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クリスタルハンター編
8 カードを愛する気持ち
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8 カードを愛する気持ち
けっきょくこの日は情報収集に終わり、ダンジョンに突入することはできなかった。
ヨッゾの宿へともどり仕切りなおしとなる。宿は海の音が聞こえるすずやかなところにある。その隣の酒場で食事をとることになった。
ただの食事ではない、雰囲気はまるで豪華なパーティのようだった。出てくる海鮮をつかった地中海風料理も派手なうえ、音楽や踊り子までいて、客もさわがしい。外との仕切りがはずされているので、通りまで店の音がひびいている。
「この島では出陣祝いといって、事がうまくいくように前日にお祝いするんだぎゃ」とヨッゾが教えてくれる。
「祝いか。でもオッサンがちょっと心配だな……」
ひとりでこの島を捜索させるのはやはり良くなかったか。救助隊に任さず、あのとき追いかけるべきだったかもしれないなと思う。
「彼らにまかせて、いまは英気を養おうよ」
サナが言う。そう聞いてそれもそうだな、と俺は思いなおす。なれない土地を歩き回ってすこし疲れた。
ヨッゾがぜひ持ち前の魔法をみせたいと言いだし、皿の上の料理を一瞬でそれぞれの皿の上に分けて移動させた。話しによるとものを三等分する「分配」という魔法のスキルを持っているらしい。
彼の渾身のギャグをしこたま聞いたあと、店のボルテージが最高潮に達したところで、ヨッゾがアコースティックギターを持ってなにか曲を奏ではじめた。
その途端ほかの客も拍手をしたりしてムードが変わったようだった。ときおり彼らもなにか歌詞を口ずさんでいる。初めて聞くが、なにかこの島では有名な歌なのかもしれない。
なんとなくそれを眺めていると、ギターのテンポがあがったところでサナが俺の手をとってステージへと引っ張り出した。そして、有無をいわさずにともにダンスを始めさせられる。
「おいおい!? おどれないぞ?!」
「だいじょうぶ、私にまかせて!」
満面の笑みでサナは俺の手をとってリードする。とてもじゃないが俺はこんな壇上で踊りをするようなタチではないのだが、雰囲気があまりにあたたかったのでもういいかとあきらめた。
フォッシャが途中から混じって、けっきょくそれからはずっとフォッシャとサナがダンスを楽しんでいた。
俺はステージから逃げるように離れて、店の隅へと移動する。
端の方では酒を飲みながらカードゲームをやってる魔物たちがいた。年齢は判別できないが、片方はスルメイカをかじったりもう片方は爪楊枝を噛んでいたりで、どうやらずっと俺より年上らしかった。
じっとそれを見ていると「若いの、興味あんのかい」とコワモテのほうが声をかけてきた。
「あ、いや……」
「この島にヒトがいるってこたぁ冒険士だろ。やらねえってこたぁあるめえよ」
その向かいに座るもう片方のおじさんが「あーもうだめだ」と頭を抱えてのけぞり、手札を卓のうえにぶちまける。
「お前さんやってみろよ。こっから逆転できたら酒をおごるぜ」
楊枝を噛んだまま、俺にそう言ってニヤリと笑うおじさんモンスター。
「酒より食べ物おごれワヌ!」
壇上でおどるフォッシャが、まさかこの距離でこちらの会話が聞こえたらしく歌のリズムにあわせてそう叫んだ。地獄耳かあいつは。
「いいぜ。勝てたらな」とおじさん。
「でも、俺よく知らないし……そのヴァーサスってカードゲーム」
「よく知らない? そりゃいいな。そこのヘッポコよりはそれでもマシだろ」
「だれがやってももう勝てないよ」
もう勝敗が決まったようにいう。俺は負けそうなほうから手札を借りて、ヨッゾの演奏が聞こえなくなるほど集中してカードゲームをはじめた。
ウォリアーカードは通常時は目の前に呼び出せたりしないが、こうやってカードゲーム内であればミニサイズの立体映像として実際に戦ってくれる。ミニ戦場さながらのすごい迫力で。
魔法のカードゲーム。それがヴァーサスだ。
祝いを無事終えて宿にもどるまえ、なんとなく落ち着かないので外をうろついてみた。
港のほうに出るともう日が沈んで暗かった。ラジトバウムのほうには海はない。防波堤で夜の波の音をきいていると、なぜか繊細な心情になってラジトバウムのことを思い出す。
どうやら先客がいたらしい。水のすぐ近くにある縁(へり)にすわって、サナは水平線を見つめていた。
そのとなりに俺もすわって、
「食いすぎた……。冒険士、はやくみつけてやりたいな」
「うん。オドの加護があるから、大変なことにはなってないと思うけど、彼らを待ってる人たちのことを考えたらね……。あしたは、かならずあのダンジョンにいこうね」
うなずきつつも、俺はちがう話題を切り出す。
「なあ。ききたいことがある」
ひっかかっていたことだ。信頼関係をふかめるためにある程度確認しておきたい。なんでもかんでも知らないままにしておくのはすこし気味が悪い。自分の性質というより、カードゲーマーのサガだ。
「サナはここにゆかりがあるって言ってたよな。依頼人になったのも変な話だ。だれか知り合いが行方不明になったとばかり思っていたけど、ちがうんだな」
そうきくと彼女はわずかに口を閉じて、視線を遠くへ向けた。
「ここは、故郷なの」
「コキョウ? でもここは……」
そりゃおかしな話だ。仮にもヒトの姿の彼女のふるさとが異種族しかいないこの島だというのは無理がある。
「サナ、お前人間じゃないのか」
「なんでしょう」
サナはほほ笑んでごまかすばかりで、まじめに答えてはくれない。
彼女はふたたび視線を海にもどし、
「もっと広い世界をみてみたいと思って……旅にでてみたの。いろんなものを見て回って……すばらしい時間だった。だけどこの島はやっぱりとてもいいところだと今も思う。だからこそ……やらなきゃいけないことがある」
「セカイね。俺はどうして自分がこの世界にいるのかわからない。気がついたらラジトバウムにいた」
「[どうして自分がこの世界に?] それはみんなわからないよ」
「いや、自分の故郷のことはおぼえてる。たぶん呪いのカードのせいで……もどれなくなった。こことはちがう。こっちはカードの魔法があふれていて、見たことのない生き物だらけで。まいにち驚くことばっかりだな」
「エイトのところは、あまりカードが日常じゃなかったの?」
「ああ。というよりこっちがカードだらけってかんじだけどな」
「まるでカードの世界にまよいこんだみたいに言うんだね。おもしろい」
「……」
というかそうなんだけど、別に言わなくていいか。サナも自分のことを言わないのだし。
「ま、でもたしかに、ここはいいところかもな。最初はどうなるかと思ったけど」
寝そべって、夜空をみあげる。星がたくさんあってきれいだった。
「ふふ」
「いいやつが多い気はする」
「そうでしょ」
「俺さ。むかしカードゲーマーでさ。冒険士になったのも……カードが好きだったからなんだ。いまはいろいろあってプレイヤーは引退したけど、ここにきて、異種族の人たちもカードの魔法でたのしそうに遊んでて、なんかいいなって思った」
「そうだね。魔物でも人でもカードを愛する気持ちは同じかも」
サナは祈るように手を握り合わせて、
「大昔のことだけど。みんながオドを手に入れようと必死に争ってた。でももうそんな時代はこなくていい……」
その横顔は本当にその時代に生きていたかのように語る。
「君とフォッシャちゃんのコンビなら、きっとこの世界も守れるよ」
「おおげさすぎるだろ」
さすがに笑うと、サナは真剣な面持ちで立ち上がり俺に手をさしのばした。
「エイトくん。君が必要なの。力を貸して」
答えずに、ただ手をとって強く握った。
けっきょくこの日は情報収集に終わり、ダンジョンに突入することはできなかった。
ヨッゾの宿へともどり仕切りなおしとなる。宿は海の音が聞こえるすずやかなところにある。その隣の酒場で食事をとることになった。
ただの食事ではない、雰囲気はまるで豪華なパーティのようだった。出てくる海鮮をつかった地中海風料理も派手なうえ、音楽や踊り子までいて、客もさわがしい。外との仕切りがはずされているので、通りまで店の音がひびいている。
「この島では出陣祝いといって、事がうまくいくように前日にお祝いするんだぎゃ」とヨッゾが教えてくれる。
「祝いか。でもオッサンがちょっと心配だな……」
ひとりでこの島を捜索させるのはやはり良くなかったか。救助隊に任さず、あのとき追いかけるべきだったかもしれないなと思う。
「彼らにまかせて、いまは英気を養おうよ」
サナが言う。そう聞いてそれもそうだな、と俺は思いなおす。なれない土地を歩き回ってすこし疲れた。
ヨッゾがぜひ持ち前の魔法をみせたいと言いだし、皿の上の料理を一瞬でそれぞれの皿の上に分けて移動させた。話しによるとものを三等分する「分配」という魔法のスキルを持っているらしい。
彼の渾身のギャグをしこたま聞いたあと、店のボルテージが最高潮に達したところで、ヨッゾがアコースティックギターを持ってなにか曲を奏ではじめた。
その途端ほかの客も拍手をしたりしてムードが変わったようだった。ときおり彼らもなにか歌詞を口ずさんでいる。初めて聞くが、なにかこの島では有名な歌なのかもしれない。
なんとなくそれを眺めていると、ギターのテンポがあがったところでサナが俺の手をとってステージへと引っ張り出した。そして、有無をいわさずにともにダンスを始めさせられる。
「おいおい!? おどれないぞ?!」
「だいじょうぶ、私にまかせて!」
満面の笑みでサナは俺の手をとってリードする。とてもじゃないが俺はこんな壇上で踊りをするようなタチではないのだが、雰囲気があまりにあたたかったのでもういいかとあきらめた。
フォッシャが途中から混じって、けっきょくそれからはずっとフォッシャとサナがダンスを楽しんでいた。
俺はステージから逃げるように離れて、店の隅へと移動する。
端の方では酒を飲みながらカードゲームをやってる魔物たちがいた。年齢は判別できないが、片方はスルメイカをかじったりもう片方は爪楊枝を噛んでいたりで、どうやらずっと俺より年上らしかった。
じっとそれを見ていると「若いの、興味あんのかい」とコワモテのほうが声をかけてきた。
「あ、いや……」
「この島にヒトがいるってこたぁ冒険士だろ。やらねえってこたぁあるめえよ」
その向かいに座るもう片方のおじさんが「あーもうだめだ」と頭を抱えてのけぞり、手札を卓のうえにぶちまける。
「お前さんやってみろよ。こっから逆転できたら酒をおごるぜ」
楊枝を噛んだまま、俺にそう言ってニヤリと笑うおじさんモンスター。
「酒より食べ物おごれワヌ!」
壇上でおどるフォッシャが、まさかこの距離でこちらの会話が聞こえたらしく歌のリズムにあわせてそう叫んだ。地獄耳かあいつは。
「いいぜ。勝てたらな」とおじさん。
「でも、俺よく知らないし……そのヴァーサスってカードゲーム」
「よく知らない? そりゃいいな。そこのヘッポコよりはそれでもマシだろ」
「だれがやってももう勝てないよ」
もう勝敗が決まったようにいう。俺は負けそうなほうから手札を借りて、ヨッゾの演奏が聞こえなくなるほど集中してカードゲームをはじめた。
ウォリアーカードは通常時は目の前に呼び出せたりしないが、こうやってカードゲーム内であればミニサイズの立体映像として実際に戦ってくれる。ミニ戦場さながらのすごい迫力で。
魔法のカードゲーム。それがヴァーサスだ。
祝いを無事終えて宿にもどるまえ、なんとなく落ち着かないので外をうろついてみた。
港のほうに出るともう日が沈んで暗かった。ラジトバウムのほうには海はない。防波堤で夜の波の音をきいていると、なぜか繊細な心情になってラジトバウムのことを思い出す。
どうやら先客がいたらしい。水のすぐ近くにある縁(へり)にすわって、サナは水平線を見つめていた。
そのとなりに俺もすわって、
「食いすぎた……。冒険士、はやくみつけてやりたいな」
「うん。オドの加護があるから、大変なことにはなってないと思うけど、彼らを待ってる人たちのことを考えたらね……。あしたは、かならずあのダンジョンにいこうね」
うなずきつつも、俺はちがう話題を切り出す。
「なあ。ききたいことがある」
ひっかかっていたことだ。信頼関係をふかめるためにある程度確認しておきたい。なんでもかんでも知らないままにしておくのはすこし気味が悪い。自分の性質というより、カードゲーマーのサガだ。
「サナはここにゆかりがあるって言ってたよな。依頼人になったのも変な話だ。だれか知り合いが行方不明になったとばかり思っていたけど、ちがうんだな」
そうきくと彼女はわずかに口を閉じて、視線を遠くへ向けた。
「ここは、故郷なの」
「コキョウ? でもここは……」
そりゃおかしな話だ。仮にもヒトの姿の彼女のふるさとが異種族しかいないこの島だというのは無理がある。
「サナ、お前人間じゃないのか」
「なんでしょう」
サナはほほ笑んでごまかすばかりで、まじめに答えてはくれない。
彼女はふたたび視線を海にもどし、
「もっと広い世界をみてみたいと思って……旅にでてみたの。いろんなものを見て回って……すばらしい時間だった。だけどこの島はやっぱりとてもいいところだと今も思う。だからこそ……やらなきゃいけないことがある」
「セカイね。俺はどうして自分がこの世界にいるのかわからない。気がついたらラジトバウムにいた」
「[どうして自分がこの世界に?] それはみんなわからないよ」
「いや、自分の故郷のことはおぼえてる。たぶん呪いのカードのせいで……もどれなくなった。こことはちがう。こっちはカードの魔法があふれていて、見たことのない生き物だらけで。まいにち驚くことばっかりだな」
「エイトのところは、あまりカードが日常じゃなかったの?」
「ああ。というよりこっちがカードだらけってかんじだけどな」
「まるでカードの世界にまよいこんだみたいに言うんだね。おもしろい」
「……」
というかそうなんだけど、別に言わなくていいか。サナも自分のことを言わないのだし。
「ま、でもたしかに、ここはいいところかもな。最初はどうなるかと思ったけど」
寝そべって、夜空をみあげる。星がたくさんあってきれいだった。
「ふふ」
「いいやつが多い気はする」
「そうでしょ」
「俺さ。むかしカードゲーマーでさ。冒険士になったのも……カードが好きだったからなんだ。いまはいろいろあってプレイヤーは引退したけど、ここにきて、異種族の人たちもカードの魔法でたのしそうに遊んでて、なんかいいなって思った」
「そうだね。魔物でも人でもカードを愛する気持ちは同じかも」
サナは祈るように手を握り合わせて、
「大昔のことだけど。みんながオドを手に入れようと必死に争ってた。でももうそんな時代はこなくていい……」
その横顔は本当にその時代に生きていたかのように語る。
「君とフォッシャちゃんのコンビなら、きっとこの世界も守れるよ」
「おおげさすぎるだろ」
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