走れ守銭奴!!(完結)

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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第2章 守銭奴の企み

メーゴーサーの雨粒

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一番奥突き当たりの鋼鉄の重そうな扉に(窓側から襲撃されたら逃げにくいだろうな)と半ば呆れ感銘を受けながらブザーを押した。

その刹那、天井の角に異変を感じ、見上げるとカメラのレンズが黒塗りの壁面に埋め込まれている。


(迂闊だった。一階から此処までエレベーター内部も含めて、幾つかあったんだろうな)


レンズに向かってニッコリVサイン。インターホンから男の声で名前を訊かれる。


「Fから来ました。差し入れです。これ、皆様で召し上がってください」


法螺を吹く。

再びレンズに向かってタコスの紙袋を見せる。正面のインターホンから訪問者の様子は見えていると思いながら、愛嬌良しを演じた。

紙袋をドアノブに掛けて「ジョージを宜しくお願いします」と心にもない法螺を吹き続けてエレベーターに向かう。

背中で扉の開く音を聞いて振り替えると、時々テレビで見かける赤いスーツの金髪頭を真似た男が「何だ、ジョージの店の奴か。入れ、入れ」と横柄な口振りで言う。


「いえ、言いつかって来ただけですから。仕事帰りに寿司でも持ってきます。またその時に」


法螺が大きくなったが、食べる前にスマホで確認されたらアウトだ。


「そうかぁ、悪いなぁ。じゃあこれ、有り難く頂いておくね。ママさんに宜しく。今度飲みに行くと伝えて」


金髪赤スーツが面相を愛らしく崩す。大影の少ししかない良心がチクリと咎めた。


「ジョージは下の喫茶店で飯食ってるから行ってみて」

「有り難うございます」


(なあんだ。折角のアメリカ製超強力下剤入りタコスが無駄になったじゃないか。タコスふたパックで千二百円とすると薬代あわせて元手が二千四百円なんだぞ。いらないならいらないと言ってくれ)


大影、何度も言うようだが、それからマイナス百五十円だ。

終始にこやかに取り繕ってエレベーターに乗り込んでから大影はゲッ、と口を押さえた。


(下剤入りのタコス……あの人の良さそうな金髪頭に恨まれてしまう……)


下剤入りタコスでピーゴロさせて、その最中に乗り込んでジェーンとジョージを拉致するか、カメラで顔撮影されているからそれは止めて、外にトイレを借りに行く処を誘拐するか、どちらにしろ単純で恐ろしい計画だが、案外成功率は高かったのかもしれない。

大影は一旦外に出てから喫茶店に向かった。


(社長は黒ずくめの格好でどうやって二人を連れ出すつもりだったのだろう。何かで誘きだす手があったのかもな……)


お前よりも恐ろしい女だ。策など何もない。


大影の頬を雨粒がポツリと打った。


(うわあ、止めてくれ。親父の服やしが。めーごーさーふぁーさりんどーゲンコツ食らわされる





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