中学生溺愛王子はお化粧男子 777文字小説

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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102 キスできない

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「はい。歴とした中三男子です」

「何でレズビアン……」

「お父さん、この前、話したさぁ。お化粧して仲良くなった友達がいるって……」

「あ、女の子じゃなかったのか」

「波流って言うって言ったさぁ」

「名前からして紛らわしい」


チョコちゃんパパの言うとおりだ。
紛らわしい。保育園でも幼稚園でもハルちゃんと呼ばれていた。女の子とも男の子とも仲良く手を繋いで遊んでいた。紛らわしい。

僕はしっかり男の子なんだけどな。

チョコちゃんパパは妖かしを見る目付きになった。


「お父さん、失礼だよ」

「僕は慣れています。いつも人に見られているよ」


今日の店内の客はまばらだけれど、いつもは本当にお化粧して歩きたくなるほど視線を感じていた。


「波流君の親ごさんは、えっと、お父さんのほうも、音理のことを知っているのか」


少しだけれど、怒りの度数が下がったかも。


「はい。女の子と付き合うなら、音理さんだけにしておけと」

「なに」


バロメーターが急激に上昇する。


「きゃああああ、ホントに」


親の心子知らずってチョコちゃんは萌えている。


「はい。あの、手を出すなと言われています」


僕は親に言われたことを伝えた。


「なに」

「まだ子どもだから、大人のするようなことは禁止です」

「当たり前だ。音理が母子家庭の飲み屋の女の娘だからと言って、簡単に考えてもらっては」


憮然とするチョコちゃんパパに、チョコちゃんが恐ろしいことを言い出す。


「大丈夫だよ、お父さん。波流君はキスもできないから」

「そんなことあるか」

「だって、今までずっとチャンスだらけなのに、一度もないよ」


ああ、説明しなければならないのだろうか……

辛い……


「波流君はね、不登校の引きこもりだったの。上級生にエロい目で見られて、上級生が卒業したから社会復帰したんだよ。お父さんもやめてよね」

「それとキスできないこととなんの関係があるんだ」

「お父さん鈍いね」
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