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ほうれんそう
相談(5話)
しおりを挟むあの飲み会の日から3ヶ月が経ち、僕はいつも通り仕事をしていた。
あの日、帰り際に明莉さんから
「とりあえず、お互いのためにも泊まったことは内緒ね!言ったら…分かってるよね?」
そう笑顔で爽やかに脅され身の危険を感じた僕は
何も言わず、ただ、黙々と仕事に励んだ。
あれから、明莉さんと僕の関係で変わったことが一つ
前は、会社で会っても挨拶だけで終わっていた。
最近では、何回か一緒に食事に行くことが増えたのだ。
仕事のことや、元カノの話。色んなことで相談し、たまに明莉さんの悩みを聞いたり、お互いに相談しあえるいい仲になれたと思えている。
日が経つごとに悶々と頭の中であの日の出来事や奏と別れたことを考える。
休憩時間になり休憩室のソファで一人、はぁーとため息をついていると
後ろから影が近づいていることに気づき、声をかける。
こんな事をするのはあのバカしかいない。
「バレてるぞ、敬之」
すると影はビクッと動きを止めて、影から顔を出した幼馴染の顔に変わる。
敬之はアハハと頭をかきながら笑って近付いてきた。
「いやー、びっくりさせようと思って来たんだけどバレちゃったかー」
「まず、足音聞こえてたしバレバレだ。お前も休憩か?」
オレの言葉を聞いて、少し困った顔をしながら話しを続ける幼馴染。
「ん、まぁね、そういえばさ、お前と明莉さんって付き合ってんの?」
その言葉を聞いて一瞬、意味が分からなくて動きが止まった。
その空白の時間が逆に気まずいのか敬之はマジなの?と口パクで言ってくる。
「いやいや!こないだのは、場所を変えて相談を聞いてもらっただけだよ!別にそんな関係じゃないって!」
僕は思わず赤面して必死に否定する。
逆に、その必死さが怪しまれるとも知らずに。
怪訝な顔をしながら幼馴染はさらに追求してくる。
「ふーん?そういえば、話がもう一つあったんだよ」
「なんだよ?」
「お前、結局、家に帰ってこなかったよな?
オレ、心配して家に行ってやったのに。」
敬之は、見たこともない、ニコリと悪魔のような笑みを浮かべて続ける。
「どこに泊まったんだ?ラブホか?」
冷や汗が頬を伝っていく。
僕は、自分でも驚くほど動揺していた。
「いや、明莉さんと別れたあとに、眠くなって死にそうだったからネカフェに泊まったぞ」
努めて冷静に、冷静に言ったつもりだ。
しかし敬之は怪しんだ様子で見ている。
そして、しばらくの沈黙。
「ふーん?まぁ、どうでもいいけど、
明莉さんと付き合いたいんなら
もう少し身長がなきゃな。あと、顔を変えなきゃなーハッハッハ」
そう言って、敬之は休憩室から出て行く。
安心した僕は、ため息をついて改めて明莉さんの事を考える。
高身長、出るところは出ていてきゅっと締まっていてスタイル抜群。仕事もできる、キャリアウーマン的な女性。
……て、ドラマから出てきたみたいだな(笑)
(まぁ、実際、相手にされてないんだけど)
敬之の言った言葉を改めて噛みしめる。
ほんとに、歯がゆい。
気持ちは、確かに明莉さんに向いているんだろう。
ただ、それでも、気持ちを断ち切るということは難しいことで、諦めきれない。
でも、それで気持ちを伝えたところで、
いい答えが返ってくるはずがないことも分かっている。
(分かっては…いるんだ)
僕が頭を抱えて分かりやすく悩んでいると
ポケットに入れていたスマホが、震えだす。
表示された名前に、心底びっくりした。
何で、このタイミングで来るのかな?エスパー?
そう。あの人は、いつもこんな風にタイミングを読んだように誘いのメールを送ってきたんだ。
その、誘いのメールを見た時に、僕は、自分でも分かるくらいに気持ちが高揚していた。
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