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転機。そして集まった道
こども心(6話)
しおりを挟む少し肌寒い夜の風。
住んでいるアパートの近くで立って、待ち人を待っている僕はふと、公園を見た。
風に揺れて動いているブランコ。
昔は、無邪気に立ち漕ぎとかしてはしゃいでいたっけ?
その近くには寂しげに傾いているシーソーがあった。
そういえば、小学生の頃に敬之とシーソーで勝負をして、勝ったら好きな子に告白できるとかって
今考えると訳のわからない勝負をしたこともあったなぁ。
「あぁー、昔は何でくだらないことでもあんなに純粋に楽しめたんだろう。
今はやる気も起きないし、やっても楽しめる気はしないなぁ」
誰に言うでもなく、ただ、僕は昔の自分に問いかける。
そう、昔を懐かしんでいると…
「心が汚れちゃったからじゃないの?」
いつの間にか明莉さんが3m程離れた街灯に背中を預けて立っていた。
さらっとひどいことを言うなぁ先輩。
あなたの心はさぞかし綺麗なんでしょうね。と
僕は心の中でツッコむが、明莉さんは何かを察したのか少し顔を怖くして見つめていた。
僕はその様子を見て苦笑いをしながら、彼女のもとへと向かう。
「あたしの心はいつだってオフホワイトよ」
そんな嫌味を言われながら2人で歩き出す。
そして、改めて問いかけた。
「明莉さん、どうして大人になるとこんなにも毎日が楽しいなって思えないんでしょうか?」
「そりゃ、神野の心の問題でしょ。あたしは毎日、じゃないけどそこそこ楽しいと思ってるよ?」
ごもっともだ。
この世で生きているのは僕だけじゃない。
毎日を楽しんで生きている人だっているだろう。
何かを楽しみに生きている人だって、
楽しいと思い込んで生きている人だっている。
僕みたいにつまらないと嘆く人も、
楽しいことを心から楽しめない人だっているだろう。
実際、僕の心は純粋とは言いがたい。
「だったら、どうしたら楽しめるんでしょうね。
仕事も、プライベートも楽しめない僕は…」
僕が俯きながら、そんなことを言っていると
明莉さんがぴたっと立ち止まり、頭を抱えた。
「あぁー、めんどくさいなぁお前は!だったら恋人作ったり、酒飲んでみたりゲームしたり、本を読んでみたり色々とあるでしょうよ!そんなだから彼女も!」
明莉さんは言ってからハッと目を見開いて後悔したようだった。
僕は明莉さんの言おうとした言葉の続きが分かっていた。だから、笑った。
「分かってますよ。僕がこんなんだから、彼女も愛想を尽かしたんでしょう。」
その言葉を聞いて、面倒くさがってるような、哀れんでるような複雑な感情で見ている明莉さん。
「ごめん。言い過ぎた。あんたさ、性格そんなに悪いわけじゃないんだから、落としといてなんだけど…もっと自信を持ちなよ。」
そう言ってから、はぁーとため息をついて
本題に入る。
「とりあえず、ご飯でも食べに行こうよ。しょうがないから、おごったげるから」
その言葉を聞いて、少しだけ微笑んで
僕は歩き出す。
「はい。おごりなら、肉食べたいです」
そんな僕を見て明莉さんも少し笑う。
「調子に乗んな。ばーか」
僕の心も、少しだけ、歩き出した気がする。
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