中学生溺愛王子はお化粧男子 777文字小説

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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111 首輪

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チョコちゃんパパとの約束で、チョコちゃんと全教科勉強することになったけど、場所は月水が僕の家のダイニングテーブル、火木がチョコちゃんのアパートで、金土日はフリー。

あれから婚約の話は暫く「待て」の状態に、成績アップを狙って一緒に楽しむことにした。


「毎日、復習をしよう。できれば予習もして……」

「待って待って、高望みだよ。チョコはそんなに頭良くないから。今でも背伸びしてやっとこさやってるのに」

「何を……」

「エーゴ」

「すごく綺麗な発音だよ。僕はCDでネイティブ英語を聞いていたけど、チョコちゃんにも貸してあげるよ」


学校帰りに手を繋ぐのも季節的に暑苦しいから、僕はハンカチの端っこを握らされた。チョコちゃんはたまにブンブン振るからすっぽ抜ける。


「えへ、ハンカチ掴んで」

「ハンカチよりも電車の輪っかみたいなのがあればいいね」

「電車乗ったことないから、あ、バスの吊り輪みたいな……」

「そこまでやることないか」


僕たちはくだらないことに脳ミソを使うのが好きだ。吊り輪をどのように手にいれるかとか、似ているものはないかとか、犬のリードはどうかとか、チョコちゃんの首に首輪をするのか僕の首に首輪をするのかで萌えた。


そのうちに家に着いて、お母さんの手作りのクレープをふたりで食べながら、お母さんを巻き込むのが結局、首輪の話。


「あんたたち、猟奇的な趣味をしているじゃないの」


お母さんはひまわりの柄のタイトスカート。


「ははは、お父さんがドン引きするね」

「で、どっちがリードを持つの」

「まだ決まっていないよ」

「あはは、波流がリードを持ったら女の子虐待しているみたいで怖いよ」

「私は波流君なら虐待されても……」

「え、駄目だよ、チョコちゃん」


僕はお母さんの目の前でチョコちゃんをハグした。分厚いマスクを掛けたままだから、絵にはならない。


「こらこら、勉強から先」


僕は既に首輪をしている。


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