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ドアをノックする音がし、続けてドアノブが動く音がした。しかし、先ほど夫がカギをかけていたために扉は開かず、「お義兄様!」とブリジットの声がした。
私を抱き締めたままの夫は盛大に舌打ちをすると、
「サーラ」
と私と目を合わせた。
「はい」
「痛いことも、怖いことも、しない。ただ、君もさっき、義務だが俺に抱かれてくれると言ったな」
「はい」
「じゃあ、服を脱いでくれ」
「…はい?」
そのやり取りの間にも、「お義兄様ってば!聞こえないの!?」とブリジットの声がしているのに、夫は私の服を丁寧な手つきで脱がせ始めた。
「あ、の、」
「サーラ、ちょっと待っててくれ」
夫は私を下着にすると離れて行った。どういう意図があるのかわからず、肌もスースーして心許ない。扉の外はうるさいし、少しずつ顔が赤く火照ってくる。
戻ってきた夫が手に持っていたのは、…なんとも、卑猥な下着だった。白い布地は透けており、キャミソールだが確実にいろいろ隠せない。あとは、どうやって穿くのが正解なのかわからない、紐だけにしか見えないモノ。
まったく表情を変えずに差し出す夫を見ると、私の困惑が伝わったのか、
「サーラに着けて欲しくて買っておいた。まだたくさんある。とりあえず白にしたが、他に要望があれば聞く。形はほぼ同じ…というか、隠すためのモノはない」
となぜかどや顔で言われた。
「今、つけないといけないのですか?」
「うん」
「あの、ブリジット様がいらしてますが、」
「俺が着せてやる。つけかたがわからないだろう?…サーラ、俺はあんな酷いことをして、あの後の君の状態を見て、もう絶対に君には触れさせてもらえないと覚悟した。だけど君は、俺に抱かれてくれるという。だったら俺は、その機会を最大に生かさせてもらう。この一年、君を妄想の中で何度も抱いた。それを現実にできるんだから、する。サーラ、さっきも言ったように、痛いこと…あの、初めての時のようなことはしない。あの時、君に離縁しろと言われて頭に血が昇った。だからってしていいことじゃなかったが、その最悪の思い出を書き換える」
夫は淡々と話ながら、私の下着を取り去りキャミソールを着せ、満足そうに頷くと、「足をあげろ」とひざまずいた。
「あ、の、」
「サーラ、怖くない」
怖くないというか、私、何をされているんだろう…。恐る恐る片足を上げると、その紐のようなモノを通された。バランスを崩しそうになったら、「サーラ、怖くないから、掴まれ」と言われ夫の肩に手をそっと載せる。
もう片足を上げ、夫が着せるのを居たたまれない想いで見る。
「…うん。似合う」
嬉しそうに呟いた夫は、立ち上がると目を細め私を見た。恥ずかしさで顔が熱くなる。
下着は、私のカラダにぴったりの大きさだった。まるで、誂えたように。
「あの、旦那様、」
「サーラ。何て言うんだっけ」
「…ライアン様、」
「そうだよ。可愛いよ、サーラ。キスしよう」
「…え?」
グッ、と抱き寄せられ、唇を重ねられる。あの時は一度もしなかった口づけ。チュウッ、と唇を吸われ、舌がグッ、と差し込まれる。
「サーラ、目を開けて。俺を見て」
何をしているのかわからず固まる私の背中を擦る手は優しく、あの時感じた気持ち悪さもなかった。
目を開けると、また口づけられる。柔らかく細めた夫の目と目が合った途端、急激に恥ずかしくなる。チュ、チュ、と何度も唇を落とされ、そのうち自分の格好にも意識が戻り、頭が爆発しそうな恥ずかしさを覚え、夫に、「ライアン、様、待ってください、」と声をかけると、じっと顔を覗き込まれた。ふ、とその顔が綻ぶ。
「サーラ、いやらしい顔になってる」
「…え?…な、なってません、」
「なってるよ。俺もなってるでしょ。ありがとう、サーラ。俺に君を抱く機会をくれて」
そう言うと夫は上衣を脱ぎ捨て、裸体になった。よく見たことなどなかったし、あの時は感覚がマヒしていたから風呂も何も感じなかったけど、こうして改めて見せられるとどうしようもなく恥ずかしい。
夫に手をとられ、思わずビクリとすると、「…怖くないから」と囁くように言われ、その手を夫の胸に当てられた。ドクドクと、鼓動が伝わってくる。
「俺、いま、すごく緊張してる。ここを間違えたらせっかくサーラがくれた機会がダメになるかもしれない。サーラ、気持ちよくするから。二人でたくさん、気持ちいいことしよう」
そう言うと、夫はまた私を抱き締め、唇を重ねた。直接触れる素肌が熱い。
チュ、チュ、とまた何度も口づけられ、頭がぼんやりしてきた頃、夫に抱き上げられた。そのまま横抱きにされ、夫は扉に向かっていく。ブリジットはまだ「お義兄様!」と叫んでいた。
「あ、の、」
「サーラ、俺のほう向いて。…そう。胸に、顔くっつけて。怖くないから。ブリジットの顔は見なくていい」
夫の意図がわからず、言われた通りにする。トクトク伝わる鼓動が心地よい。ガチャリ、とカギが外れる音がした。
私を抱き締めたままの夫は盛大に舌打ちをすると、
「サーラ」
と私と目を合わせた。
「はい」
「痛いことも、怖いことも、しない。ただ、君もさっき、義務だが俺に抱かれてくれると言ったな」
「はい」
「じゃあ、服を脱いでくれ」
「…はい?」
そのやり取りの間にも、「お義兄様ってば!聞こえないの!?」とブリジットの声がしているのに、夫は私の服を丁寧な手つきで脱がせ始めた。
「あ、の、」
「サーラ、ちょっと待っててくれ」
夫は私を下着にすると離れて行った。どういう意図があるのかわからず、肌もスースーして心許ない。扉の外はうるさいし、少しずつ顔が赤く火照ってくる。
戻ってきた夫が手に持っていたのは、…なんとも、卑猥な下着だった。白い布地は透けており、キャミソールだが確実にいろいろ隠せない。あとは、どうやって穿くのが正解なのかわからない、紐だけにしか見えないモノ。
まったく表情を変えずに差し出す夫を見ると、私の困惑が伝わったのか、
「サーラに着けて欲しくて買っておいた。まだたくさんある。とりあえず白にしたが、他に要望があれば聞く。形はほぼ同じ…というか、隠すためのモノはない」
となぜかどや顔で言われた。
「今、つけないといけないのですか?」
「うん」
「あの、ブリジット様がいらしてますが、」
「俺が着せてやる。つけかたがわからないだろう?…サーラ、俺はあんな酷いことをして、あの後の君の状態を見て、もう絶対に君には触れさせてもらえないと覚悟した。だけど君は、俺に抱かれてくれるという。だったら俺は、その機会を最大に生かさせてもらう。この一年、君を妄想の中で何度も抱いた。それを現実にできるんだから、する。サーラ、さっきも言ったように、痛いこと…あの、初めての時のようなことはしない。あの時、君に離縁しろと言われて頭に血が昇った。だからってしていいことじゃなかったが、その最悪の思い出を書き換える」
夫は淡々と話ながら、私の下着を取り去りキャミソールを着せ、満足そうに頷くと、「足をあげろ」とひざまずいた。
「あ、の、」
「サーラ、怖くない」
怖くないというか、私、何をされているんだろう…。恐る恐る片足を上げると、その紐のようなモノを通された。バランスを崩しそうになったら、「サーラ、怖くないから、掴まれ」と言われ夫の肩に手をそっと載せる。
もう片足を上げ、夫が着せるのを居たたまれない想いで見る。
「…うん。似合う」
嬉しそうに呟いた夫は、立ち上がると目を細め私を見た。恥ずかしさで顔が熱くなる。
下着は、私のカラダにぴったりの大きさだった。まるで、誂えたように。
「あの、旦那様、」
「サーラ。何て言うんだっけ」
「…ライアン様、」
「そうだよ。可愛いよ、サーラ。キスしよう」
「…え?」
グッ、と抱き寄せられ、唇を重ねられる。あの時は一度もしなかった口づけ。チュウッ、と唇を吸われ、舌がグッ、と差し込まれる。
「サーラ、目を開けて。俺を見て」
何をしているのかわからず固まる私の背中を擦る手は優しく、あの時感じた気持ち悪さもなかった。
目を開けると、また口づけられる。柔らかく細めた夫の目と目が合った途端、急激に恥ずかしくなる。チュ、チュ、と何度も唇を落とされ、そのうち自分の格好にも意識が戻り、頭が爆発しそうな恥ずかしさを覚え、夫に、「ライアン、様、待ってください、」と声をかけると、じっと顔を覗き込まれた。ふ、とその顔が綻ぶ。
「サーラ、いやらしい顔になってる」
「…え?…な、なってません、」
「なってるよ。俺もなってるでしょ。ありがとう、サーラ。俺に君を抱く機会をくれて」
そう言うと夫は上衣を脱ぎ捨て、裸体になった。よく見たことなどなかったし、あの時は感覚がマヒしていたから風呂も何も感じなかったけど、こうして改めて見せられるとどうしようもなく恥ずかしい。
夫に手をとられ、思わずビクリとすると、「…怖くないから」と囁くように言われ、その手を夫の胸に当てられた。ドクドクと、鼓動が伝わってくる。
「俺、いま、すごく緊張してる。ここを間違えたらせっかくサーラがくれた機会がダメになるかもしれない。サーラ、気持ちよくするから。二人でたくさん、気持ちいいことしよう」
そう言うと、夫はまた私を抱き締め、唇を重ねた。直接触れる素肌が熱い。
チュ、チュ、とまた何度も口づけられ、頭がぼんやりしてきた頃、夫に抱き上げられた。そのまま横抱きにされ、夫は扉に向かっていく。ブリジットはまだ「お義兄様!」と叫んでいた。
「あ、の、」
「サーラ、俺のほう向いて。…そう。胸に、顔くっつけて。怖くないから。ブリジットの顔は見なくていい」
夫の意図がわからず、言われた通りにする。トクトク伝わる鼓動が心地よい。ガチャリ、とカギが外れる音がした。
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