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第1章3部
不器用な口づけ
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「ちょちょっちょーー!!落ちてる、これ落ちてるって!!」
「どういうことだよっ!!?」
順調に風の魔法で森から脱出しようとしていたファルナたちは、ゆっくりとその高度を失いつつあった。
「ちょっと、ゼロ!!どうなってんだよ!?オレたちの魔法まで相殺しなくていいんだって!!」
ファルナの焦りとは裏腹に、ゼロは取り乱すことなく自分の手を見つめている。
「ゼロく~ん!?確かにゆっくりだけど、確実に落ちてるからね、これ!!」
「オレの魔法じゃない――」
「は? ・・・とりあえず、ガロ!もう1回、足元に魔法を使ってくれ!」
「やってる!」
「はっ!?」
「さっきから、発現しようとしているんだって!でも、全然魔法が使えないんだ!何でだよっ!?」
ガロは苛立ちを隠すことなく、自分の足元に何度も手のひらを向けていた。ガロの手からは、エレメントの気配を感じない。
「ゼロじゃない?と、いうことは――!」
「長居しすぎたようだ。」
「みたいだな!!とりあえず、無事に着地できる場所を探すしかないか!」
緩やかだった落下スピードが明らかに速くなっている。原因は分からないが、ゆっくりと魔法の効果が失われようとしているのだろう。
「あっ!あそこの高い木に乗り移るぞ!」
ファルナが見据えた先には、シラカンバが十数本密生していた。その中でも1番背の高い木に目を付ける。
しかし、その木を見据えたのはファルナたちだけではなかった。
地上では、シュリたちもその木に注目していた。
「あそこの木に降りるわ。多分、最後のチャンスになるわよ!」
「嬢ちゃんはどうする?!迂闊に手を出せば、巻き込まれるぞ!あのケガの様子だと、些細な衝撃が命取りになる!」
アイバンの指摘にシュリは唇を噛んだ。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・シュリさん、アイバンさん!セ、セリカの事は・・・はぁ、はぁ、私に任せてください!はぁ、はぁ――」
息も切れ切れに、シリアは大きな声を張り上げた。
「どうする気なの?何か策でもあるの?」
目標の木を視界に捉えたシュリは、シリアの説明を聞くため立ち止まる。
それに合わせシリアも立ち止まると、膝に手をついて、必死に呼吸を整えた。
「おいおい、大丈夫か、魔女っ子ちゃん・・・?」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・私は、おチビじゃ・・・はぁ、はぁ・・・ありません。」
「いや、もう正常に聞き取れてないし!本当に大丈夫か?」
「は、はい。もう1度・・・はぁ、はぁ、魔法を試して、みます!」
「試すって!また魔法が消えてしまうかもしれないのに、そんな賭けに乗れないわっ!」
「いえっ!」
頬は紅潮し、瞳が揺れている。それでもシリアの強い意志は、確かにシュリとアイバンに伝わってきた。
───────
「――分かったわ。あなたに任せる。それに、実戦《バトル》クラスの生徒の保護は最優先事項だものね。」
「そうだな!生徒会がこのまま引き下がれないしなっ!」
「ありがとうございますっ!セリカは私が必ず何とかしますっ!」
そう言うと、大きく伸びたシラカンバに目をやった。
地上に居るシュリたちに気付いたファルナたちも、こちらの様子を伺っている。
「どうするんだ?魔法が使えないぞ。」
「多分、エレメントを無効化されているんだ。原因はさっきの音で、学園の誰かの仕業だろうよ。ったく、エレメントの無効化なんて、とんでもねーことしやがるな。」
「にしては、落ち着いているなファルナ。」
「まぁな。無効化範囲はおそらくこの森全体だ。ということは、あいつらもエレメントが無効化されているはず。魔法を使えないのはお互い様だ。
さっきの小さいガキの魔法を消したことで、アイツらは魔法が使えないと思い込んでいるだろう。だから、この森の無効化に気付いてない可能性が高い。」
「あぁ、確かに。」
「あっちの人数は多いが、ほとんどケガをして使えない奴ら・・・。注意するのは生徒会《プリンシパル》の2人ぐらいだ。こっちが十分優勢だよ。それに、いざとなったらこのエレメントストーンを使えばいい。」
そう言ってポケットから数個のキューブ型の石を取り出す。それは、ガロが戦いの際に口に放り込み、噛み砕いた物だった。それぞれ赤と青と緑と黄色の色をした石は、艶やかに輝いている。
「エレメントストーンは魔法力の器に干渉をさせない、物理的な魔法発現を可能にする代物だ。効果は、オマエもよく分かっているだろ?無効化されたって関係ねーよ。なぁ、これを開発したゼロ君♪」
しかし、ゼロはファルナが持っているエレメントストーンを興味が無さそうに一瞥しただけだった。
「しかし・・・あまり長引かせると、そろそろコイツがくたばりそうだなぁ。」
ファルナはグイッとセリカの腕を引く。既にセリカの意識はない。
「まさか、もう死んでいるってことはないよな?」
ガロがセリカの様子を見ようとしたとき、キュポとした音が聞こえる。何かと視線を上げると、ゼロが小さな小瓶に入った回復薬を口に含んでいるところだった。
そして、ファルナから荒っぽくセリカを奪い取ると、無理やり開けた口へ回復薬《ポーション》を流し込んだ。
「おわっ!」
急な口づけにガロがおかしな声を出す。
セリカの口元から、漏れた回復薬が伝う。救助する為とはいえ、ガロには目の前の光景がひどく艶っぽく見えた。
セリカの喉元が小さく震えたことを確認したゼロは、手で自分の口を拭う。
そして、セリカの口元から零れる滴も拭うと、今度はもう1度優しくセリカに口づけをした。
「――ぅう・・・ん。」
流れ出ていた血が止まり、セリカの顔に血色が戻っていく。
一部始終を見ていたファルナが、深いため息をついたことにガロは気付かなかった。
「もう片付けるぞ。マジでクエストの時間が終わっちまうよ。ガロは火のエレメントストーンを持っとけ。」
「おぉ、分かった!」
セリカをゼロに預け、ファルナとガロはシラカンバから勢いよく飛び降りる。
「行くわよ、アイバン!」
「おぉ!!」
飛び降りた咎人たちを確認したシュリたちも、迎え撃つ体勢に入った。
「どういうことだよっ!!?」
順調に風の魔法で森から脱出しようとしていたファルナたちは、ゆっくりとその高度を失いつつあった。
「ちょっと、ゼロ!!どうなってんだよ!?オレたちの魔法まで相殺しなくていいんだって!!」
ファルナの焦りとは裏腹に、ゼロは取り乱すことなく自分の手を見つめている。
「ゼロく~ん!?確かにゆっくりだけど、確実に落ちてるからね、これ!!」
「オレの魔法じゃない――」
「は? ・・・とりあえず、ガロ!もう1回、足元に魔法を使ってくれ!」
「やってる!」
「はっ!?」
「さっきから、発現しようとしているんだって!でも、全然魔法が使えないんだ!何でだよっ!?」
ガロは苛立ちを隠すことなく、自分の足元に何度も手のひらを向けていた。ガロの手からは、エレメントの気配を感じない。
「ゼロじゃない?と、いうことは――!」
「長居しすぎたようだ。」
「みたいだな!!とりあえず、無事に着地できる場所を探すしかないか!」
緩やかだった落下スピードが明らかに速くなっている。原因は分からないが、ゆっくりと魔法の効果が失われようとしているのだろう。
「あっ!あそこの高い木に乗り移るぞ!」
ファルナが見据えた先には、シラカンバが十数本密生していた。その中でも1番背の高い木に目を付ける。
しかし、その木を見据えたのはファルナたちだけではなかった。
地上では、シュリたちもその木に注目していた。
「あそこの木に降りるわ。多分、最後のチャンスになるわよ!」
「嬢ちゃんはどうする?!迂闊に手を出せば、巻き込まれるぞ!あのケガの様子だと、些細な衝撃が命取りになる!」
アイバンの指摘にシュリは唇を噛んだ。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・シュリさん、アイバンさん!セ、セリカの事は・・・はぁ、はぁ、私に任せてください!はぁ、はぁ――」
息も切れ切れに、シリアは大きな声を張り上げた。
「どうする気なの?何か策でもあるの?」
目標の木を視界に捉えたシュリは、シリアの説明を聞くため立ち止まる。
それに合わせシリアも立ち止まると、膝に手をついて、必死に呼吸を整えた。
「おいおい、大丈夫か、魔女っ子ちゃん・・・?」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・私は、おチビじゃ・・・はぁ、はぁ・・・ありません。」
「いや、もう正常に聞き取れてないし!本当に大丈夫か?」
「は、はい。もう1度・・・はぁ、はぁ、魔法を試して、みます!」
「試すって!また魔法が消えてしまうかもしれないのに、そんな賭けに乗れないわっ!」
「いえっ!」
頬は紅潮し、瞳が揺れている。それでもシリアの強い意志は、確かにシュリとアイバンに伝わってきた。
───────
「――分かったわ。あなたに任せる。それに、実戦《バトル》クラスの生徒の保護は最優先事項だものね。」
「そうだな!生徒会がこのまま引き下がれないしなっ!」
「ありがとうございますっ!セリカは私が必ず何とかしますっ!」
そう言うと、大きく伸びたシラカンバに目をやった。
地上に居るシュリたちに気付いたファルナたちも、こちらの様子を伺っている。
「どうするんだ?魔法が使えないぞ。」
「多分、エレメントを無効化されているんだ。原因はさっきの音で、学園の誰かの仕業だろうよ。ったく、エレメントの無効化なんて、とんでもねーことしやがるな。」
「にしては、落ち着いているなファルナ。」
「まぁな。無効化範囲はおそらくこの森全体だ。ということは、あいつらもエレメントが無効化されているはず。魔法を使えないのはお互い様だ。
さっきの小さいガキの魔法を消したことで、アイツらは魔法が使えないと思い込んでいるだろう。だから、この森の無効化に気付いてない可能性が高い。」
「あぁ、確かに。」
「あっちの人数は多いが、ほとんどケガをして使えない奴ら・・・。注意するのは生徒会《プリンシパル》の2人ぐらいだ。こっちが十分優勢だよ。それに、いざとなったらこのエレメントストーンを使えばいい。」
そう言ってポケットから数個のキューブ型の石を取り出す。それは、ガロが戦いの際に口に放り込み、噛み砕いた物だった。それぞれ赤と青と緑と黄色の色をした石は、艶やかに輝いている。
「エレメントストーンは魔法力の器に干渉をさせない、物理的な魔法発現を可能にする代物だ。効果は、オマエもよく分かっているだろ?無効化されたって関係ねーよ。なぁ、これを開発したゼロ君♪」
しかし、ゼロはファルナが持っているエレメントストーンを興味が無さそうに一瞥しただけだった。
「しかし・・・あまり長引かせると、そろそろコイツがくたばりそうだなぁ。」
ファルナはグイッとセリカの腕を引く。既にセリカの意識はない。
「まさか、もう死んでいるってことはないよな?」
ガロがセリカの様子を見ようとしたとき、キュポとした音が聞こえる。何かと視線を上げると、ゼロが小さな小瓶に入った回復薬を口に含んでいるところだった。
そして、ファルナから荒っぽくセリカを奪い取ると、無理やり開けた口へ回復薬《ポーション》を流し込んだ。
「おわっ!」
急な口づけにガロがおかしな声を出す。
セリカの口元から、漏れた回復薬が伝う。救助する為とはいえ、ガロには目の前の光景がひどく艶っぽく見えた。
セリカの喉元が小さく震えたことを確認したゼロは、手で自分の口を拭う。
そして、セリカの口元から零れる滴も拭うと、今度はもう1度優しくセリカに口づけをした。
「――ぅう・・・ん。」
流れ出ていた血が止まり、セリカの顔に血色が戻っていく。
一部始終を見ていたファルナが、深いため息をついたことにガロは気付かなかった。
「もう片付けるぞ。マジでクエストの時間が終わっちまうよ。ガロは火のエレメントストーンを持っとけ。」
「おぉ、分かった!」
セリカをゼロに預け、ファルナとガロはシラカンバから勢いよく飛び降りる。
「行くわよ、アイバン!」
「おぉ!!」
飛び降りた咎人たちを確認したシュリたちも、迎え撃つ体勢に入った。
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