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68 キュンキュン魔王
しおりを挟むあれから数日経った。
僕はチョコちゃんと毎日メールしあってお互いの状況を連絡し、ルーティンの英語音読と、送ってもらった画像にチューの訓練をしている。
キスはまだできないし、親から止められてもいるけれど、少し進展はあった。なんと、画像チューは、五センチくらいの近さまで近づくことができるようになった。それで喜んでいるのだから僕は平和だ。
明日はチョコちゃんが遊びに来る。僕は嫌な予感がして、カリナを連れてこないように先手を打った。
(実はとても重大な話があるんだ。この前話すつもりだったけど、まだ心の準備ができていなかったから有耶無耶になってしまって。チョコちゃんにだけ話したいから、他の人には内緒だよ)
(わかった。この前、別れ話かと思ってガタブルした。あの話だよね。チョコが卒倒しないように話してね)
(オッケー。チョコちゃん可愛い。やっぱりすき焼きだ)
(波流君、スキップ×30回スキップ)
計算簡単。
(男でもスキップと言われたら嬉しいよ。チョコちゃんは男殺しだ)
(違うよ。チョコは毎回育てられているよ。溺愛されて幸せだ。波流君とまさかこんなに親しくなれるとは思ってなかったから)
僕もだ。
(もっと早く知り合いになりたかったね)
(ね。あんなに寂しかったのに)
(寂しかったんだ)
そうだよ、チョコちゃんは寂しかったんだ。
(死のうかと思っていた)
(げ、まさか、本気で)
(死ねないよ。夢もあるし。夢っていうか……)
(ハリウッドだね。連れていくよ)
(ふふ、溺愛王子。チョコをこんなに参らせてどうする気)
抱き締めたい。
(明日はすき焼き祭り)
(スキップ祭り。波流君のお母さんがびっくりするよ)
(こっそり魔王)
(へへへ、こっそりって無理だ。チョコは溶けるよ)
(じゃあちょびっと魔王)
(ちょびっとでもメロメロだ。勉強の日なのに)
僕はキュンキュン魔王。
(僕はとっても悪い魔王になりたいよ)
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