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22) 処罰と償いと謝罪
しおりを挟む少年A。事件当時十九才。酒と煙草を持って来た少年。これが声をかけて無視され、他の少年たちの手前、強気に出た。走り去ろうとする弁当屋の娘を追いかけて羽交い締めにした。
未来人四阿野原奈利子の時代には、三十七才になっている。Aは飲み屋のバーテンになっていた。丁度、風俗の女を巡る三角トラブルの最中だったから、不倫相手の女のヒモにレイプ現場を見せた。
どのようないきさつかは占い師の知るところではないが、傷害事件となって新聞に載った。刺されたのは相手の男だったが、Aも終わりだ。Aはその数年後、コンクリート詰めにされて海に沈められたと、奈利子の持ってきた新聞にあった。
少年B。事件当時十八才。ブランコに座っていた少年。弁当屋の娘の両腕を掴み、木立に引きずり込んだ。二番目に行為に及んだ。
この少年は、奈利子さんの時代には警察官になっていた。上司にレイプ現場を見せたところ「裁かれもせずに警察官になるとは」と激怒。Bは上司に対する殺人未遂の現行犯で逮捕された。
Bは、地元の交番で勤務して、ブランコ事件にも携わっていた。裁判で弁当屋の娘レイプ事件について「事件後も何度か呼び出してみんなで輪姦した」と証言。
少年C。十八才。弁当屋の娘の両腕をロックして口を塞いぎ、三番目に行為に及んだ。十数年後、交通事故で両親諸とも他界。
少年D十六才。ブランコに座っていた少年。弁当屋の娘の両足を押さえ、最後に行為に及んだ。
親の稼業を継いでスーパー経営をしていたが、レイプ事件の現場を両親と女房に見せたところ、家から出された。
Dは事件から二十年後の四阿野原奈利子の時代には、ホームレスとしてブルーシートの小屋で死期を迎えている。
「奈利子さん、これであなたの望みは果たせましたか」
弁当屋の女将さんが泣き崩れる傍らで、四阿野原奈利子は項垂れている。
「誰からもまだ一言も謝ってもらっていない。処罰と償いは別物だと思っていたけど、謝罪も無いくてはならない。それが被害者の望むことだよ。亡くなった娘さんのためにも」
「いいえ、いいんです。もう、いいんです。あの子は戻って来ない。それより、私があなたのお兄さんのことで謝ります。ご免なさい、ご免なさい。言葉で謝っても謝りきれないけれど、本当に……」
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