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第ニ章
お父様とのお話④
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「シーラから聞いたけど、ヴィーはカーディナル魔法国に行きたいんだろう?」
「はい…前回は、お母様のことも知りませんでしたし、ついぞ行くきっかけもなかったので」
お父様は、マジマジと私を見て「見た目は5歳だけど…やっぱり、中身は違うんだね」と少し寂しそうに笑った。
「…それで、提案なんだけど。
お母様の実家で、お母様のお父様…ヴィーのおじい様に、剣の稽古をつけてもらってはどうだろう?」
「稽古を、ですか…?」
「それは、ヴィーに剣を学ばせろということか?」
私とお母様の言葉がかぶる。
「そうだよ。
ヴィーに、シーラのような騎士になれというわけではない。
ただ、僕もそうだったけど、剣を学ぶということは、身体を鍛えるのはもちろんだし、相手をよく見る力も鍛えられるし。反射もよくなる。
なにより、いきなり強くなれるわけじゃないから、毎日同じことを繰り返していかないと次の段階には進めないじゃないか?
そういうことに取り組むうちに、気持ち…心?逃げたくなる、諦めたくなる、そういうことを乗り越える力がつくんじゃないかと思うんだ」
「なるほど…」
お母様は、そう言ったあとに、
「ただ、稽古をつけてくれるかどうかはわからないぞ。
結婚する、この国に住む、と決めて喧嘩になった時から、あのクソじじいとはなんの連絡もとってない。
ヴィーはまだしも、私を受け入れるかどうかわからないしな」
「それでは、お母様の実家には行けませんか…?」
心配になり私が聞くと、お母様はニヤリとした。
「お母様の実家はね、決定権はお母様のお母様にあるから大丈夫だ。
孫にも…ヴィーにも会いたいし、いつでも帰ってきていいと言ってくれてるんだが、お母様がクソじじいに会うのが嫌でね。
ずっと避けて通ってたんだよ」
だから安心して、とお母様が言う。
「それよりさ。昨日、シーラが書き出した内容を読んだけど」
お父様は、お母様を見ると
「里帰りしたいって許可を取るんじゃなくて、強行手段で帰っちゃったらどうかな?」
「強行手段?」
「うん。今回はまだ、ヴィーは妃候補に決まってるわけじゃないけど、里帰りするときにヴィーも連れて帰るって言って、どんな反応がくるか怖いんだよね。
…現にいま、ヴィーを妃に!って頭わいてるのは事実だし」
苦虫を噛み潰したような顔でお父様は吐き捨てる。
「王命だ!なんて言われたりしたら覆すのも大変だろう?
だから、保険じゃないけど…とりあえず、カーディナルに帰っちゃえばいいと思うんだ」
「…おまえは、大丈夫なのか?」
お母様が心配そうな顔になる。
「だーいじょうぶだよ!
いざとなったら、僕もカーディナルでお世話になるよ!
…どんなことがあっても、ヴィーを殺させたりしない。
少しでも危険な芽は摘んでおきたいんだよ」
お父様は、立ち上がると私のことをヒョイっと椅子から抱き上げて、自分の椅子に座り私を膝に乗せた。
「お、お父様」
「ヴィー。
僕とシーラが、必ず君を守る。
だから、心配しないで」
お父様は、私の頭を撫でる。
「…ということで。
シーラが、実家に帰るという原因を作るために、僕は明日から一週間、城に泊まり込んで仕事をするよ。
子どもができたのに、帰ってこないってどういうこと!?って、怒って実家に里帰りしちゃうってことにしよう。
一週間後、一応僕が帰ってきて、その後早々にカーディナルに飛んでほしい」
「わかった。じゃあ私も早速母に手紙を出すよ。
一週間後に飛ぶ、とね」
「ヴィー、そういうわけだから…王妃陛下からカーディナルの女王陛下に紹介していただくのは、今回は難しい。
時期を待ってくれるかい?」
後ろから私の頭を撫で続けるお父様を振り返る。困ったような顔をしているのはなぜだろう?
「もちろんです、お父様。
たくさん考えていただいて嬉しいです…ありがとうございます」
笑顔で答えると、「ヴィー!」と叫んでギュウッと抱き締められる。
「良かった!お父様なんてキライ!私が言ってること、何にも叶えてくれない!なんて言われたらどうしようかと…」
「被害妄想もいい加減にしろ」
お母様が呆れたようにお父様を見る。
「よし、じゃあそれで決まりね!
ヴィーは、とりあえず…マーサと一緒に、荷造りをするといい。
何にもしないで一週間過ごすのもなんだかドキドキしちゃうだろう?
作戦をつつがなく決行するには平常心が大切だからね!」
お父様はそう言うと「ところで、話は変わるけど」と、お母様を見る。
「今まで気にしたことなかったけど、シーラの血を受け継いでるヴィーは、魔法が使えるのかい?」
「はい…前回は、お母様のことも知りませんでしたし、ついぞ行くきっかけもなかったので」
お父様は、マジマジと私を見て「見た目は5歳だけど…やっぱり、中身は違うんだね」と少し寂しそうに笑った。
「…それで、提案なんだけど。
お母様の実家で、お母様のお父様…ヴィーのおじい様に、剣の稽古をつけてもらってはどうだろう?」
「稽古を、ですか…?」
「それは、ヴィーに剣を学ばせろということか?」
私とお母様の言葉がかぶる。
「そうだよ。
ヴィーに、シーラのような騎士になれというわけではない。
ただ、僕もそうだったけど、剣を学ぶということは、身体を鍛えるのはもちろんだし、相手をよく見る力も鍛えられるし。反射もよくなる。
なにより、いきなり強くなれるわけじゃないから、毎日同じことを繰り返していかないと次の段階には進めないじゃないか?
そういうことに取り組むうちに、気持ち…心?逃げたくなる、諦めたくなる、そういうことを乗り越える力がつくんじゃないかと思うんだ」
「なるほど…」
お母様は、そう言ったあとに、
「ただ、稽古をつけてくれるかどうかはわからないぞ。
結婚する、この国に住む、と決めて喧嘩になった時から、あのクソじじいとはなんの連絡もとってない。
ヴィーはまだしも、私を受け入れるかどうかわからないしな」
「それでは、お母様の実家には行けませんか…?」
心配になり私が聞くと、お母様はニヤリとした。
「お母様の実家はね、決定権はお母様のお母様にあるから大丈夫だ。
孫にも…ヴィーにも会いたいし、いつでも帰ってきていいと言ってくれてるんだが、お母様がクソじじいに会うのが嫌でね。
ずっと避けて通ってたんだよ」
だから安心して、とお母様が言う。
「それよりさ。昨日、シーラが書き出した内容を読んだけど」
お父様は、お母様を見ると
「里帰りしたいって許可を取るんじゃなくて、強行手段で帰っちゃったらどうかな?」
「強行手段?」
「うん。今回はまだ、ヴィーは妃候補に決まってるわけじゃないけど、里帰りするときにヴィーも連れて帰るって言って、どんな反応がくるか怖いんだよね。
…現にいま、ヴィーを妃に!って頭わいてるのは事実だし」
苦虫を噛み潰したような顔でお父様は吐き捨てる。
「王命だ!なんて言われたりしたら覆すのも大変だろう?
だから、保険じゃないけど…とりあえず、カーディナルに帰っちゃえばいいと思うんだ」
「…おまえは、大丈夫なのか?」
お母様が心配そうな顔になる。
「だーいじょうぶだよ!
いざとなったら、僕もカーディナルでお世話になるよ!
…どんなことがあっても、ヴィーを殺させたりしない。
少しでも危険な芽は摘んでおきたいんだよ」
お父様は、立ち上がると私のことをヒョイっと椅子から抱き上げて、自分の椅子に座り私を膝に乗せた。
「お、お父様」
「ヴィー。
僕とシーラが、必ず君を守る。
だから、心配しないで」
お父様は、私の頭を撫でる。
「…ということで。
シーラが、実家に帰るという原因を作るために、僕は明日から一週間、城に泊まり込んで仕事をするよ。
子どもができたのに、帰ってこないってどういうこと!?って、怒って実家に里帰りしちゃうってことにしよう。
一週間後、一応僕が帰ってきて、その後早々にカーディナルに飛んでほしい」
「わかった。じゃあ私も早速母に手紙を出すよ。
一週間後に飛ぶ、とね」
「ヴィー、そういうわけだから…王妃陛下からカーディナルの女王陛下に紹介していただくのは、今回は難しい。
時期を待ってくれるかい?」
後ろから私の頭を撫で続けるお父様を振り返る。困ったような顔をしているのはなぜだろう?
「もちろんです、お父様。
たくさん考えていただいて嬉しいです…ありがとうございます」
笑顔で答えると、「ヴィー!」と叫んでギュウッと抱き締められる。
「良かった!お父様なんてキライ!私が言ってること、何にも叶えてくれない!なんて言われたらどうしようかと…」
「被害妄想もいい加減にしろ」
お母様が呆れたようにお父様を見る。
「よし、じゃあそれで決まりね!
ヴィーは、とりあえず…マーサと一緒に、荷造りをするといい。
何にもしないで一週間過ごすのもなんだかドキドキしちゃうだろう?
作戦をつつがなく決行するには平常心が大切だからね!」
お父様はそう言うと「ところで、話は変わるけど」と、お母様を見る。
「今まで気にしたことなかったけど、シーラの血を受け継いでるヴィーは、魔法が使えるのかい?」
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