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ある出来事
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「…申し訳ありません」
「おまえとコンラッド君になんにも間違いがないことくらい、わかりすぎるくらいにわかっている。だがもし、我が家やイーストウェル侯爵家に悪意を持つ者がこのことを知ったら、どのように噂を流されるかわからないのだぞ。おまえとハロルド殿下の婚約を解消させて、ハロルド殿下を王太子に据えようとする者もいるのだ。それはおまえやハロルド殿下が望むことか?」
「…望みません」
父は、少しだけ表情を緩めると、
「では、気を付けなさい。注意してもしすぎることはないのだから。コンラッド君、説教じみたことを言ってすまないね。悪く思わないでほしい」
「いえ、元はと言えば俺の短慮が招いたことです…申し訳ありませんでした。気を付けます」
コンラッド様の言葉に、父はひとつ頷くと
「まあ、気持ちはわからないでもないんだがね…ハロルド殿下がいては、話もできないたろうから」
と笑った。
「…そうなんです!あいつはほんとに、」
「…父親の目から見ても心配になることがあるよ」
ふたりでうんうんと頷かれても困る。ハロルド様…もう少し、大人になってくださらないかしら。再会したときには、あんなに紳士的だったのに。最近は困ったこどものようだ。
「ではセシリア様、俺はこれで。…今日は、ありがとうございました」
「いえ、こちらこそ、…アデル様によろしくお伝えください。またお手紙を出しますので」
コンラッド様はニッコリすると、一礼して馬車に乗り込んだ。その馬車が見えなくなるまで父と共に見送る。
「コンラッド君はなんの話だったんだ」
「アデル様の…」
言ってもいいのか、という迷いが声を小さくする。
父は私の言葉に「ああ、」と返すと、
「まったくヒル公爵家は、なぜわざわざエイサン殿下を招待したのだろうな。同じ学年でもないのに」
「エイサン様は、まだ側近候補も決まっていないそうですからクレイグ様のためなのではないのですか?」
「セシリア…」
父は呆れた顔で私を見た。何かおかしなことを言っただろうか?
「おまえはほんとに…侯爵夫人になるというのに考え方が幼すぎる。卒業まで2年半、間に合うかどうかというレベルだ。自主性を重んじたくてあまりうるさく言わずにきたのが裏目に出たようだな。
ハロルド様との婚約についても、結局おまえが聞きにきたのは前日だった。…セシリア」
父は真剣な表情で私を見ると、グッ、と肩を掴んだ。
「いいか。今日のコンラッド君との件もそうだが、これからおまえは腹に一物抱えた貴族という化け物たちとハロルド様とともに渡り合っていかねばならないんだ。おまえが良くても、ハロルド様が困るようなことになったら婿入りしてもらうこちらとしては陛下に顔向けできない。明日から、ロザンナに…母上に、厳しく教育をしてもらう。わかったね」
「え、あの、」
「さっきのヒル家の招待のことだが、入学式で一悶着あった、その当事者なのにおまえはよくそんな呑気なことがいえるな?あんなに目の敵にしているのにエイサン殿下がヒル家の子息を側近にするはずがないだろう」
父の深いため息が突き刺さる。
「おまえとコンラッド君になんにも間違いがないことくらい、わかりすぎるくらいにわかっている。だがもし、我が家やイーストウェル侯爵家に悪意を持つ者がこのことを知ったら、どのように噂を流されるかわからないのだぞ。おまえとハロルド殿下の婚約を解消させて、ハロルド殿下を王太子に据えようとする者もいるのだ。それはおまえやハロルド殿下が望むことか?」
「…望みません」
父は、少しだけ表情を緩めると、
「では、気を付けなさい。注意してもしすぎることはないのだから。コンラッド君、説教じみたことを言ってすまないね。悪く思わないでほしい」
「いえ、元はと言えば俺の短慮が招いたことです…申し訳ありませんでした。気を付けます」
コンラッド様の言葉に、父はひとつ頷くと
「まあ、気持ちはわからないでもないんだがね…ハロルド殿下がいては、話もできないたろうから」
と笑った。
「…そうなんです!あいつはほんとに、」
「…父親の目から見ても心配になることがあるよ」
ふたりでうんうんと頷かれても困る。ハロルド様…もう少し、大人になってくださらないかしら。再会したときには、あんなに紳士的だったのに。最近は困ったこどものようだ。
「ではセシリア様、俺はこれで。…今日は、ありがとうございました」
「いえ、こちらこそ、…アデル様によろしくお伝えください。またお手紙を出しますので」
コンラッド様はニッコリすると、一礼して馬車に乗り込んだ。その馬車が見えなくなるまで父と共に見送る。
「コンラッド君はなんの話だったんだ」
「アデル様の…」
言ってもいいのか、という迷いが声を小さくする。
父は私の言葉に「ああ、」と返すと、
「まったくヒル公爵家は、なぜわざわざエイサン殿下を招待したのだろうな。同じ学年でもないのに」
「エイサン様は、まだ側近候補も決まっていないそうですからクレイグ様のためなのではないのですか?」
「セシリア…」
父は呆れた顔で私を見た。何かおかしなことを言っただろうか?
「おまえはほんとに…侯爵夫人になるというのに考え方が幼すぎる。卒業まで2年半、間に合うかどうかというレベルだ。自主性を重んじたくてあまりうるさく言わずにきたのが裏目に出たようだな。
ハロルド様との婚約についても、結局おまえが聞きにきたのは前日だった。…セシリア」
父は真剣な表情で私を見ると、グッ、と肩を掴んだ。
「いいか。今日のコンラッド君との件もそうだが、これからおまえは腹に一物抱えた貴族という化け物たちとハロルド様とともに渡り合っていかねばならないんだ。おまえが良くても、ハロルド様が困るようなことになったら婿入りしてもらうこちらとしては陛下に顔向けできない。明日から、ロザンナに…母上に、厳しく教育をしてもらう。わかったね」
「え、あの、」
「さっきのヒル家の招待のことだが、入学式で一悶着あった、その当事者なのにおまえはよくそんな呑気なことがいえるな?あんなに目の敵にしているのにエイサン殿下がヒル家の子息を側近にするはずがないだろう」
父の深いため息が突き刺さる。
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