中学生溺愛王子はお化粧男子 777文字小説

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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35 無理だけど

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やっぱりマンガを買ってくれば良かった。お母さんの好きなせんべいとかも。ついでがチャンスなのに、チョコちゃんだけで満足してしまった。

何だか僕の方がメロメロみたいな……これ以上は踏み込まないように、なんて……

ははは、笑える。

どんな子がタイプなんだろう、僕は。マンガにはいろんなタイプの可愛い子が出てくるけど、教室で女の子と話をして盛り上がっても、誰が特別に好きとかはまだなかった。

あの子のこんな点は良いな、あの子のあんな点は良いな、部分的に美点が見つかってもそれがいきなりその子を好きになる理由にはならない。

チョコちゃんとは……

いや、考えるのも比べるのもよそう。

チョコちゃんはお化粧モデルを探していて、僕は化粧男子になりたかった。それだけだ。利益がマッチしている。趣味が合う。

それに、僕はキストラウマがある。チョコちゃんはれずびあんだから男とはキスしない。安心して付き合える。

れずびあんごっこの試練の画像チューは、僕はまだクリアしていない。いや、少しだけやってみた。変な感じで無理。自分にさえ無理だから、チョコちゃんとは到底無理。可愛いと思ったけど無理。

無理。無理。無理。

僕はMM先輩に口の中に舌を突っ込まれて尚且つ勃起したものを押し付けられたんだ。あのとき、僕は動けなくなって……

後から気持ち悪くて何度も嗽をして、涙が出た。涙が出て、顔を洗って鏡を見た。追いかけていって蹴りたい衝動に駆られて、情けなさと悔しさと殺意みたいな黒い感情を初めて知った。鏡の中の僕は醜かった。

キスはやっぱりできない。画像チューも、もう少し気分が乗るまでは……

もう少しって……

良いんだよね、焦らなくても。

きっともっと変われる。
外出できたんだから、どんどん変わる。

チョコちゃんと親に感謝だな。
両親の離婚も防げたし、僕はトラウマを乗り越えられそうだし……

あ、

あのときすれ違ったのは……


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