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66 助け舟
しおりを挟む僕はまだトラウマを乗り終えられていない。それなのにカリナのマスク越しの暴挙にまたしても不快感を抱くことになって、チョコちゃんとのキスは遠ざかる一方だ。
「違うよ。僕は正直に言うと、お父さんが言うように、チョコレート食べたかったよ。でも、マスク越しでもできない。お母さんだって、マスクは雑菌だと言ったじゃないか」
「波流、それが正直な話なんだな。音理ちゃんに何もしてないな」
抱き締めた。でも、秘密だ。カリナには見られたけれど、親には時期を見てやんわりと話そう。僕はまだ中学生だから、早いと言われる。抱き締めたら次は何をする気だと。
「顔を見たくなっただけだよ。ずっと会ってないから」
お母さんがまたしても口を挟む。
「お父さん、音理ちゃんとは家族ぐるみだから、ね、波流も無謀なことはしないよね。ただね、あのカリナって子、可愛いからね。大胆だし。波流、大丈夫なの。女の子にあんなに積極的に迫られたら、年頃の男の子はどんなかな。お母さんはそれが気になって」
「そうだな。お父さんだって若い子に好かれたらいい気になって優しくしたり関心を惹くようになったり、別にお母さんを裏切るつもりはないのに、有頂天になって。まずい状況を生み出す羽目になるぞ」
「え、まずい状況って……」
僕より早くお母さんが反応した。
「あ、いや、だから……」
「何もなかったんだよね」
僕は助け船を出した。僕は狡い。情けは人の為ならず。自分を助けるためのものだって知っている。お父さん、僕が助けてあげる代わりに、僕のこともあまり追及しないでほしい。
「お父さんから聞いたけど、その事務員さんと居酒屋で出会って一緒に飲もうという話になって、でもお父さんはお母さんがいい顔しないと思って帰ったって」
「そんなことがあったわけ。だから、浮気をするつもりはないという話をしていたのね。わかった。お父さんの気持ちは凄く嬉しい」
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