期待外れの愛 完

鈴木なお

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クリスマスの予定

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クリスマス、それは恋人たちにとってなくてはならないイベントだ。

もちろん、私はスグルと過ごす予定。

「クリスマス楽しみだね。」

スグルはそう言ってくれたけど私は知ってる。

彼がクリスマスイブに別の女性とデートをすることをだ。

正直、恋人の私からするとそれはまったく面白いことではない。

だけど私は知っている。

スグルがとってもモテることをだ。

「…。」

やっぱり私が理解しているようにスグルのようなハイスペックイケメンは少ない。

そういう現実を前にして他の女性たちがスグルをほっておくはずがないわけだ。

まあ、スグルが他の女性とホテルに入っている現場を見てからというもの、私には妙な耐性はついてしまった。

「(…スグルはハイスペックイケメンだから仕方ないか。)」

だって電車に乗って観察してみてもスグルみたいなハイスペックイケメンはあまりいないのだ。

そういう世の中だからひと時の甘い夢を見てスグルと浮気をする女はこれからもでるだろう。

このようにわかりきっていることが私にとって面白くないことなのはすごくわかる。

だけど私は知ってる。

スグルに怒ったところで問題解決はしないし、彼が離れてしまうことをだ。

女の選択肢が多いのがハイスペックイケメンの特徴。

だから、いかに自分がものわかりの良い女でいられるかが大事な気がしてしまった。

だけど、そういう女でいるためにはやっぱりカズキの存在が必要なのだ。

その為、私はクリスマスイブの日、カズキの部屋にいた。

「彼氏はどうしたの?」

カズキはスグルの存在を知っている。

「別の女とイブ過ごすんだって。」

「へー。なんで知ってるの?」

「スグルの予定帳に書いてあったから。」

「ああ、そう。ケーキ食べる?」

「うん。」

カズキがくれたショートケーキを口に含むと控えめな甘さが広がる。

その甘さはカズキがくれる優しさによく似ていた。

そう、カズキはいつだって空気を読んで私に接してくれたのだ。

ショートケーキを口に運ぶ度、なぜだかカズキとの思い出が蘇る。

私とカズキが出会ったばかりの頃、よくピクニックをしていた。

ただの芝生にシートをしいて手作りのサンドイッチをほおばるだけ。

そこにはただシンプルな幸せみたいなものが転がっていた。

だけど私は知ってる。

そういうありふれた幸せにスグルは興味を持たないってことを。

言ってしまえばスグルとカズキは真逆の価値観を持っているのだ。

「ケーキ美味しい?」

「うん。」

カズキはいつだって優しい。

だけどそれはカズキが自由人だから彼氏のいる私にも優しいんだろうなと思った。
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