にそう願ったノクスだったが……
「―――それでもいい。」
フィレオトールはそう言って、ノクスに思い切り抱きついた。
「へ…?」
いつもとは真逆を行く答えに、ノクスは赤面して固まる。
そんなノクスにより一層しがみつきながら、フィレオトールはノクスの胸に顔をうずめた。
「今日はどうなってもいいから、とにかく離れたくない。僕だって、二週間も我慢しててノクスが足りないんだもん。それに……」
尻すぼみに声を小さくしたフィレオトールの耳が、ノクスと同じくらいに赤くなる。
「それに……今日は、僕もしたい気分かな………なんて……」
それはまさに、とどめには十分。
超弩級の一撃だった。
(あ、これをお預けとか無理。マジで可愛すぎる。)
すさまじきヤキモチ効果。
ウブをそのまま形にしたようなフィレオトールが、初めてド直球なおねだりをしてきたぞ。
フィレオトールを不安にさせたことは土下座案件だが、こんなにも美味しくて嬉しい一言を聞けるなんて。
その一言、何度でもおかわりでお願いします。
「お前なぁ……自分の発言には責任を持てよ?」
気遣いなんて単語を捨て去ったノクスは、フィレオトールをひょいと抱き上げる。
フィレオトールはそれに何も答えなかったが、必死にしがみついてノクスを離さない仕草に、彼の気持ちが赤裸々に表れていた。
〝可愛さは凶器〟
この言葉を、改めて思い知るノクスなのであった。
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