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第2章 帰依
十話 生きる意味
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「全く! 久々に姉様と寝れると思ってたのに、なんでアンタなんかと……」
アミの提案で“強制的”に二人で就寝となった事に、ミオは未だにぶつくさと文句を呟いていた。一つの布団で一緒なのにお互い背を向けているので、奇妙な構図となっている。
「……」
ユキに返事は無い。というより、対抗するのに疲れたと云った方が正しいのだろう。
「何よ、もう寝ちゃったの?」
反応が無いなら無いで寂しいもの。ミオは背を向き直り、反応の無いユキへせがむ様に問い掛けた。
「いえ……」
ユキは背を向けたまま返答する。
「なんだ、起きてるじゃん! まあ……いいわ」
正直疲れた。さっさと眠ってしまうのが一番。
ーー暗闇の空間の中、暫しの沈黙が流れる。
「そういやさぁ……」
沈黙に耐えられないのか、ミオが口を開く。ユキに返事は無いが、それに構わず独り言の様に呟いていく。
「ユキはどうして、そうまでして姉様の側に居てくれるの? そりゃあ狂座からここを守ってくれるのは助かるけどさ……」
ミオは二人から、狂座から光界玉を守る為に掟を越えた協力関係を結び、力を貸しているという事位しか聞いていない。
その為、ただアミの処で厄介になっているだけに過ぎないのではないかと。
「アンタ程の力があれば、守りに入る必要は無いんじゃないの?」
それはミオにとって不思議な点だった。守りながらの闘いは難しい上、そうまでして此処に居て闘う理由が見当たらない。
そもそもユキは、云わば部外者だ。正直この集落、一族にそこまでの義理は無いだろう。
だがミオは知らない。ユキが特異点で在るという事。彼女からしてみれば、その異質な髪色や瞳は少々変わった程度の印象でしかない。
そしてユキがアミの傍に居る理由も。
アミもユキも、過去の事はミオには話していない。否、わざわざ話す必要が無い。
話しても理解出来るものでは無いし、これはアミだけが心の内に仕舞っている。
「……生きる意味」
背を向けたまま、ユキはそっと呟いた。
「生きる……意味?」
ミオは彼の言っている意味が分からないかの様に、不思議そうな顔でオウム返しをする。
「アミを守る事が、私にとっての存在理由そのものなのですよ。それでは理由になりませんか?」
ユキの言葉の意味に、ミオはやっぱり理解出来ない。
でも一つだけ確かな事。
「よく分からないけど……。でもアンタがそこまで姉様を想ってくれてる事、それは分かるわよ」
“きっとユキは何があっても、姉様を守ってくれるだろうーー”
それは短いやり取りながらも感じた、確信とも云える絶対的な信頼ーー安心感。そして確かなる絆。
話は此処で途切れ、何時の間にか二人は深い眠りに堕ちていった。
アミの提案で“強制的”に二人で就寝となった事に、ミオは未だにぶつくさと文句を呟いていた。一つの布団で一緒なのにお互い背を向けているので、奇妙な構図となっている。
「……」
ユキに返事は無い。というより、対抗するのに疲れたと云った方が正しいのだろう。
「何よ、もう寝ちゃったの?」
反応が無いなら無いで寂しいもの。ミオは背を向き直り、反応の無いユキへせがむ様に問い掛けた。
「いえ……」
ユキは背を向けたまま返答する。
「なんだ、起きてるじゃん! まあ……いいわ」
正直疲れた。さっさと眠ってしまうのが一番。
ーー暗闇の空間の中、暫しの沈黙が流れる。
「そういやさぁ……」
沈黙に耐えられないのか、ミオが口を開く。ユキに返事は無いが、それに構わず独り言の様に呟いていく。
「ユキはどうして、そうまでして姉様の側に居てくれるの? そりゃあ狂座からここを守ってくれるのは助かるけどさ……」
ミオは二人から、狂座から光界玉を守る為に掟を越えた協力関係を結び、力を貸しているという事位しか聞いていない。
その為、ただアミの処で厄介になっているだけに過ぎないのではないかと。
「アンタ程の力があれば、守りに入る必要は無いんじゃないの?」
それはミオにとって不思議な点だった。守りながらの闘いは難しい上、そうまでして此処に居て闘う理由が見当たらない。
そもそもユキは、云わば部外者だ。正直この集落、一族にそこまでの義理は無いだろう。
だがミオは知らない。ユキが特異点で在るという事。彼女からしてみれば、その異質な髪色や瞳は少々変わった程度の印象でしかない。
そしてユキがアミの傍に居る理由も。
アミもユキも、過去の事はミオには話していない。否、わざわざ話す必要が無い。
話しても理解出来るものでは無いし、これはアミだけが心の内に仕舞っている。
「……生きる意味」
背を向けたまま、ユキはそっと呟いた。
「生きる……意味?」
ミオは彼の言っている意味が分からないかの様に、不思議そうな顔でオウム返しをする。
「アミを守る事が、私にとっての存在理由そのものなのですよ。それでは理由になりませんか?」
ユキの言葉の意味に、ミオはやっぱり理解出来ない。
でも一つだけ確かな事。
「よく分からないけど……。でもアンタがそこまで姉様を想ってくれてる事、それは分かるわよ」
“きっとユキは何があっても、姉様を守ってくれるだろうーー”
それは短いやり取りながらも感じた、確信とも云える絶対的な信頼ーー安心感。そして確かなる絆。
話は此処で途切れ、何時の間にか二人は深い眠りに堕ちていった。
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