上 下
19 / 55
第2章 帰依

十一話 素直になれない距離感

しおりを挟む
――――翌朝――――


アミは二人が寝ているだろう部屋へ、起こさぬ様そっと近付く。


“――あの二人はちゃんと仲良く寝ているかしら? 歳も近いんだから、もうちょっと打ち解け合って欲しいな……”


彼女はそんな想いを胸に部屋の障子をそっと、音を起てる事無く開く。


『あっ!』


思わず声が出そうとなるのを堪える。


昨夜までは、お互い背を背き合っていた二人。素直になれない、その距離感。


でもアミが其処で見た光景は、お互いが向き合って安らか寝息を立てる二人だった。


「良かった……」


“作戦は成功かな?”


アミは二人の頭上の床にそっと腰を落とし、寝ている二人の頭を優しく撫でる。


“出来れば闘いなど無くなって欲しい……”


今は叶わぬ願い。だけど願わずにはいられない。


この時が何時までも続きますようにーーと。
しおりを挟む

処理中です...