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第2章 守銭奴の企み
返済できない金額
しおりを挟むボタンのピアスはしっかり付いていてそれを剥ぐのにカメはカミソリを使って大影を戦慄させるのだが、それはシャワーの後の話。
雨に濡れて冷えた身体を熱いシャワーでリフレッシュして、バスローブ姿で温かいさんぴん茶を飲みながら一息吐く。
ジェーンとジョージはタコスを頬張りながら冷えたさんぴん茶を飲んでいた。
「しかしケーメー。お前がPサロなんて驚いたやし」
本音が出た。
「どおいう意味」
「いや、お前って普通の女の子って感じだったやし、高校時代」
「今でもフツーだよ」
(へ、Pサロ勤めがフツーの女の子のお仕事なのか。知らなかった。フツーだなんて……男にもそーゆーお仕事欲しい。絶対稼ぐ……)
ジョージも同じことを考えていた。
後に『揃いも揃って道徳基準の低い奴ばかり揃ったものだ』と、大影の親父は嘆く。
「お前、金稼いでいたんだろ。何で三百万も踏み倒すんだよ」
「返せると思ったけど無理だったのに」
「げ……短絡的に……」
「俺がヤクザの女と不始末起こして手切れ金が必要だったんだ。二百万」
金髪ジョージの顔が曇る。
「手切れ金二百万円か……」
(貰いたい……二百万円……それはともかく、お仕事、お仕事。
古着屋バイトの副業金貸しは稼ぎ良いもんね。税務署に知られたら親父の面子丸潰れの危ない副業だけれど、辞められない。いつも、これが最後だ、これが最後だと思うのに)
「いつまでだよ」
「あと、三日」
「三日、いくらあるんだよ」
「全然ないよ。五十万返したから。一ヶ月じゃあ二人で五十万貯めるのが精一杯。生活もするんだよ」
(当たり前だ)
「利息はいくら」
「五十%」
(ケーメー……イッターフラーか。確か高校の頃も踏み倒そうとしたな……考えもなしに高利貸しに頼ると痛い目に合うってことは、まあ、痛い目に遭わせなかったからわからないか、学べよ、苦境から。
僕様から借りた金返せなくて逃げ隠れした頃に、何を学んだんだよ、全く。利息だけでも儲けさせてもらったから僕様には良い思い出だけど……)
「最初は二百万だけ借りるつもりだったんだけれど、五十%の利息は前払いって言われて、百万しか手に入らないじゃない。五十万はあったけど、足りないから、しかも生活費必要だし、思い切って三百万借りたの。利息百五十万は前払いだから手持ち五十万と借りた百五十万合わせて手切れ金払えた。ね、ジョージ」
「うん。そこまでは良かったんだけどなぁ。残り百万がきつい。それでW会に相談したんだけど……」
「返せなかったらソープ行きだってさ。ジョージの為なら良いもーん」
ガングロは金髪頭を抱き寄せた。
「ダメだよ、そんな処は。Pサロも止めろ」
「お前らって、もしかしたら純愛……」
(羨ましいけど金にならんから純愛なんて止めておく。ボク様は汚れまくるのだ……訳があったけど……忘れた……)
その心の裏で思った。
(楽譜の彼女がPサロにいたら絶対行く。ボク様もお年頃だもんね。いやいや、客として行くよりもボーイとか……Pサロでもボーイは雇うだろう)
「元金が残り百万って言うのは確かなのか」
「そうよ。W会で利息の相談しながら世話なっていたから……三日間寝泊まりして、一日二人八千円で二万四千円の借りがあるけど……それ、まだ払っていない」
タレントみたいな赤いスーツの金髪頭が浮かぶ。
「不義理はいけないね。しかしそれくらいは返せるだろう」
「まあ、そのくらいは何とか……でも、アパートの家賃もあるし、生活費が」
「水道光熱費もな、スマホ通信料とか」
(やっぱりフツーの女の子じゃないよ、ケーメー。三百万円借りるなんて大胆極まりない愚かな真似をするなんて、生活破綻者の王道まっしぐらだ)
ガングロメイクを呆れて眺める。
「Z会はケーメーに五十万の賞金を懸けた。連絡すれば五十万入る」
「嫌だあ、やめてよぉ。何だ訳ぇ」
「元金が残り百万の負債で五十万の賞金。まあ、五十万返したんなら、残り二百五十万は返さなきゃあならないんだけどね。向こうは五十万の賞金懸けても百万は儲けが出るわけだ」
ジョージとジェーンは顔を見合わせた。
「けれど、三百万踏み倒したことになっている。お前、奴等を相手に三百万踏み倒して、ハイ、サヨナラってそれで済むかぁ」
「だよな……」
金髪頭のジョージは常識を弁えているらしく、音をたてるくらいの有り様でガックリと肩を落としたが、その肩を抱き締めるケーメージェーンは何も考えてはいないらしい。
(今の時代は過払い金問題で弁護士事務所とかが高い利息払った人に利息の払い戻しをしているけど、それを知らないんだな……貰っちゃおうか……)
大影はどす黒い笑みを浮かべる。思っただけでは裁かれない。これは真理だが、法律でもある。
しかし、思うことを実行すればどうなるか、大胆不敵にも考えなしは大影も同じだ。
ジェーンこと平良ケメコは被害者の立場で生活破綻者のなりかけ。大影は加害者の立場で犯罪者の道を歩み始めようとしている。
「取り敢えず……」
大影が口を開く。
ここが人生の岐路かもしれない。
どうする、守銭奴。
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