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転機。そして集まった道
ともだち(6.5話)
しおりを挟むあいつは、いつも友達の輪にいた。
決して目立つ方でもない。かといって地味なわけでもない。
ただ、人とは違った魅力を感じたのかもしれない。
友達といる時には笑顔で話をしたり、盛り上がって、馬鹿なこともしていた。
でも、ふとした時にどこか、人を観察している。
悪く言えば、値踏みしている。
まるで、誰かに裏切られることを拒むように一線引いた場所から物事を見ている気がした。
そいつとは、小学校の頃から一緒だった。
きっかけは何てことはない。学校のジャングルジムで遊んでいる時にそいつから声をかけてきたんだ。
「ねぇねぇ、僕も混ぜてー」
ぱっと見は普通の奴だった。
ケンカが強そうとか、根暗そうなやつとか、そういう感じじゃない。ひまわりみたいに笑う明るいやつだった。
「いいぜ。お前って確か同じクラスだよな?オレは徳島敬之ってんだ。お前は名前なんだっけ?」
「僕はね…」
そう、それが神野龍哉との出会いだった。
そこからはいつも一緒に遊んだり、女の子に意地悪してみたり、好きな子が一緒だったからその子をかけて勝負したり、色んな思い出がある。
そんなオレらも高校に入った頃、龍哉に彼女ができた。
なんか分からないけど親心みたいな気持ちだった。
純粋に嬉しかったし、いじるのが楽しみだと思った。
彼女は、おしゃれでノリが良くて今時の女子高生って感じの第一印象だった。
付き合っている時もお互いに仲良くデートに行ったりっていう話も聞いたことがあったっけな。
オレは二人のことをお似合いだと思っていた。
ある日の放課後、龍哉と二人になる時があって今さらだとは思ったがいい機会だと思い、観察していた理由を聞いてみた。
「あはは、敬之にはバレてたんだね」
龍哉は苦笑いしながら、その理由を話してくれた。
「僕はね、裏切られること、今まで仲良くしていた人達が急に僕のことを悪く言ったりするんじゃないかって怖いんだ」
オレは思わず「は?」と声が漏れた。
こんな人に好かれてる奴がそんなことを気にするのかと不思議に思った。
「いやいや、考えすぎだろ。第一、お前のこと嫌いな奴なんて…」
「頭では分かってるつもりなんだ。でも、人なんて口では何とでも言えるんだよ…よく言うでしょ?詐欺師だって最初は人が良さそうに見えるってさ」
なんて言うのかな…
こいつの心の中の影が見えた気がした。
いつも明るいやつほど闇が深い。
みたいな事を本かテレビか何かで言っていて理解できなかったが、龍哉の話を聞いてこの瞬間に初めて理解できた。
だからこそ、オレは、気になって聞いてみた。
「じゃあ、もしかしてオレのことも信用できないのか?」
龍哉は、少し困ったように笑いながら口を開いた。
思い出は、そこで真っ白になって
オレの意識はそこで唐突に目覚めた。
起きたらそこは、見慣れた部屋だった。
朝日がカーテン越しに差して、部屋に飾ってあるインテリアを照らす。
「夢…か。何だって夢の中でまで野郎のこと考えなきゃなんねーんだか」
何となく気分が悪くなり洗面台へと向う。
眠たい目をこすりながらとてとてと歩いていきふと、考えた。
そういえば、あん時あいつはなんて言ってたんだっけな?
ちょっと考えたが、バカらしくなって頭を振った。
今も、職場でも、プライベートでも一緒につるんでることが答えってことでいいだろ。
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