毒舌アルビノ・ラナンタータの事件簿

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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第4章 一緒に世界を変えよう

(1)アルビノの国

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 8才のラナンタータ


ねぇちゃん、ねぇちゃんにもねぇちゃんのお国があれば良かったのにな

パパキノシタ、私は此の国の者ですけど

いや、ワシはこの国が好きでこの国の人間になったつもりだが、他人様から見ればワシはどこの骨とも知れない異世界人だ
それと同じように、ねぇちゃんも、この国の人間だと言っても人様の目にはアルビノだと映る
だから何処かにアルビノの国があったら良かったのにな


それがパパキノシタとの最初で最後の会話だ。パパキノシタが身罷ったことを知ったのは、真冬の雪の積もる季節。結構な年だったと聞く。


「冬に亡くなる年寄りって多いなぁ」


カナンデラ・ザカリーが新聞から目を離して呟く。窓辺のラナンタータは細雪を眺めている。


「跡目争いにならなくて良かったと父上が言ってたけど、パパキノシタの組織って、ヤバかったの」

「どうかなぁ、今夜シャンタン会長に聞いてみるか」

カナンデラ・ザカリーは前回の事件の詳細を、この地域のゴッドファーザーであるシャンタン・ガラシュリッヒ会長に求められた。

事件後数日経った夜のことだ。厳つい手下のい並ぶ会長室に呼びつけられた。

其処でいつものように甘えて、アポステルホーフェを味わった。


「うんうん、旨いワインだ。そこはかとなく鼻孔に残る花の香りに俺様はイチコロだ。シャンタン会長、其処でね、何処の組員かわからない連中が、いや、今はわかっている。警察発表があったわけだからね、パパキノシタ組だって。しかしあの現場にいた時はわかる訳がない。そうだろ。シャンタン会長の手の者かもしれないわけだ。
俺様だって、一人一人全て見知っているわけではない。物凄い人数だからな、ガラシュリッヒ組は。だからといってどうでも良いわけではない。神経使ったぜぇ。だって、この街で探偵事務所の看板背負って生きていく俺様が、シャンタン会長の手下を相手に暴れる訳がないだろぉぉ、ペチャクチャペチャクチャ……」


喋って飲んだ。暖かい部屋の居心地の良いソファー。饒舌は時間を忘れさせ、一本があっという間に空になる。


「アポステルホーフェの次は……」


カナンデラはすっかり好き者の舌舐めずりする嫌らしさ丸出しの目付きで、シャンタンを見た。18才のスベスベを。












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