ゲイバージキルハイドへようこそ

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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メイルレイプ

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メイルレイプと言うらしいが、女に強姦されたと言い張る男がいた。

酒に酔って子細は覚えていないと言うが、強姦罪を擦り付けられた女は子供を産み「あなたの子よ。結婚してほしいのだけど、その気がなくても養育費だけはお願いね」と言って生まれた子を見せた。

子には生まれつき両足の膝から先が無く、女は非常に不細工だったため、男は、いくら酔っ払っていてもゲイの自分がどうして不細工女と致せたのかが不思議でならなかった。

男は呟いた。

「強姦だ。俺は女に強姦されたんだ」

「それは通用しないわよ。男が強姦されて感じるの。快感があってこその射精でしょう。合意ってことになるんじゃないの」

「いや、強姦だ。酔っ払って誰だかわからない相手を好きな相手だと勘違いしたのかもしれないじゃないか。兎に角、酩酊している人間と肉体関係を持つのは強姦だ」

男は言い張って裁判になったが、身障者として生まれた子供への責任を逃れたいがためための言い訳としか受け止められなかった。

不細工な女の美しい友人が嗤う。

「あの男は嘘つきのバイよ。男女どっちともOKな奴。酔っ払った私はあの男にやられて目が覚めたらホテルだった。強姦されたんだとわかったのにあの男は合意だと言ったのよ。しかも、私の方から迫ったと。酔ってたから記憶にないけど、酔ってなければあんな男なんか相手にしないわよ。悔しくて情けなくて殺してしまいたかったけど、あんたが復讐してくれたから溜飲が下がったわ。子供のことは気の毒だけど」

不細工な女は首を振った。

「ううん。この子はね、神様の憐れみの元に生まれてきたの。だから大丈夫よ。何とかなる。ほら、こんなに可愛いじゃないの」

この話を聞いて、バイの男は外国に逃げた。

「あの子が神の憐れみの元に生まれただと……俺たちは憐れみの元にはいないのか。俺は酒に酔って強姦されて……」

男は理解していなかった。そして、少しも理解することなく逃げ回った。

そして今夜、感じの良い若者とこの「ゲイバー・ジキルハイド」で出会った。男は当然のように若者に下心を抱く。

若者はにっこり笑って語り始めた。

「私は両足義足です。それに、どうも、強姦されて生まれた子供らしいんですよ。それと言うのもゲイの父親が酩酊しているとき、女に、つまり私の母親ですが、強姦されたそうです。勿論、その逆ならあり得る話なのでしょうけれど、男が女に強姦されて子供ができるなんてことがあるでしょうか。はははは。母は驚くほど不細工なので、父は恐れをなしてそう言ったのでしょう。私は元気に育ちました。でも、父親が恋しいのです」

男は青ざめて強い酒を何杯も呷った。

こんなに大きく育つまで
俺は父親として
何の責任も負わなかった

男は、常々『酩酊している相手に迫られても絶対にセックスしてはならない』と触れ回っていた。その考えは崩れない。

目の前に存在する相手が
俺のたねだとは……
だが、記憶になくても
生まれた命は貴いものなのだな
あの女も苦労したのだろうが
神が見守り育ててくれたのだ
そして、息子は父親を恋しがっている

「君、まだ名前を聞いていなかったね。君の名前はもしかしたら……」

と、言うわけさ。
さっきカウンターからボックスに移った二人は、親子だ。あの若者は常連だから、俺様は詳しく聞いていた。

奇遇とは現実のことだ。しかも速やかに親子の名乗りを上げなければ、もしかしたら酔った男は父親恋しさの息子に迫られるかもしれないというまさに正念場を迎えている。

昔、このリンジャンゲルハルト帝国では、強姦罪は死刑だった。男が伴侶以外の者と性行為を行えば罪と見なされた。

酒の上で迫られてもそれに応じれば死刑だった。それで、結婚関係にない男女の酒の上での性行為は、殺したい男を陥れる罠として使われるようになり、多くの人間が陥れられたので、現在では強姦罪での死刑は廃止になった。

現在、帝国のほぼ全域では、一度嫌だと断れば小さな抵抗だったとしても強姦罪は成立する。そして、メイルレイプによって射精しても強姦罪は成立するのだ。同様の経緯で、女性がオーガニズムを感じても強姦罪は成立だ。

はぁあ、俺様が誰かだとぉ。
俺様はエンペラー深遠みおんだ。この店の穀潰しペットとして君臨している。

何故、俺様が穀潰しかと言うと、俺様がいなくてもこの「ジキルハイド」はゲイの花盛り世界だからだ。

オーナーが俺様を抱き上げる。オーナーは新参者だからぎこちなくて行末が心配だが、大きな手は先代オーナーと似ている。

あの黒子台瑠花が掻き回さない限り、この「ゲイバージキルハイド」は安泰だ。

さあ、心置きなくモフれ、新オーナーよ。今宵は撫で撫で祭りと行こうではないか。マシンガンなど転がり込んでは来そうにないし、おやつはメイジャーントレロで頼むぞ。




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