こんなスローライフは想定外!~いつの間にか、親友を虜にしてしまっていたようで!?~

うみくも

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Step12 世界一愛しい日に贈る最高の誓い

ゼクが語るあちらの動向

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 一方、主役が抜けた後も盛り上がっていたブルペノン。
 休憩がてら外に出たゼクは、壁に寄りかかって煙草の煙を吐き出していた。


「お疲れ様。」


 そんなゼクの隣に、遅れて出てきたジノンが並ぶ。


「お疲れ。久々に羽を伸ばせたか?」


「そうね、楽しかったわ。子供がいるから落ち着いてたけど、セレンとアイザックの精気もまあまあ美味しかったし。」


「お前はまた、断りもなしに精気をかじったのか。」


「倒れるほどもらってはないわよ。というか、ゼク様がもう少し構ってくれれば、フィルとノクスの精気だけで我慢できるんだけどなー?」


「う…っ。それはだな……」


「―――なーんてね。」


 一度浮かべた膨れっ面をすぐに笑みで塗り替えたジノンは、ゼクの腕に両手を絡めてその肩に頭をもたれさせた。


「ヴァリアとの同盟交渉、ようやくまとまりそうなんでしょ? 今まで、一人でよくやってきたと思うわよ。」


「まあな。長いすったもんだだったぜ。俺がそっちに集中できるように、お前もよく頑張ってくれたよ。なよっちかった穏健派の連中も最近やっと幹部らしくなってきたし、これから魔領も徐々に落ち着いていくだろ。……ま、フィルたちはどうなるか分からんが。」


「あら、何かあったの? 急に同盟交渉を受け入れ始めたから、てっきりあちらさんはフィルたちを諦めたんだと思ってたんだけど。」


「諦めたというか、方向性を変えたって言った方が正しいな。」


 甘えてくるジノンの頭をぽんぽんとなでながら、ゼクは過去の記憶を手繰たぐる。


「そもそも、同盟交渉が上手くいき始めたのは、父親を見かねた第三皇子が同盟交渉の主導権をぶん取ったからなんだ。魔族と協力関係を築いて国力を上げられるチャンスなのに、フィルたちの情報を得るために同盟を渋るなんて何を考えているんだって、俺と二人きりになった瞬間、堂々と父親の文句を言ってたぜ。」


「父親って皇帝のことでしょ? すごい図太い神経してるわね。」


「だろー? という感じで、〝それはそれ、これはこれ〟理論で同盟はさくっと締結になったわけさ。フィルたちのことは自分が個人的に捜すから、お前は今までどおり知らぬ存ぜぬを通せばいいって言われたわ。」


「大層な物言いね。フィルたちの行方を突き止める自信があるってこと?」


「アカデミーで同級生だったから、フィルのことはよく知ってんだとよ。あれはなかなかの切れ者だぞー。その証拠に、〝どうせフィルのことだから、人間が来ない魔領にでも引きこもってるんだろ〟って、あいつは見事にフィルたちの居場所を言い当ててたわ。」


「ええ? じゃあ、その皇子様はあえてフィルたちの居場所を教えなかったってことなの?」


「そうなるな。」


 心底驚いた様子のジノンに、ゼクはうんうんと頷く。


「あいつは目先の利益じゃなく、自分が死んだ後も続く国の行く末を見ている。その結果、フィルやノクスを大仰に称えるのは得策ではないと考えた。フィルたちの功績をおおやけにすれば、確かに民衆の支持は上がるだろう。だが、それはあくまでも勇者とその使徒に集まったもので皇室のものじゃない。ここで虎の威を借る狐に成り下がれば、いずれ皇室の威光は地に落ちる。だからフィルの居場所に見当はついていても黙っていたし、あえて捜索隊を的外れな場所に送ったとのことだ。」


「……あたしには難しすぎて、何が言いたいのかさっぱり。結局、その皇子様はフィルたちをどうしたいわけ?」


「そりゃもちろん、最適な時に最適な形で使うんだよ。」


 そう告げたゼクの表情が、なんともいえない笑みをたたえる。


「ここまでやきもきさせられたんだ。今の皇帝としては、フィルたちとの縁が切れずに済むなら、それがどんな関係性でも構わないと思っているはずだ。その焦りを利用して、あいつはフィルたちを個人的なジョーカーとして腹に抱えておくつもりだ。俺に最大限の誠意を尽くしたのも、これから捕まえる予定のフィルに恩を売っておくためだろうな。いやー、久々にフィル並みにおっかねぇ奴に出会ったわ。」


「うっわ、えげつな…。フィルって、味方には割と甘いじゃない。ゼク様を引き合いに出されたら、言うことを聞くしかなくなるんじゃないの?」


「それなー。……とはいえ、あいつにはフィルたちをヴァリアに連れ戻す気はないみたいだ。フィルは義務でガチガチに縛るより、自由に遊ばせておいた方が真価を発揮できるだろう。いざという時のために、化け物度合いをさらに磨いておいてくれればいいさって、高笑いしてたぞ。」


「それはそれで怖いわよ……」


「まったく。我が孫ながら、妙にしつこい悪縁ばかり作りおって。先が思いやられるな。」


 その時、唐突に第三者の声が割り込んできた。

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