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指輪という愛の証を

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悪魔はカラダを起こすと、私を抱き上げベッドの端に座り懐からなにかを取り出した。

「わたくしも、フィーとお揃いで指輪を作ってもらったのです。これは、フィーのです」

取り出した指輪は、青い石がダイヤモンドに挟まれていた。もうひとつは、緑の石がダイヤモンドに挟まれている。

「…わたくしも、フィーの指に嵌めてもいいですか」

悪魔はそっと手を取ると、私の左手の薬指に嵌めた。

「キレイだね」

「これは、フィーがわたくしに嵌めてください。これは、フィーの瞳の色です。いつも一緒にいるつもりですが、ジャポン皇国から帰ったらフィーは公務の補佐が始まりますし…でも離れていても、フィーの色を見たら寂しくなくなると思います」

悪魔は私が嵌めた指輪を見て嬉しそうに笑った。なんか、悪魔のほうが乙女みたいだよね、ロマンチックで。

「フィー、好きです。わたくしの側にいてください。わたくしを好きにならなくても、…そんなに、激しく好きにならなかったとしても、この国のご夫婦のように、わたくしを少しずつ好きになってください。いいところを見つけてもらえるように努力します」

「ギデオンさん、私は確かに恋愛対象でギデオンさんを好きになってないけど、ギデオンさんをキライではなくなったよ。初めは何この人!?って思ったけど。でも、一緒に過ごすうちに、めんどくさいしめんどくさいしめんどくさい男だとは思うけど、」

「そんなに!?」

自覚ないのかな、自分がめんどくさい男だって。

「うん。だけど、それでもキライではないよ。触られてもイヤじゃないし、キスしても嫌悪感とかないし、気持ちいいよ」

「そうですか?気持ちいいのですか、フィーも?わたくしだけではないのですね」

悪魔はまた嬉しそうに笑った。

「…たくさん勉強はしたものの、フィーに対する負い目があって、でもカラダは熱くなるばかりで、悶々としていました」

悪魔はムッツリなんだね。

「でも、今日からはもう負い目も捨てます。フィーの話を改めて聞いて、フィーを抱くことに躊躇がなくなりました。フィーを、わたくしのものにします。全部、全部、わたくしのものにします。フィーが離縁が成立するまでは子どもは作りません。それだけは約束します」

…子どもを作ることも確定なのか。

悪魔は左手同士を重ねて嬉しそうに笑うと、私の頬にチュッとした。

「フィー、あの、…ジャポン皇国にいる間は我慢します。陛下にも他所の国で盛ってくんなよ、ってキツく釘をさされましたし。ソルマーレに帰ったら、わたくしとフィーの初夜を迎えましょう」

「ギデオンさん、結婚してないんだから初夜じゃないんじゃない」

「でも!わたくしとフィーが初めて性交するわけですから!初夜です!」

やっぱり乙女、で、やっぱりめんどくさい。まあでも、私は中身が40歳だからこんなふうにどこか醒めた部分があるだけで、初めての恋愛の時には悪魔みたいに乙女だった…かも…しれない…?

「フィー。ありがとうございます。お揃いの指輪をつけて、わたくしとフィーも夫婦になったみたいです。ああ、嬉しい。さて、フィー、すべて解決したので早速寝ましょう。あ、お風呂が先ですね。今日からはたくさん触れてもいいですもんね。フフ」

「ギデオンさん、妄想に走ってるところ悪いけど、ご飯が先だよ」

このムッツリ悪魔が。
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