記憶喪失のフリをして婚約者から逃げるはずがどうしてこうなった

蜜柑マル

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「殿下…っ!なぜ、こんなことをするんですか!?婚約者にされてしまったのだから結婚もしますし、執務もします!なんならミア様とお好きにご旅行でも!」

いないでくれ、むしろ。中身はイヤでも私のドストライクな顔で愛を囁くのなんて見たくない。

「ナタリー。レオン様だ」 

浮気王子はそういうと、私のくちびるを舐めた。

「ナタリー、おまえにずっとこうしたかった」

なんなの、この自分勝手な男は。他の女を庇いながら私に好意があるようなセリフを吐くなんて。ナタリアは騙されても私はあんたの見た目しか好きじゃないんだから騙されないよ。

「もう、ウソだらけの話は聞きたくない、ドレスも別に弁償してもらわなくていい、あんたが勝手に婚約者に戻したのに、私の心を手に入れようなんて無理だと思わないの?何が、どうやったら俺を信じてくれる、よ。逆ギレして、カラダに教えこんでやる?やるならやれば。どうせ結婚しなきゃならないんだし。閨とかヤダけど、しなきゃならないならする。子ども一人産んだら解放して、好きでもない男とセックスするなんて苦痛でしかない。濡れないよ。あんたも勃たないんじゃないの」

前世で非処女の私は、ナタリアが処女であってもセックスに対する怖さはなかった。痛いのは仕方ないことだし、何回かすれば痛くなくなる。まぁ、こいつ相手では濡れないだろうから痛いかもしれないけど。潤滑油くらいあるでしょ。

「セ、セックス…?ナタリー、なんて言葉を」

「じゃあなんて言えばいいの。性交?人のドレス破って今から犯す宣言の犯罪者にいちいち指摘されんのイライラするんだけど」

「犯すだなんて、」

「そうじゃん。あんたさっき、孕むまでやるって言ったじゃん」

「それは…っ!ナタリーが、俺を信じてくれないから…っ!」

「あのさ。私はあんたのこと、本当に名前しか覚えてないの。名字すら知らなかったの。あの時私のこと罵倒したのに、なんで私に拘るの?いなくなるってなったら惜しくなったの?それとも愛しのミアちゃんにはお仕事押しつけられないから、私にやらせるためのご機嫌とり?…王命で無理矢理結ばれた婚約です。私の本意ではない。断じてない。貴方のような権力だけで人をどうにかしようとする男を尊敬できないし、好きになることはない。私は王妃でも側妃でも仕事は全うするよ。今まで教育してもらったこと、覚えてるかわからないけど、勉強してるうちに思い出してくるかもしれないし。もういい?どうすんの?今からやるんじゃないの?早くしなよ。私たぶん処女だから、大変だよ、入れるの。あんたの、」

私は浮気王子のズボンを下着ごと下げて、そそりたつ塊を出した。

「ナ、ナタリー!?」

「こんなにデカイんだもん。慣らさないと痛いよ、わたしも痛いけど、あんたも相当痛いと思うよ、だって濡れないんだから、私が。あんた相手は無理。潤滑油準備してきたの?」

目を丸くして私を見た浮気王子は「ナタリー、俺のことを好きじゃないのか、本当に」と呟いた。

私は見ているのもイヤだし、間抜けすぎる格好で話ができそうもないので、もう一度戻してやった。

「好きじゃないよ。だいっきらいって言ったじゃん」

「でも、昨日までは、」

「あんたさ、自分を好きな相手になら何してもいいと思ってんの?自分がどんな酷いことしても相手が受け入れるのは当然だって?王子様だから何でも許されるんだろうけど、本当に傲慢だね。昨日、あんなに罵倒されて、しかも私は本当のことを言っただけなのに、きちんと調べもしないで、あの女が苛められたって言うのを一方的に信じて私をたくさんの人間の前で貶めた。あんなことされて、私は立場もないよ。これからバカにされて、もし仮に王妃になったとしても見下し対象だよ。そんなことも考えられないの?あんた、本当に皇太子?」

浮気王子は茫然とした顔で私を見た。

「どうすんの。やるの」

「いや、…ナタリー、済まなかった。王命で結んだこと、怒っているだろうが、俺はこの糸を離したくない。自分勝手だと罵られてもおまえを手放したくないんだ、ナタリー。憎まれても仕方ない。だが、婚約は解消しない。今日は帰る」

なんでそんなに拘るんだろ…宰相の娘だから?後ろ楯ってやつ?へーへー、わかりましたっ。どーせ王命なんだから仕方ないもんね。素敵なイケオジに迷惑かけられないし。顔だけ見て、どーにかするしかないか。ていうかさ、こいつ誰か一緒に来てんの、周りに誰もいなかったけど。

「こんな暗い中、あんた帰せないでしょ。護衛いんの?」

「…いない」

アホ!あんた皇太子なんでしょ!!自覚しろやボケ!ここに来て襲われたなんてなったら、イケオジに迷惑かかんだろうが!

「何で来たの」

「…馬で」

もうやだこいつ。

「…私の部屋には絶対泊めないけど、今日は泊まりなよ。明日パパが王都に帰るから、一緒に帰りな。うちの影もいるし安心だから。ね。わかった?」

浮気王子は俯くと「すまん」と小さく呟いた。

ねぇ。いくら小説のキャラクターでも、こんなアホが皇太子で大丈夫なの?この国成り立つの?イケオジが行くって言ってた隣国、…大丈夫なんだろうな。こわ。





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