中学生溺愛王子はお化粧男子 777文字小説

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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87 色っぽい

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僕も、顎を上げたままで鏡を見下ろすと色っぽい表情になるんだなと思ったばかりだったから、心の中を言い当てられたようで照れた。

チョコちゃんがビューラーを寄越す。僕は以前のメイクで使い方を教えてもらったからお手の物で両方の睫毛をくるんと曲げた。

ふふふ、上手く出来た。

目がぱっちりした形に見える。

何だかくすぐったい。

チョコちゃんの手がアイライナーを持った。瞼を閉じる。チョコちゃんは器用だ。ひんやりとした感触のアイライナーが睫毛の際をすうっと走る。続けてもう一方の瞼にもアイラインを引く。

それから、僕の瞼をくいっと開かせて、瞼の生え際をアイライナーで埋めた。

「これはね、目立たない技だけど、目がくっきりするんだ。目を開けていて。愛君、可愛い……」

チョコちゃんがぎゅっと頭を抱いた。

「おっ……」

驚いた。

チョコちゃんママは笑っている。

怒らないのが不思議だ。ここでスマホ撮影をストップして小言を言ってもおかしくないはずなんだけどな……

僕の顔に影ができないように蛍光灯と電気スタンドを点けているせいか、窓から差し込む日差しが翳っても余り影響はないみたいだ。

チョコちゃんの手元を見て、アイシャドーの色を確認した。この前の煉瓦色ではなく、パープル系を選ぶ。

「今日はこの色を使ってみます」

スマホにアイシャドーのケースを近づけてから、僕に向かった。僕は顎を上げて瞼を閉じる。積極的に従っている。

優しいタッチが瞼を滑る。アイホール全体に薄い色を塗るらしい。それから少し濃い目の色を目の近くに塗る。

チョコちゃんは、親の前だからか動画撮影中だからか、緊張している。最初にメイクしたときみたいな面白い話は出てこない。

一番強い色を瞼の中心から目尻に載せた。

お願い、パンダにしないで……

祈るような気持ちだ。

「愛君、学校が始まってもメイクごっこしようね」

レズビアンとか溺愛ごっこじゃなくて……
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