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5) 過剰反応
しおりを挟むヤバいって
危険ってことよ
その香油ではなく
山梔子の
意味するところがね
死人に口無しだから
後宮からの宣戦布告よね
有り難がって使った日には
とんだ笑い物だわ
あんたはまだ十七歳だし
宦官だから
世の中のことも女のことも
知らないのは当たり前よね
女はね
コロシもする
蛇のように恐ろしい生き物よ
そうね、男も同じか
女も男も
権力があれば人殺しになる
権力者でなくても
腹に毒虫飼ってるのよ
自分は違うと
思っていられるのは
自覚がないうちだけよ
あんたを狙う
後宮の女たちは
大臣の娘や小国家の
お姫様たちよね
バックボーンがでかい女たち
あんたを潰そうとする
「あの、パックボーンでかいとは……」
ははは……
背後にいる者の
権力が大きいってことよ
あんたのパックボーンは天皇
いいこと
生き延びるための戦争だから
死人に口無しなんてことに
ならないようにね
多少過剰反応だと思われたって
自分の身を守るためだからね
声をあげて行くわよ
国をあげての大事にしましょう
泣き寝入りもこと無かれも
私は認めないわよ
★★★★★★★★★★
奈利子は実のところ全くの過剰反応に過ぎない件で疑心暗鬼に陥った。
後宮を調べるスパイがほしい
正清を狙う蛇は
何も女だけとは限らない
信頼できる侍女や女官
宦官がいれば……
朝廷の片翼を担う右パルチョのドゥリャーが、天皇の執務室を訪ねた。
「ご尊顔を拝し奉ります。我が御主上におかれましては今朝も……」
天皇のお付きの侍従が腰を織り曲げ天皇と共にドゥリャーの挨拶を受ける。
「よい。用件を申せ」
天皇がドゥリャーの挨拶を遮った。
「御心に叶いますように」
ドゥリャーは畏まって語り始めた。
「我ら右パルチョの間だけでなく、これは朝廷全体の願いとして御主上様にお知りおき願いたく、このドゥリャー、僭越ながら参じましてござりまする」
「だから、何なのだ」
天皇の目付きが冷えていく。
「彼の離宮の君のご尊顔で皆を照らし賜わんことを是非にと願い、朝廷だけでなく、後宮の……」
「わかった。みなまで言うな」
右パルチョのドゥーリャーと言えども所詮天皇家の傍流から派生した出。朝廷に勤める時点で皇位継承権はなく、ただひたすらに天皇を支える立場だ。
しかし、腹の裡は違った。
私自身に皇位継承件は無くとも
次期天皇に誰を推せば良いのか
十分わかっているし
その推進力も持っている
この私が右パルチョだから
無闇なことはすまいと
鷹を括っているが良い
今上天皇恵遼よ
必ずその玉座から
引き摺り下ろしてみせよう
そのドゥリャーの企みを看破してか、天皇の顔色は芳しくない。
ドゥリャーよ
其の方の息子にも
皇位継承権は無いはずだが……
そうか
第三皇子の側に寝返ったか
皇子は未だ幼い
先太皇が玉座を辞してから出来た
出自の怪しい皇子だが
垂簾聴政を行う気か
成る程
幼さは傀儡に打ってつけ
私の足元を掬うために
清正を利用しようとの魂胆だな
ドゥリャー……
その方の首が
いつまで繋がっておれるか
その方自身にはわかるまい
翌朝、右パルチョドゥリャーの惨殺死体が発見された。朝廷からの帰り道に立ち寄ったと思われるサナゼンの近くの林だった。
ドゥリャーほどの立場になると、行き帰りは牛車で数名の武官が警護に付く。
しかし、武官たちは取り調べを受けること無く、ドゥリャーの事件は闇に葬られた。
「無闇なことを申すでないぞ」
「この世は全て天皇のものである」
「我らの命すら、借り物であるぞ」
朝廷で密かに箝口令が敷かれ、清正の御披露目に関しては誰もが口をつぐむ。
朝廷の隅々まで天皇の殺意に満ちた巨大な眼が光る。
「無闇なことを申すでないぞ」
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