2 / 8
デートへgo!
しおりを挟む
「…カズキには関係ないでしょ。」
私はカズキに指摘される度にこう言い返すのだ。
これだってカズキから見たら相当な癖に見えるだろう。
我ながらかわいくない女だなと自分の言動にため息をつきそうになる。
「…。」
タバコを1本くわえ、スケジュール帖をあけた。
今日の予定の欄にはスグルとのデートが書いてある。
そのデートの文字を見るだけで心が高鳴った。
煙にとけていくタバコがそれと反比例しているようでなんとも不思議な感じだ。
タバコの煙に包まれている私のことをスグルは嫌う。
それはスグルが私にいつだって清楚な女を求める男だからだ。
だからスグルの前ではあまりタバコは吸わないと堅く決めていた。
それくらい私はスグルに嫌われたくなかったし、スグルが好きだから。
「よし!」
タバコを吸い終わると少しだけ気力が戻ってきた。
昨日のスグルの浮気現場のことなんてタバコの煙のおかげで薄まってきたくらいだ。
そんな私を見てカズキは頬杖を突きながらなにか言いたげだった。
「…なによ?」
私がそう言うとカズキはタバコを吸いだす。
「いや、別に。」
カズキはなにかを言おうとするのを辞める時、タバコを吸う癖がある。
正直、そういう時のカズキのことを私はあまり好きではない。
なんだかモヤモヤするからだ。
多分、カズキはタバコで心のモヤモヤを薄めているのだろう。
私とカズキがタバコを吸う理由は少し似ているところがある。
だからこそ、いや、数年の付き合いがあるからこそ、私とカズキはお互いをよく知っていた。
きっと、根本的に私とカズキは似ているのだろう。
だから数年、こうした付き合いをしていても離れることはないのかもしれない。
カズキの部屋には女の痕跡が1mmもなく、不思議だ。
もう良い歳なのに女がいないなんて心配になる時がある。
ただ、カズキのことだから彼女ができたら私を部屋に入れてくれることはなくなると思う。
それくらいカズキは真っ直ぐな性格をしている。
複雑じゃなくて単純なカズキはわかりやすくて一緒に過ごすと気楽だ。
友達からは「なんでカズキと付き合わないの?」って言われたりもする。
その理由は誰にも言えていない。
なぜならそれはカズキに失礼な理由だからだ。
友達だってこの理由を聞けば私のことを嫌になってしまうだろう。
そういうことは容易に想像できる。
カズキのタバコの煙が部屋にいきわたった時、私はスケジュール帖を閉じた。
「今日、予定あるの?」
カズキが気怠そうにタバコを弄ぶ。
「うん。デート。」
私は乱れた服を整え、カズキの部屋から出た。
私はカズキに指摘される度にこう言い返すのだ。
これだってカズキから見たら相当な癖に見えるだろう。
我ながらかわいくない女だなと自分の言動にため息をつきそうになる。
「…。」
タバコを1本くわえ、スケジュール帖をあけた。
今日の予定の欄にはスグルとのデートが書いてある。
そのデートの文字を見るだけで心が高鳴った。
煙にとけていくタバコがそれと反比例しているようでなんとも不思議な感じだ。
タバコの煙に包まれている私のことをスグルは嫌う。
それはスグルが私にいつだって清楚な女を求める男だからだ。
だからスグルの前ではあまりタバコは吸わないと堅く決めていた。
それくらい私はスグルに嫌われたくなかったし、スグルが好きだから。
「よし!」
タバコを吸い終わると少しだけ気力が戻ってきた。
昨日のスグルの浮気現場のことなんてタバコの煙のおかげで薄まってきたくらいだ。
そんな私を見てカズキは頬杖を突きながらなにか言いたげだった。
「…なによ?」
私がそう言うとカズキはタバコを吸いだす。
「いや、別に。」
カズキはなにかを言おうとするのを辞める時、タバコを吸う癖がある。
正直、そういう時のカズキのことを私はあまり好きではない。
なんだかモヤモヤするからだ。
多分、カズキはタバコで心のモヤモヤを薄めているのだろう。
私とカズキがタバコを吸う理由は少し似ているところがある。
だからこそ、いや、数年の付き合いがあるからこそ、私とカズキはお互いをよく知っていた。
きっと、根本的に私とカズキは似ているのだろう。
だから数年、こうした付き合いをしていても離れることはないのかもしれない。
カズキの部屋には女の痕跡が1mmもなく、不思議だ。
もう良い歳なのに女がいないなんて心配になる時がある。
ただ、カズキのことだから彼女ができたら私を部屋に入れてくれることはなくなると思う。
それくらいカズキは真っ直ぐな性格をしている。
複雑じゃなくて単純なカズキはわかりやすくて一緒に過ごすと気楽だ。
友達からは「なんでカズキと付き合わないの?」って言われたりもする。
その理由は誰にも言えていない。
なぜならそれはカズキに失礼な理由だからだ。
友達だってこの理由を聞けば私のことを嫌になってしまうだろう。
そういうことは容易に想像できる。
カズキのタバコの煙が部屋にいきわたった時、私はスケジュール帖を閉じた。
「今日、予定あるの?」
カズキが気怠そうにタバコを弄ぶ。
「うん。デート。」
私は乱れた服を整え、カズキの部屋から出た。
0
あなたにおすすめの小説
離れて後悔するのは、あなたの方
翠月るるな
恋愛
順風満帆だったはずの凛子の人生。それがいつしか狂い始める──緩やかに、転がるように。
岡本財閥が経営する会社グループのひとつに、 医療に長けた会社があった。その中の遺伝子調査部門でコウノトリプロジェクトが始まる。
財閥の跡取り息子である岡本省吾は、いち早くそのプロジェクトを利用し、もっとも遺伝的に相性の良いとされた日和凛子を妻とした。
だが、その結婚は彼女にとって良い選択ではなかった。
結婚してから粗雑な扱いを受ける凛子。夫の省吾に見え隠れする女の気配……相手が分かっていながら、我慢する日々。
しかしそれは、一つの計画の為だった。
そう。彼女が残した最後の贈り物(プレゼント)、それを知った省吾の後悔とは──とあるプロジェクトに翻弄された人々のストーリー。
友達婚~5年もあいつに片想い~
日下奈緒
恋愛
求人サイトの作成の仕事をしている梨衣は
同僚の大樹に5年も片想いしている
5年前にした
「お互い30歳になっても独身だったら結婚するか」
梨衣は今30歳
その約束を大樹は覚えているのか
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる