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102 キスできない
しおりを挟む「はい。歴とした中三男子です」
「何でレズビアン……」
「お父さん、この前、話したさぁ。お化粧して仲良くなった友達がいるって……」
「あ、女の子じゃなかったのか」
「波流って言うって言ったさぁ」
「名前からして紛らわしい」
チョコちゃんパパの言うとおりだ。
紛らわしい。保育園でも幼稚園でもハルちゃんと呼ばれていた。女の子とも男の子とも仲良く手を繋いで遊んでいた。紛らわしい。
僕はしっかり男の子なんだけどな。
チョコちゃんパパは妖かしを見る目付きになった。
「お父さん、失礼だよ」
「僕は慣れています。いつも人に見られているよ」
今日の店内の客は疎らだけれど、いつもは本当にお化粧して歩きたくなるほど視線を感じていた。
「波流君の親ごさんは、えっと、お父さんのほうも、音理のことを知っているのか」
少しだけれど、怒りの度数が下がったかも。
「はい。女の子と付き合うなら、音理さんだけにしておけと」
「なに」
バロメーターが急激に上昇する。
「きゃああああ、ホントに」
親の心子知らずってチョコちゃんは萌えている。
「はい。あの、手を出すなと言われています」
僕は親に言われたことを伝えた。
「なに」
「まだ子どもだから、大人のするようなことは禁止です」
「当たり前だ。音理が母子家庭の飲み屋の女の娘だからと言って、簡単に考えてもらっては」
憮然とするチョコちゃんパパに、チョコちゃんが恐ろしいことを言い出す。
「大丈夫だよ、お父さん。波流君はキスもできないから」
「そんなことあるか」
「だって、今までずっとチャンスだらけなのに、一度もないよ」
ああ、説明しなければならないのだろうか……
辛い……
「波流君はね、不登校の引きこもりだったの。上級生にエロい目で見られて、上級生が卒業したから社会復帰したんだよ。お父さんもやめてよね」
「それとキスできないこととなんの関係があるんだ」
「お父さん鈍いね」
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