18 / 55
第2章 帰依
十話 生きる意味
しおりを挟む
「全く! 久々に姉様と寝れると思ってたのに、なんでアンタなんかと……」
アミの提案で“強制的”に二人で就寝となった事に、ミオは未だにぶつくさと文句を呟いていた。一つの布団で一緒なのにお互い背を向けているので、奇妙な構図となっている。
「……」
ユキに返事は無い。というより、対抗するのに疲れたと云った方が正しいのだろう。
「何よ、もう寝ちゃったの?」
反応が無いなら無いで寂しいもの。ミオは背を向き直り、反応の無いユキへせがむ様に問い掛けた。
「いえ……」
ユキは背を向けたまま返答する。
「なんだ、起きてるじゃん! まあ……いいわ」
正直疲れた。さっさと眠ってしまうのが一番。
ーー暗闇の空間の中、暫しの沈黙が流れる。
「そういやさぁ……」
沈黙に耐えられないのか、ミオが口を開く。ユキに返事は無いが、それに構わず独り言の様に呟いていく。
「ユキはどうして、そうまでして姉様の側に居てくれるの? そりゃあ狂座からここを守ってくれるのは助かるけどさ……」
ミオは二人から、狂座から光界玉を守る為に掟を越えた協力関係を結び、力を貸しているという事位しか聞いていない。
その為、ただアミの処で厄介になっているだけに過ぎないのではないかと。
「アンタ程の力があれば、守りに入る必要は無いんじゃないの?」
それはミオにとって不思議な点だった。守りながらの闘いは難しい上、そうまでして此処に居て闘う理由が見当たらない。
そもそもユキは、云わば部外者だ。正直この集落、一族にそこまでの義理は無いだろう。
だがミオは知らない。ユキが特異点で在るという事。彼女からしてみれば、その異質な髪色や瞳は少々変わった程度の印象でしかない。
そしてユキがアミの傍に居る理由も。
アミもユキも、過去の事はミオには話していない。否、わざわざ話す必要が無い。
話しても理解出来るものでは無いし、これはアミだけが心の内に仕舞っている。
「……生きる意味」
背を向けたまま、ユキはそっと呟いた。
「生きる……意味?」
ミオは彼の言っている意味が分からないかの様に、不思議そうな顔でオウム返しをする。
「アミを守る事が、私にとっての存在理由そのものなのですよ。それでは理由になりませんか?」
ユキの言葉の意味に、ミオはやっぱり理解出来ない。
でも一つだけ確かな事。
「よく分からないけど……。でもアンタがそこまで姉様を想ってくれてる事、それは分かるわよ」
“きっとユキは何があっても、姉様を守ってくれるだろうーー”
それは短いやり取りながらも感じた、確信とも云える絶対的な信頼ーー安心感。そして確かなる絆。
話は此処で途切れ、何時の間にか二人は深い眠りに堕ちていった。
アミの提案で“強制的”に二人で就寝となった事に、ミオは未だにぶつくさと文句を呟いていた。一つの布団で一緒なのにお互い背を向けているので、奇妙な構図となっている。
「……」
ユキに返事は無い。というより、対抗するのに疲れたと云った方が正しいのだろう。
「何よ、もう寝ちゃったの?」
反応が無いなら無いで寂しいもの。ミオは背を向き直り、反応の無いユキへせがむ様に問い掛けた。
「いえ……」
ユキは背を向けたまま返答する。
「なんだ、起きてるじゃん! まあ……いいわ」
正直疲れた。さっさと眠ってしまうのが一番。
ーー暗闇の空間の中、暫しの沈黙が流れる。
「そういやさぁ……」
沈黙に耐えられないのか、ミオが口を開く。ユキに返事は無いが、それに構わず独り言の様に呟いていく。
「ユキはどうして、そうまでして姉様の側に居てくれるの? そりゃあ狂座からここを守ってくれるのは助かるけどさ……」
ミオは二人から、狂座から光界玉を守る為に掟を越えた協力関係を結び、力を貸しているという事位しか聞いていない。
その為、ただアミの処で厄介になっているだけに過ぎないのではないかと。
「アンタ程の力があれば、守りに入る必要は無いんじゃないの?」
それはミオにとって不思議な点だった。守りながらの闘いは難しい上、そうまでして此処に居て闘う理由が見当たらない。
そもそもユキは、云わば部外者だ。正直この集落、一族にそこまでの義理は無いだろう。
だがミオは知らない。ユキが特異点で在るという事。彼女からしてみれば、その異質な髪色や瞳は少々変わった程度の印象でしかない。
そしてユキがアミの傍に居る理由も。
アミもユキも、過去の事はミオには話していない。否、わざわざ話す必要が無い。
話しても理解出来るものでは無いし、これはアミだけが心の内に仕舞っている。
「……生きる意味」
背を向けたまま、ユキはそっと呟いた。
「生きる……意味?」
ミオは彼の言っている意味が分からないかの様に、不思議そうな顔でオウム返しをする。
「アミを守る事が、私にとっての存在理由そのものなのですよ。それでは理由になりませんか?」
ユキの言葉の意味に、ミオはやっぱり理解出来ない。
でも一つだけ確かな事。
「よく分からないけど……。でもアンタがそこまで姉様を想ってくれてる事、それは分かるわよ」
“きっとユキは何があっても、姉様を守ってくれるだろうーー”
それは短いやり取りながらも感じた、確信とも云える絶対的な信頼ーー安心感。そして確かなる絆。
話は此処で途切れ、何時の間にか二人は深い眠りに堕ちていった。
0
あなたにおすすめの小説
灯火
松石 愛弓
恋愛
子供のいない男爵家に、幼少時に引き取られたフィーリア。
数年後、義両親に実子が授かり、フィーリアは無用とばかりに男爵令嬢の立場から使用人扱いにされる。
意地悪な義母と義妹の浪費癖のため、無償労働のメイドとしてこき使われる辛い日々。
そんなある日、フィーリアに転機が訪れて・・
珍しくシリアスな感じのお話を書いてしまいました
いつもはこんな感じなのに・・ ^^;
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/122288809/episode/2034446
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/658488266/episode/4191823
新作です。毎週土曜日に更新予定です。興味を持っていただけましたら幸いです。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/910027059/episode/10733961
【完結】お父様の再婚相手は美人様
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
シャルルの父親が子連れと再婚した!
二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。
でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。
レオナルド先生創世記
ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる