神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

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第2章 ギースの塔

第23話 ギースの塔への挑戦

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「さあ!着いたわよ!」

ミーナが元気よく言いながら、目の前にそびえ立つ巨大な塔を指差した。

「はぁ~、近くで見ると、すごいなぁ……」

俺は圧倒されるように見上げる。
塔の大きさが、想像以上だった。
横幅だけで10キロ以上はあるんじゃないかと思われる。

壁は赤茶けた石のようなものでできており、幾何学模様が刻まれている。
しかし、つなぎ目が一切見当たらない。
まるで一つの巨大な岩から削り出されたかのような滑らかさだった。

(こんな建築技術、現代でも無理だろ……いや、待てよ? 現代って何だ……?)

未だに思い出せない記憶の違和感に、モヤモヤとしたものが胸に残る。

◆塔を囲む市場

 
塔の周囲には、多くの人間が集まっていた。
その大半は冒険者と商人たちだ。

塔には巨大な扉が開かれており、そこを武装した冒険者たちが行き来している。
塔の周りには、数多くのテントが張られ、そこで商談が行われていた。

塔に入る前の冒険者には、アイテムや武器を売りつけ、塔から出てきた冒険者には貴重な鉱石やアイテムを買い取る。
中には、「運び屋」と呼ばれる者たちもいて、塔から出てきた冒険者を街へと運ぶことで稼いでいる。

(この塔が、この世界の経済を支えているのか……)

少し観察しただけでも、ギースの塔がこの世界の中心であることが分かった。

◆装備の不安

 
俺は、ジーパンとブーツを履き、黒いTシャツの上からプレートアーマーを装備し、さらに黒いジャケットを羽織っている。

(……周りの冒険者と比べると、明らかに装備がショボいな。)

一方で、ミーナは紺と白のワンピースだけだ。
武器すら持っていない。

「なあ、ミーナ……。お前、装備ないのか? 武器も無さそうだけど……まさか俺だけ戦えって言わないよな?」

俺は若干、不安になりながら聞いた。

「流石にそんなこと言わないわよ! 私は魔術師よ! だから近接用の装備はいらないの!」

ミーナは、人差し指を立てると、ゴルフボールほどの氷の結晶を作り出した。



「うおっ!? ……本当に魔法使いなのかよ! ファンタジーだな!」

「魔法は塔の上層に行ったことのある人間にしか使えないからね。あなたの住んでいた地方には、使える人がいなかったんじゃない?」

「へぇ、そうなのか……まあ、そういうもんなのか?」

納得はできないが、考えても仕方ない。

「さて、レンは塔に入るのは初めてよね? じゃあ、説明しておくわね」

◆ギースの塔の階層構造

 
ミーナによると、塔は東西南北にそれぞれ扉があり、どの扉から入っても繋がっているらしい。
俺たちがいるのは南扉だ。

【塔の階層構造】
• 1~10階:下層
 比較的安全な区域。D~C級冒険者が多い。
• 11~30階:中層
 貴重な鉱石や薬草が取れるが、中型の魔物が現れるためB~A級冒険者向け。
• 31階以上:上層
 未知の魔道具やアイテムが手に入るが、超危険区域。S級冒険者か、命知らずしか行かない。

「ちなみに、私のベスト記録は99階よ!」

ミーナは誇らしげに胸を張るが……
(……張るほどの胸はなかった。)

「……え、100階に行けない理由は?」

「100階の入口をドラゴンが守っているからよ!」

「……ドラゴン!?!?!?」

俺は思わず叫んだ。

「そんな伝説級の化け物もいるのかよ! 本当に大丈夫か!?」

「そんなに怖がらなくても大丈夫よ! 安全第一で行きましょう!」

(全く安心できねぇ……)

「じゃあ、行くわよ! まあ、30階に辿り着けば良い方でしょ!」

(……俺の意見は聞かれないらしい。)

◆ギースの塔・第一階層

 
塔の門をくぐると、中には石造りの通路が続いていた。
壁の両脇には等間隔で松明が置かれている。

幅20メートルほどの通路を進むと、急に明るくなった。

「……なんだこれ?」

目の前には、広大な草原が広がっていた。

「ここが、ギースの塔の中……? まるで外みたいじゃないか」

「1階は草原フロアよ! ここには、ギース豚やギース鳥が生息していて、新米冒険者の狩りの練習場になっているの!」

「へぇ……あ! もしかして、昼に食べた肉もここで?」

「そうよ! さて、次の階に行きましょう!」

「えっ、俺もギース豚を狩ってみたいんだけど……」

「時間がもったいないわ!」

(俺の意見は許されないらしい。)

◆ミーナの願い

 
「ところで、ミーナ。一つ聞いてもいいか?」

「何よ?」

「……なんで、最上階を目指してるんだ?」

ミーナは少し目を伏せ、静かに答えた。

「それは……願いを叶えるためよ」

「最上階に行くと願いが叶うってやつか。でも、確証はないんだろ?」

「でも……私は、希望を捨てるわけにはいかないの」

彼女の言葉には、強い決意が込められていた。

「そんな危険を冒してまで叶えたい願いって……聞いてもいいか?」

「……お母さんとお父さんを生き返らせるためよ」

ミーナの声が震えた。

「私の両親は冒険者だったの。強くて、99階より遥か上まで到達していたわ……。でもある日、帰ってこなかった」

「……」

「だから私は、塔に奪われた両親を取り返すの!」

彼女の言葉に、俺は何かを思い出しそうになった。

(両親……? 俺の……?)

――ズキッ!!!

激しい頭痛が襲う。

「レン!? 大丈夫!?」

ミーナが覗き込んでくる。

「あぁ、大丈夫……それより、分かったよ。俺も最上階を目指す」

「……ありがとう」

俺とミーナは、最上階を目指して歩き始めた。
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