Feit

ソラ

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ほうれんそう

連絡(4.5話)

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あたしは、男ってやつが嫌いなのかもしれない。




後輩の悩みを聞きながら横でこんなことを考えるあたしは何なんだろうかって思うけどね。

時間は遡って数時間前。
職場の飲み会で集まっていた時に後輩がいきなりキレ始めた。

正直言って、迷惑な話だ。
楽しく飲むべき場所、先輩を立てるべき場所で自分の心を構わず吐き出して雰囲気を悪くして悪びれる様子もない。


酒が入ってたこともあり、思わずカッとなったあたしは、後輩を外へ連れ出して怒ってしまった。

「おいてめぇ、飲みの席くらい目上を楽しませろよ。ちっと老いぼれ共からガヤ食らってムキになるような小さい心しかねぇのならXXX切っちまえよ本当にXXXXついてんのか?潰されてぇか?」

言ってから後悔した。
あたしは少しだけ胸がチクリと傷んで、過去の出来事を思いだす。

(また、やっちゃったよ。あたしの悪い癖だなぁ)

そして、後輩が申し訳なさそうに謝ってきた。
謝れるんじゃん。最初からそうすればいいのに…

なんか、すごい思い詰めてるなこいつ。

(あたしのせいで嫌な思いして、ほんとにxxx切ったりしたら後味悪っ。相談くらい、乗ってやるかな…)

そうして、思い立ったあたしは、職場の先輩方に騒ぎを起こしたこと、勝手に帰ることを謝って、外にいる後輩の手を引いた。


そして、時は戻り、場所を移した飲み屋で後輩の悩みを聞いていた。
聞けば、後輩は彼女に浮気をされていたそうだ。
高収入、高学歴の男に傾いたとかって。


女のあたしからすると、まぁ、いい玉の輿見つけたもんだって感心する反面、なんとも欲望に忠実なクソビッチなんだろうと顔も分からない女に呆れた。

酒の勢いも進み、後輩がぐずりながら呟く。

「あーあ、高校とか卒業直後は付き合ってて楽しかったのにな。
なんでこんなことになっちゃったんだろう?
明莉さーん、僕の何がいけなかったんでしょう?」


正直な感想。




知るかっ!!
あたしはあんたの彼女でもなけりゃ友達じゃないんだよ。

そんなこともお構いなしに色んなことを愚痴ってくる後輩。

「性格は好きなのに浮気するってどゆことー?
愛は金じゃ買えないんじゃねーのかよー
もう、女なんて信じらんねーよー」

もう、イライラも限界近くなってきてキレようかと思ったその時。

バタッとテーブルに倒れ込む後輩。
あたしは、驚いて後輩の体を力強く揺する。

「おーい!死ぬな!起きろー!」

しかし、それも無駄だった。
後輩はスヤスヤと寝息を立てて寝ていたのだ。

(はぁー………世話が焼ける。まるで、弟みたい)

しょうが無いので、お店のお会計を済ませ、タクシーを呼ぶ。
叩き起こして家まで連れて行ってもらおう。


が、、、その目論見は崩れた。
(こいつ、ほんとに何なの!全く起きないんだけど?)

後輩の顔は赤くなっており
あたしのビンタの威力を物語っていた。

タクシーを呼んだはいいけど、こんなんじゃ置いていけないし…

あたしは、しょうがなく、自分の住むアパートに後輩を連れて行った。

最悪、両手両足でも縛っとけば何もされないだろうし。


ベッドまで後輩を肩を担いで運ぶ。
横になって後輩の顔が少しだけ微笑んだように見えた。

(幸せな夢でも見たのかな?)

後輩の落ち着いた寝顔を見てひとまず安心したあたしは
少し酔いを覚まそうとベランダに出てポケットからタバコを取り出して火をつける。


ふぅー、と吐き出した煙が夜風に舞って進んでいき、その様子をじっと、ただ見つめた。

ガタンガタンと近くを通る電車の音、吹き抜ける風の音。
夜っていう時間は好きだ。
こんなあたしでも受け入れてくれる気がするから。


ぎゅっと自分の腕を掴んでただ、ただ、俯く。


ジジジと燃えて灰が地面に落ちていく様を見た時に
あたしみたい、と自嘲気味に笑ってタバコの残りを吸った。

そして、なるべく色んなことを考えないようにと
頭を振って、ベッドに入る。


目の前には、神野の顔がある。
少し前に出ればキスでも出来そうな距離だ。

…まぁ、そんな気はないけども。

穏やかな顔の神野を見て不思議と、あたしは、いつもよりも早く眠気が襲ってきてまぶたが重くなった。


あたしも、神野に影響を受けたかな?
少しだけ、幸せな夢でも見れそうな気がしてきて、微睡みの世界に入っていった。

(まさふみ…)

戻るはずのない彼の名前を呼びながら。。





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