死者は嘘を吐かない

早瀬美弦

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第一章

第一章 4

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 昨日と打って変わって、午前中は人の往来があった。老人には厳しいであろうこの階段を疲れた様子も見せずむしろ速いペースで上っていく老婆に二人は挨拶をする。すると老婆も愛想よく「おはようございます」と笑みを見せてくれた。階段を下りると活気があるとは言えないけれど、まばらに人の姿が見える。高遠は額から流れる汗を手の甲で拭うと畑の前で休憩している老夫婦に近づいた。
「おはようございます」
 面食らった様子の老夫婦は何度か瞬きをしてから「おはようございます」と返事をする。見慣れない若者を不審な目でじろじろと見てから、思い出したように手を叩いた。
「イブキ様に会いに来た霊能者ってアンタかい」
 高遠はすぐに頷く。
「高遠と申します。お時間があるようでしたら、そのイブキ様についてお聞かせ願えませんか?」
 相手を委縮させないよう高遠は少し屈んで二人に話しかける。少しぐらい笑って見せれば相手は警戒しないと言うのに、表情筋が凝り固まっているのか口角すら上がらない。こんな無愛想なしかも自称霊能者なんて胡散臭い男に話などするわけないのが常識人だが、そんな胡散臭いのがこの村にはもう一人いるせいか、二人は「いいよいいよ」と顔を綻ばせた。あまりに親しみ深い態度に高遠は訝しむ。渡辺と名乗った老爺はゆっくりとした口調で語りだした。
「この村は昔からよく雨が降ってね。よくあの川が氾濫して困っていたんだ」
 そう言いながら渡辺は村の端にある川を指差した。誘導されるようにそちらを見ると、太陽の光をきらきらと反射させる清流が目に写った。少し冷たい風がぶわりと吹き、稲がざわざわと騒ぎ立てる。
「初代イブキ様がその昔にここまで水が流れてくると予言されて、みんなそんなことはほとんど信じちゃいなかったらしいけれど、本当にここまで流れてきて田んぼ側に建っていた家はほとんど流されてしまったらしい」
 そう言って渡辺は村の中心を縦断する道路を指差した。
「それからみんなイブキ様の予言を信じて、この道路より山側に家を建てるようにしたんだ」
「へえー、イブキ様すごーい」
 純粋な感想を美琴が漏らす。それが嬉しかったのか、二人は満足そうに頷いた。
「今でも時たま川が氾濫して、ここまで流れ込んでくることがある。まあ、田んぼが台無しにはなるが、家が流されないだけマシってもんだよ。イブキ様の予言を無視した連中は大勢死んだらしいからねえ」
 濁流が物凄い勢いで流れ込んでくるのだから、被害はかなり大きかっただろう。信じていた人は救われて、信じなかったものは死んだのだから、その惨事を目の当たりにした村人はみなイブキ様を信じた。その予言は確かに奇跡だったが一度きりで今の立場を確立したとは到底思えない。それからも色々と予言しては当ててきたはずだ。真実は今になってはもう分からないけれど。昨日、十倉から聞いた話と同じだが、渡辺の方が詳しくて分かりやすい。
「日照りで水不足になるからため池を作ったりとか、保存できる食べ物を多めに作ったり、明日は霜が降りるとみんなに注意してくれたりしたよ。今ではテレビで教えてくれるけど、昔はそうもいかなかったからね。飢饉のときもかなり助けられたそうだよ」
 何て便利な天気予報だ。しかも命中率百パーセントなら今でも十分に機能するだろう。しかし渡辺はテレビと言ったので、今はその力も影を顰めているようだ。
「そう言えば、今のイブキ様は去年に儀式をされて奇跡を起こしたと聞きましたが、一体、どんな儀式だったんでしょう?」
 昔話について知識はほとんど得ているのか、高遠はさらりと話を流して質問をする。意気揚々と語っていた渡辺はいきなり今のイブキ様について話を振られて戸惑っているようだった。
「え……、あ、さぁ? どうだったかな、バアさん」
「さあ? 詳しいことはよく聞いてないねぇ」
 いきなり口が重くなった二人に美琴は首を傾げる。
「イブキ様が一度死んで生き返ったと聞きましたが」
「あぁ、そんなこともあったな。どっかの偉い人が遠くから来たって十倉さんが言っていたよ。石橋先生がイブキ様の死を確認されたから間違いはない」
「石橋先生?」
 聞きなれない言葉に高遠は首を傾げた。
「この村のお医者様だよ。それはもう名医で、我々をよく助けてくださった。残念なことに、イブキ様の儀式の後、すぐに亡くなってしまったけれど」
 寂しそうに俯く表情を見て、高遠は質問を続けなかった。この村の医者なら、手を組んでいた可能性も考えられる。やはり噂はガセなのか。
「そんな死んだのに生き返るわけないじゃん。何、言ってんの?」
 バカにしたような目で美琴は高遠を見上げた。そんなことを口にされなくても分かっている高遠は美琴を無視して次の質問をしようとしたとき、ごろごろと雷鳴が聞こえてきた。空を見上げると分厚い雲がこちらに向かってくる。
「今日は降らんと言っていたのに、最近の天気予報は当たらんなぁ」
 憎々しげに老爺が呟く。
 高遠の質問に美琴が茶々を入れ、二人が笑顔で答えているうちに雲行きは怪しくなった。冷たく強い風が吹き荒れ、そろそろ戻ろうかと話している最中に雨が落ちてきた。そこから降り出した雨は一瞬だった。雷鳴を耳にして五分ほどしか経っていなかったが、思っていたより雲の動きは早かった。
「わわ、凄いよ、この雨!」
「早く走れ」
「分かってるよ!」
 とろとろとしている美琴を急かすも、寸分先すら見えないこの状況ではあっという間にずぶ濡れだ。走って階段に向かうと傘を持った人影が見える。顔に張り付く髪の毛を手で払い、高遠は眉間に皺を寄せて前を見つめた。
「あれ? 明也くんかな?」
 高遠の隣を通り過ぎて美琴は明也に近づく。
「あの、これ、よかったら使ってください」
 明也はそう言って傘を二人に差し出す。今更、傘など貰っても無意味だが、厚意は無駄に出来ない。美琴は満面の笑みを浮かべて「ありがとう」と受け取る。
「わざわざありがとう」
「いえ……、あ、そろそろ昼飯なので、呼びに行こうと思ったら、向こうから雨雲が見えて……、ちょっと遅かったですね。すみません。タオル、取ってきます」
 明也は高遠に傘を押し付けると階段を駆け上がっていく。
「あー! 高遠が怖い顔してるから、怒ってるって勘違いされちゃったじゃん」
 逃げるように去っていった明也を見ながら美琴は言う。高遠は傘を開きながら「怖い顔なんてしていない」と否定し、水が滴る服を絞る。雨が降り出してから風も強くなり、気温が一気に下がって体温を奪われた。
 家に戻ると二人が濡れて帰ってくると分かっていたのか、それとも明也が伝えたのか、玄関先で十倉がタオルを持って待ち構えていた。美琴は傘を閉じるとそのまま傘立てに突っ込む。
「いきなり降ってきて驚きましたね。大丈夫ですか、高遠先生に早瀬さん」
「わーい、ありがとうございまーす!」
 タオルを受け取るなりに美琴は靴を脱いで上がってしまう。まだ玄関にも入っていない高遠が注意する隙すら与えず、そのまままっすぐ部屋に向かった。色々と言いたいことはあっただろうけれど、歩く非常識と呼んでいる美琴に何を言っても無駄だ。諦めたようなため息が聞こえた。
 部屋に戻ったのはいいが、この濡れた服をどうしようか思案していると、ゆっくり階段を上ってくる足音が聞こえる。美琴が部屋に到着してから十分は経っていた。
「着替えるなら洗面所に行け。洗濯機、貸してもらうことにしたから」
「分かったー」
「あとその濡れた靴下を早く脱いで足を拭け。お前が歩いたところは水溜りが出来ている。迷惑だ」
 言われて足元を見ると、畳に自分の足跡が出来ている。高遠はすでに脱いでいて、しかも服も濡れているが水気はしっかり切ってあった。ぼたぼたと滴らせているのは美琴だけだ。
「何で僕のほうが高遠より濡れてるの?」
「俺は外で服を絞ったからだ。喋ってないで早くしろ。あぁ、あと傘はちゃんと水を切ってから……」
「あー、もー! うるさいよ! 高遠の長話聞いてたら、風邪ひく!」
 美琴は両耳を押さえるとそのままタオルと着替えを持って部屋を出る。
「俺は常識の話をしてるんだ。おい、バカ!」
「僕は風邪ひくから、バカじゃないもん!」
 そういうことを言っているわけではない。これ以上、くどくどと話を聞きたくない美琴は階段を駆け下りた。高遠は間違っていない。しかし美琴は「自分だけが正しいと思うなよ」と呟く。どうやら自分がどれほど常識のない行動をしているのか理解していないようだ。さすがは歩く非常識。
 洗面所へ行き、服を着替える。雨にあたっていた時間はそう長くなかったけれど、あっという間に全身が濡れたのでパンツの中までびっしょりだ。いっそこのまま風呂に入りたいが、用意されていないので諦めた。
 美琴が風呂から出ると入れ替わりに高遠が入った。既に着替えたのか先ほどと服が違う。
「昼飯の準備が出来てるらしい」
「わーい! やったあ!」
 ただで食べる飯ほど美味い物はない。高遠が何か言おうとしていたのを無視して美琴はリビングに向かって走り出す。中に入るとまず目に入るのはやはり大きな窓だ。雨はざあざあと音を立てて激しく降っている。帰ってきてから更に勢いは増したようだ。
「急に降りだしましたね」
 振り返ると十倉がにこりと微笑みながら外を見ている。
「びっくりしましたよー」
「イブキ様は通り雨だと言ってたんですが、この暑さですし。高遠先生もすぐいらっしゃるそうですから、どうぞおかけになってください」
 十倉に促されるままテーブルに着くと昼にしては豪勢な食事が並んでいた。この家の中だけなら平均年齢は二十代なので若者が好む洋食がメインだった。テーブルの端に並んだバケットが入った籠を見て美琴はがっかりする。朝もパンで昼もパンか。まだメインはパスタなので我慢できなくは無い。
「……お気に、召しませんでしたか?」
 遠くでこちらを見ていた長沢に尋ねられ、美琴は慌てて手を振る。
「いえいえ! 高遠のせいです!」
「何がだ」
 いいタイミングなのか、悪いタイミングなのか。丁度、リビングに高遠が入ってきた。
「お、遅いよ! 僕、おなか空いてるんだけど!」
 決してがっかりしていたわけではない、と長沢に態度で示す。遅いと怒られた高遠は何も言わずに美琴の隣に座った。余計なことを言って気まずさを感じたならそれは大きな進歩だ。
「いっただっきまーす!」
 失態を誤魔化すように美琴が声を張り上げた。
「高遠先生、村の人はどうでした?」
「みなさん親切ですね。自分みたいな素性の怪しい人物にも優しく教えてくれました」
 自称霊能者の素性の怪しさは高遠も自覚している。だからこそこの村の寛容さは違和感がある。「そんなことないですよ」と十倉は笑い、フォークにパスタをまき付ける。
「イブキ様についても色々知ることが出来ましたし、今日にも発とうと思っています。色々とご迷惑をおかけいたしました」
「えぇ!?」
 知らない間に帰ることが決まっていて美琴は大声を上げる。一言ぐらい相談があってもいいはずだが、旅の主導権を握っているのは高遠だ。何も考えていない美琴に相談なんて不要だ。
 用件がほとんど済んでしまった上、高遠がこんなにもあっさり終わらせたということはイブキ様が偽者だと確信があるのだろう。十倉は少し悲しそうな顔をして、その隣にいる明也は目を見開き高遠を凝視していた。いきなり帰ると言った高遠に驚きすぎではないだろうか。
「雨が上がればって、ところなんですが……」
「すぐに止むと思いますが、せっかくですし、明日の朝までゆっくりしてください。夕飯はご馳走にしましょう」
「お心遣い頂きありがとうございます」
 高遠は頭を下げる。一度死んで生き返っただの、そんな噂について美琴はほとんど分かっていないのでとても気になる。じろじろと高遠を見上げていると、何だ、という目を返される。
「帰る前にもう一度、イブキ様にご挨拶したいのですが、お時間ございますか?」
「……そう、ですね」
 十倉は空を見て気まずそうな顔をする。顔には不都合だと出ているが、高遠の申し出をあからさまに断ることも出来なさそうだ。
「天気が悪くなるとイブキ様の調子も悪くなりますので……、後で確認しておきます」
「よろしくお願いします」
 珍しく高遠が口元を綻ばせた。笑っているようにも見えるが、美琴の目には何か企んでいるようにしか見えなかった。
 成人男性でも満腹になる食事をようやく終えると、長沢がすかさずコーヒーを置いた。
「ありがとうございまーす!」
 コーヒーは苦いので牛乳と砂糖をたっぷり入れないと美琴は飲めない。味覚も基本的にお子様だ。カップから溢れんばかりに牛乳を注いでまずはそのまま一口飲み、嵩を減らしてから今度は角砂糖を五つ入れた。コーヒーが濃い目だったのか、それでも苦味を感じた美琴は牛乳と砂糖を足す。白に限りなく近いコーヒーだった液体を満足そうに飲み込んでいた。
「十倉さんに一つお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか?」
 ソーサーにカップを置き、高遠が尋ねる。
「えぇ、何でしょう」
「村の人たちにはイブキ様の力は知れ渡っているのに、どうして儀式をなさったのでしょうか」
「自分の力をより多くの方に知ってほしかった、とイブキ様は仰いました」
 思っていたより答えは早く返ってきた。イブキ様の力を知ってほしかったといっても、一度死んだ人物が生き返るなんて手品じゃあるまい。高遠は「そうですか」と言って、カップに残ったコーヒーを飲み干した。
「高遠先生も村の方々とお話なさったならお気づきになったでしょう。この村の人たちが信じているのは初代イブキ様です」
 確かに話をしてくれた渡辺もほとんど初代イブキ様の話ばかりで、今のイブキ様については言葉を濁していた。しかしイブキ様と言うだけで敬われているのだからそれで十分ではないのか。
「今のイブキ様も十分に素晴らしい。それを村の人にも分かって頂きたかったのです」
「なるほど」
 高遠は納得したように頷いているけれど、果たして本心だろうか。儀式を見ていない美琴や高遠はもちろんのこと、それを聞いている渡辺すらイブキ様が何をやったのか分かっていない。そんな人たちに素晴らしさなど伝わるものだろうか。元々、怪しげな部分がたくさんあっただけに、疑問は溢れんばかりに出てくる。
「ちょっとイブキ様の様子を見てきますね」
 高遠がそれ以上何も言わないのを見て、十倉は立ち上がる。突然の申し出に応える振りだけでもしようと言うのか。高遠は十倉の後姿を目だけで追い、コーヒーのおかわりをもらっていた。高遠は砂糖も牛乳も入れず、そのまま飲み込む。
 程なくして十倉がリビングに戻ってきた。あまり浮かない顔をしていたが、「どうぞ」と高遠に向かって言う。
「イブキ様も高遠先生にご挨拶したいとのことです。ただこの天気でかなり具合が悪いので……」
 大地と密接に結びついているから、天気によって具合が変わるという設定か。午前中は晴れ渡っていたので、イブキ様も元気だったらしい。高遠は礼を言って立ち上がりすたすたと歩き出したので美琴も慌てて追った。
 強い雨が降っているせいで、渡り廊下の端も濡れている。降り始めてからそろそろ二時間が経つけれど、雨脚は弱くなるどころか強くなっている。景色は霞んでほとんど見えない。台風など接近している噂はなかったのに、これほどの雨が降るのは珍しい。近くにある川が氾濫しないか不安になった。
 例え氾濫したとしても高台にあるこの家は無事だろう。どちらかと言えば裏山が崩れてこないか、そちらのほうが気がかりだ。少し強めの風が吹くと雨が足に掛かった。
 再び離れに行くとあからさまに苦しんでいる声が聞こえてきた。
「イブキ様、大丈夫ですか」
 驚いたように十倉が部屋の中に駆け込む。開いた扉からはもだえ苦しんでいるイブキ様の姿が見えた。こんな状態で挨拶も何もない。呆れた顔で高遠を見上げると、常に仏頂面の高遠も口元が引きつっていた。
「かなり具合が悪いようですね……」
「申し訳ありません。イブキ様、高遠先生が来られましたよ」
 蹲っているイブキ様を揺すってみるもの、反応はない。胸が苦しいのか、腹痛なのか、体をくの字にして呻いているだけなのでどこが悪いのか判断できない。じっと見つめていればそのうちのた打ち回ったりしそうだ。
「どうせ雨が止むまでは出れませんので、またの機会にさせていただきます」
 このまま状態が良くなるのを待つなんて面倒だと思ったのか、高遠はあっさり引き下がった。十倉は「申し訳ありません」と頭を下げて、イブキ様の隣に座っている。
「失礼しました」
 これ以上、この場に居たくないのか、高遠はそそくさと離れから出る。美琴も後を追い、前を向いている高遠の顔を覗き込んだ。いつも通りの無愛想な顔だ。
「やっぱりニセモノ?」
「だからここでその話をするな」
 否定しないと言うことは、やはりニセモノなのだろう。見抜く力なんてまったく持ち合わせていない美琴でも、それは感づいていた。
            
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