14 / 14
転機。そして集まった道
ドナドナ、ある女の話(10話)
しおりを挟む自分で言うのもなんだけど、私は人並みより可愛いと思っている。
高校でもそれなりの見た目の彼氏を作った。
彼は、一途でいつでも私を見つめてくれてて愛してくれた。
そんな彼を好きだった。
でも、心の奥ではどこか満たされなかったのに気付いたのは社会に出てから。
社会人になり、それなりに出会いの場も増えて
寄ってくる男も色々な魅力を持った人が多かった。
金、地位、精力、見た目、それらを満たした人。
初めて、彼以外の男と抱き合ったことをキッカケというわけでもないが
あぁ、私は今まで損をしていたのかもしれない。そう思った。
あれ?彼は私に何を与えてくれたんだっけ?
心の奥にあったものが吹き飛ぶ感覚に陥った。
その感覚に身を委ねたら、
私は今以上にいい女になれるのか?
彼以外の男に抱かれているというのにそんなことを考える私は世間からみたら
『最低』
この言葉でしか表せないだろう。
でも、この気持ちよさは止められない。
まるで、麻薬を使ったかのような中毒性。
そして、気付いたら墜ちていた。
ある日、私は彼に別れを告げたの。
「高校の頃は楽しかったけど
収入も少なくて先が望めないあなたよりも
高収入、高学歴のキャリアのある人の方がいいの。
これだけは信じて?あなたの性格は嫌いじゃないし、今でも好きなの」
そう言った後、彼は無言で電話を切っていた。
呆れたのか、悲しかったのか、その後は彼とは連絡を取っていないから本心は分からない。
でも、いいんだ。
私には金も名誉も何もかもある。
今までの生活とはオサラバなのだ。
プルル、プルル
携帯が鳴る。
相手はいつしか抱き合った社長さん。
「はーい、どうしたのー?」
いつもよりワントーン高めの声で電話を取る。
しかし、受話器から聞こえてきた声は社長のものではなかった。
「どうもこんにちは、あなたが社長さんの女でしょうか?」
聞こえてきた声は社長よりも若そうで、
思わず悪寒が走るほどのにこやかで、どこか嘘を感じさせる話し方だった。
本能で分かっていた。この人はヤバイと。
そう思った私は思わず嘘をついた。
「いいえ、違いますけど、、」
そんな私の言葉を聞いた男は、先程までとは違う雰囲気で脅すように話を続けた。
「嘘つくんじゃねぇよ。こっちは全部把握済みなんだ。社長は夜逃げしやがったからてめぇが借金のカタになれ」
カタ??
カタとは肩代わりのことだろうか?
なぜ私が?
ぐるぐると疑問が湧くが、そんな私の心とは裏腹にヤクザは更に言葉を続ける。
「ちなみに、住所も知ってっから。可愛そうだねぇ、あんな親父に騙されてさぁ。連帯保証人にまでされて。でも大丈夫、いいお店知ってるからそこで働けば借金なんてあっという間だよ」
私はぼーっと遠くの事のように聞いていた。
騙された?いつ連帯保証人に?
疑問がぐるぐると周り、その間に電話口から更に絶望的な言葉が聞こえてくる。
「ちなみに、今日から出勤だから迎えに行くよ。逃げたら…分かってるよね?」
プツッ。電話が切れたあとも私は何も考えることができず、ただただ、遠くを見ていた。
そして、ふと、助けを求めようと電話帳を開く。
今までに関係を持った人、友達、みんなに相談をした。
だが、返ってくる答えは一緒だった。
「自業自得だ。オレ(私)には関係ない」
あぁ、これは、罰なのかもしれない。
ちゃんと愛してくれる人を裏切り、自分の欲のために人を騙して利用したこと、全てのことへの。
最後に、クモの糸を掴む気持ちで龍也の電話番号にかけようとする。
しかし、電話帳に残っていないことに気付く。
そう、消していたことを忘れていたのだ。
私は、一つの救いもないまま売られていくのか。
……まぁ、気持ちいいことを仕事にするのなら、いいのかもね。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる