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第2章 守銭奴の企み
利息と良心
しおりを挟む「三百万貸そうか」と言ったらケメコのパンダ目が閃光を放って即座に「お願いっ」と手を合わせ拝む。
高校在学中は返済期限一ヶ月で利息二十%の商いを営んでいた。と言っても元金が二千円以上五千円までの小商いだから利息だって四百円から千円まで。
五千円が一ヶ月で千円生むのだ。十人に貸せば一万円を生む。笑いが止まらない大影だったが、それでもケメコから取り立てるのは苦労した。
結局、利息だけで三千円も儲けたのだが、鬼だの悪魔だのと罵りながら嫌々返却するような借り手は歓迎しない。
ケーメー・ジェーンに「利息三十%」と言ったら金髪ジョージとふたりで「高いっ」とハモった。
勿論高い。百万以上の貸し付けに対する法定金利は十五%だ。明らかな違法だ。
「何をほざくか。連中からは五十%で借りておいて……じゃあ通常利息の二十%でいいや。期限は一年。でも、二十%でも一年で六十万だけど大丈夫か」
それでも法定金利より五%高い。通常利息なんてよくまあ法螺を吹くよな。
ケメコは「良かったぁ」と叫び、ジョージは「良心的だな」と綻ぶ。アホだ。
「盆暮れ正月には金が必要だろうから十ヵ月と考えて一月六万返済してくれれば……」
ジョージが頭を振る。
「俺、Fを辞めて実家のモータースを手伝いながら夜バイト探すつもりだけど、一月六万はきつい」
大影の目を見る。
(フム……チャラ男にしてはなかなか堅実なことを言う奴……)
大影は何だか嬉しくなった。金を貸すならこういう地道な奴に貸したい。
「私が借りるんだってばぁ。テイオーとは高校の同窓だからさぁ。またPサロで働くから心配ないってばぁ。ね、ジョージ」
ケメコの猫なで声が響く。
(そんなんだからお前は男で身を滅ぼすんだよ、ケーメー)と思ったが、大影は勿論、口にはしない。不用意な一言を一生覚えていられたりすると後が怖い。
三百万貸すのは良いが、二十%の利息分を先にもらうと手渡す金は二百四十万円になる。十万足りない。
そのことを伝えるとふたりは項垂れた。
「あのさ、僕は悪どい商売をするつもりはない。かと言って危うい商売をするなんてとんでもない。だから、特別に十五%にしてやるよ」
ふたりの目が輝く。
「十五%って一月いくら」
「一月、四万五千円。かけるの十ヵ月。年四十五万だ」
「よ、四万五千円なら何とか……」
「だからぁ、私がぁ……」
「いや、僕はジョージに貸したい。元々、手切れ金が必要だったのはジョージの方だろ」
昔からの知り合いみたいに気軽な調子で聞いた。
「まあ、そうしてもらえると俺も頑張って返す気概が出る」
(気概だとぉ……そんな言葉を知っているんならケーメーのようなちゃらんぽらんに口説かれるなよ。イケメンがもったいない。いや、その前に手切れ金二百万要求するようなヤバい女に手を出すな……)
「有り難う、テイオー」
「僕も良心的な商売ができて嬉しいよ」
何を良心と言うのか。
この場合は法定金利に切り替えて当たり前の計算をしただけだ。
十万以内なら二十%まで、百万以内なら十八%まで、百万を越える金額なら十五%までと法律で決まっている。
法律は、大影のなけなしの良心まで守ってくれるらしい。
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