中学生溺愛王子はお化粧男子 777文字小説

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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67 大切にするよ

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「僕もお父さんの息子だからね。夜出掛けたのは悪かったけど」

「反省はしているんだな。それでも九時以降の夜間徘徊は禁止するぞ。門限は八時半だ」

「スーパーも開いている時間だけど」

「お前、不登校の引きこもりだろ。夜出掛けて何をしたいんだ。性欲が目覚めても音理ちゃんに迫ったら駄目だぞ」

もう遅いよ。僕はチョコちゃん溺愛大魔王だから、性欲だって目覚めるよ。

でも、トラウマのせいで、何もできない。

「わかった。出掛けない」

「コマルナが終わったら、音理ちゃんを呼んで勉強でもしたらどうだ。そのテーブルならいいだろう」

「本当に」

「いいよな、お母さん」

「うん。私はいいけど、音理ちゃんのお母さんは夜仕事だから、お仕事行くまでは一緒にいたいんじゃないの、自分の娘と」

「毎日じゃないさ、な、波流。一週間に一回でもいいじゃないか」

僕は毎日でもいい。一週間に一回でも今よりましか。健全な付き合い方を見せてほしがる親の意向に添って、僕は喜んで大人しく頷く。

「うん。僕は嬉しい」

もう、チョコちゃんは寝たかな。今からメールは遅いよな。やがて十時半になる。

「波流、溺愛というのはお父さんは納得していないぞ」

「大丈夫よ、お父さん。音理ちゃんのネーミングよ。波流が親切なことを言うと溺愛だと言うのよ。溺愛王子なんだって、波流は。ははは」

「笑い事じゃないぞ。波流がその気になって音理ちゃんを溺愛したらどうするんだ。まだ子供だぞ」

もう大人だとかまだ子供だとか、僕の立場は親の中でも不確かなものだ。

「溺愛しているよ、とっくに。僕は他の女の子と付き合うつもりはないから、それを溺愛って言ってもらって構わないよ。でも、大切にするよ。簡単に手を出したりできないし」

こんなハードルを越えるから、僕はチョコちゃんがとても大切に思える。シェイクスピアのロミオとジュリエットみたいだ。


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