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役者
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予約なしでやってくるカズヤは私に毎回、予約をしないことを指摘されている。
そうしてその度にカズヤは困った表情を浮かべ、私はそれを見て静かに内心喜んでいるのだ。
そんなやり取りを何度も繰り返しているというのにカズヤは懲りずに毎回、店を訪れてくれる。
もしかしてカズヤは私の施術を気に入ってくれているのかもしれない。
なんて自惚れてみることを私はたまにしてみる。
自惚れるだなんてらしくないなと思うのだが、多分それは相手がカズヤだからこそだろう。
学生の頃からずっとカズヤのモテぶりを見てきたし感じてきた。
皆の人気者であるあのカズヤが私の営んでいる店に足を運んでくれるということが私にとって一種の優越感だったのかもしれない。
いい歳をした女が優越感なんてものに浸るなんて綺麗じゃないなと思う。
だからその度に自分を平手打ちして正気に戻ろうとする。
もういい歳した女なのだから自分のことは自分で叱るしかないのだ。
若い頃は接するお客様のステータスに酔って優越感にひたりまくっていた。
だがしかし、その工程がもたらす結果というのはとても身にならないものが個人的に多く感じられる。
別にそれはそれで良い思い出だったと思うし、そう思える自分のことが大好きだ。
だけどきっと、いつだって満たされているカズヤという存在は私にそういう時期があったことを知らないのだろう。
そもそも他人のステータスで優越感を得るなんてことをカズヤは知らないと思うし、味わなくてもカズヤは自立しているからあまり効かない気がする。
空っぽだった私に気づいた時、私は仕事を頑張ろうと思った。
そうしてマッサージ師になった私は自分の店を持つことができ、過去の私より自分で自分のことを満たせるようになっていたのだ。
それはとてもとても自分にとって喜ばしいことだった。
私はマッサージ師という仕事が大好きだし、とてもやりがいを感じられて満たされている。
少しずつだが若い頃よりも自分のことを愛せるようになってきた気がするのは違いなかった。
「…テレビでも見るか。」
ふと、仕事の休憩中にテレビが見たくなり、電源を入れる。
すると、テレビの画面には驚くべきものが映っていた。
「え…!?」
テレビにはドラマの1シーンが映っていて、私はただ1人の人物に視線を吸い込まれていた。
「カズヤ…?」
そう、テレビにカズヤが映っていたのだ。
つまりカズヤはドラマに出演していたということ。
とうとうカズヤは役者としての仕事を勝ち取ったのだ。
そうしてその度にカズヤは困った表情を浮かべ、私はそれを見て静かに内心喜んでいるのだ。
そんなやり取りを何度も繰り返しているというのにカズヤは懲りずに毎回、店を訪れてくれる。
もしかしてカズヤは私の施術を気に入ってくれているのかもしれない。
なんて自惚れてみることを私はたまにしてみる。
自惚れるだなんてらしくないなと思うのだが、多分それは相手がカズヤだからこそだろう。
学生の頃からずっとカズヤのモテぶりを見てきたし感じてきた。
皆の人気者であるあのカズヤが私の営んでいる店に足を運んでくれるということが私にとって一種の優越感だったのかもしれない。
いい歳をした女が優越感なんてものに浸るなんて綺麗じゃないなと思う。
だからその度に自分を平手打ちして正気に戻ろうとする。
もういい歳した女なのだから自分のことは自分で叱るしかないのだ。
若い頃は接するお客様のステータスに酔って優越感にひたりまくっていた。
だがしかし、その工程がもたらす結果というのはとても身にならないものが個人的に多く感じられる。
別にそれはそれで良い思い出だったと思うし、そう思える自分のことが大好きだ。
だけどきっと、いつだって満たされているカズヤという存在は私にそういう時期があったことを知らないのだろう。
そもそも他人のステータスで優越感を得るなんてことをカズヤは知らないと思うし、味わなくてもカズヤは自立しているからあまり効かない気がする。
空っぽだった私に気づいた時、私は仕事を頑張ろうと思った。
そうしてマッサージ師になった私は自分の店を持つことができ、過去の私より自分で自分のことを満たせるようになっていたのだ。
それはとてもとても自分にとって喜ばしいことだった。
私はマッサージ師という仕事が大好きだし、とてもやりがいを感じられて満たされている。
少しずつだが若い頃よりも自分のことを愛せるようになってきた気がするのは違いなかった。
「…テレビでも見るか。」
ふと、仕事の休憩中にテレビが見たくなり、電源を入れる。
すると、テレビの画面には驚くべきものが映っていた。
「え…!?」
テレビにはドラマの1シーンが映っていて、私はただ1人の人物に視線を吸い込まれていた。
「カズヤ…?」
そう、テレビにカズヤが映っていたのだ。
つまりカズヤはドラマに出演していたということ。
とうとうカズヤは役者としての仕事を勝ち取ったのだ。
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