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1巻
13話 心の色
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決意を新たにし、ほぼ何もまとわないラヴァさんの瞳を凝視したボク。
やましい気持ちなんて持てる空気ではなく、実際少しも持っていなかった。
が、ラヴァさんがあまりにも見つめられて我に返ったのがわかった瞬間にボクも察して顔を真っ赤にしまた背を向ける。
「ごめん…こんなの見せて…」
「いえ、綺麗でした?」
暴れた思考はまともな返答もできない。
ラヴァさんがボクに傷を見せたことを謝っているのに、ボクはラヴァさん自身に感想を述べる。
さらに川辺の空気はなんとも言えない熱を帯びる。
二人の顔の熱がそのまま赤色の力のように周囲を暑くしている気さえする。
少年は透明な白髪頭には目立つ真っ赤な顔を。
ラヴァは白い肌からは想像できないほど恥ずかしさで血がめぐり赤くなる。
「そうだ、薪! …拾えたので戻りますね。ラヴァさんも水浴びしすぎる前に帰ってきてくださいね」
「キミも…暗いから、戻る道気をつけてね」
お互い空気に耐えきれず離れる選択をする。
ラヴァさんは変な汗をかいたらしく水浴びに戻る。
ボクは傍に置いていた薪の枝を抱え元来た道を戻る。
なんだか早足なのは決意を新たにしたからだろう。ここから一瞬でも早く離れたい訳では無い。
熱い顔に冷たい夜風が気持ちよく感じた。
キャンプ地に戻るとゼインさんが小さな焚き火の前で座っていた。
「戻ったか…」
ゼインさんの近くに薪を置く。
ゼインさんは置かれた枝を焚き火に投げ込み、長めのもので形を整える。
「見たか?」
何をと言わないのは、ゼインさんも分かっているからだろう。
ラヴァさんがボクに力を見せるためにあえて護らないように堪えたゼインさんはどんな気持ちだったのだろう。
「お嬢が…ネスに力を見せると言った時、私は反対したんだ。できる限り自身を炎にする力は使わないようにと…私がずっと護衛をしていた」
ゼインさんは燃える焚き火を眺めながら、炎に思いを馳せて心の内を語る。
「私が護る間は、お嬢は自身を燃やす必要はない。少しでも一人の女性としての人生を歩んで欲しいと、体に負荷をかけないようにと私は強くなった」
ゼインさんの前で炎が揺れる。
「力を持つものの定めと喜ぶお父上とは反対に、私はあそこまでの力を使う必要は無いと思っていた。
しかし、お嬢は優しい。人を助けるためなら自身を燃やしてでも命を助ける」
パチンと少し水を含んだ枝が弾ける。ぱちぱちと鳴る焚き火とゼインさんの静かな語り声だけが耳に届く。
「お嬢は炎だ。体にでた焦げは時間が経てば元通りになる。傷だってつかない。女性として辛い思いはしないだろう…
だが、そんな命を燃やし尽くさんと、刹那に灯す炎は…私には、優しくも怖く見えてしまう」
ゼインさんは胸の内を語るうちにだんだんと熱がこもり、思い詰めていたのか貯めた感情を吐き出す声は少し泣いているかのようだ。
「ネスに護衛を頼んだ理由も分かっただろう。キミにそれを分かって欲しくて、お嬢の提案を飲んだ。
キミが少しでもお嬢の力の対価を理解してくれたのなら、良かった。ありがとう」
視線を焚き火からこちらに向け、優しい顔で語りかける。
今まで見てきた完璧なゼインさんとの差にボクまで泣きそうになる。
「…がんばりますっ!」
鼻をすすりながら、つられて涙目になったボクはこの夜二回目の決意表明をした。
「ただいま…」
「おかえりなさいお嬢、お身体は大丈夫ですか」
水浴びを終えたラヴァさんがどこか嬉しそうに帰ってくる。浴びた水は炎の体にはもう水気を感じさせず綺麗にかわいている。
力を無駄にボクのために見せたというのに、ボクの決意でこの人の笑顔は採算が合うのだろうか。
そんなことをきれいな顔を眺め思った。
「あんまりジロジロ見られると…困る」
「…す、すすすみません!」
ゼインさんとの会話で生まれた空気は、顔を赤くさせ体を抱き込むラヴァさんによって壊される。
思い出し、ボクは顔を真っ赤にして服を着ているのに背中を向ける。
「おい、ネス。患部を眺めるのまでは許したが…腹を見ただけの反応ではないな」
ゼインさんのオーラが優しかったものからだんだんと大きくなる。
ボクはこのゼインさんを知っている。
「さぁ構えろ…お嬢に抱いた気持ちが消えるまで鍛え抜いてやる」
その場で立ち上がり拳を構えるゼインさん。
「さ、さっきまであんなにいい雰囲気じゃなかったですかー!」
「いい雰囲気だと!? なおさら鍛え抜かねばならないな!」
「ラヴァさんとじゃないですよ!」
繰り出されるゼインさんの拳をボクは避ける。避け無かったらどうなるかなんてのは、避けたさきにある物達が証明してくれている。
地面は凹み、後ろの身動きが取れないトレントなんかは根元から引っこ抜ける。
(ボクを攻撃する中で初めて本気なんじゃ…)
ゼインさんの巨体から繰り出される隕石のような拳をギリギリを避け続け休憩のためのキャンプも休まる時間がなかった。
ラヴァさんは焚き火の前のトレントだった木に座り、こちらを眺めてコロコロと笑っている。
ラヴァさんもボクに隠していた対価を晒し、受け入れられたことでどこかスッキリとした顔だ。
(よかった…)
ラヴァさんが笑う顔を視界にとらえた瞬間に景色が流れ、意識は刈り取られる。
「「あっ…」」
ゼインさんとラヴァさんの声が聞こえた。
ギリギリ避けれる攻撃をボクがラヴァさんを意識してしまったため食らう。
何度目かの優しい温かさに包まれる。
今度はラヴァさんを知れたからなのか、いつもより人の体温を感じられる。
「だ、ダメですよお嬢!」
ゼインさんも騒いでいる声が聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。
優しい温かさと柔らかさを最後にボクの意識は飛んだ。
やましい気持ちなんて持てる空気ではなく、実際少しも持っていなかった。
が、ラヴァさんがあまりにも見つめられて我に返ったのがわかった瞬間にボクも察して顔を真っ赤にしまた背を向ける。
「ごめん…こんなの見せて…」
「いえ、綺麗でした?」
暴れた思考はまともな返答もできない。
ラヴァさんがボクに傷を見せたことを謝っているのに、ボクはラヴァさん自身に感想を述べる。
さらに川辺の空気はなんとも言えない熱を帯びる。
二人の顔の熱がそのまま赤色の力のように周囲を暑くしている気さえする。
少年は透明な白髪頭には目立つ真っ赤な顔を。
ラヴァは白い肌からは想像できないほど恥ずかしさで血がめぐり赤くなる。
「そうだ、薪! …拾えたので戻りますね。ラヴァさんも水浴びしすぎる前に帰ってきてくださいね」
「キミも…暗いから、戻る道気をつけてね」
お互い空気に耐えきれず離れる選択をする。
ラヴァさんは変な汗をかいたらしく水浴びに戻る。
ボクは傍に置いていた薪の枝を抱え元来た道を戻る。
なんだか早足なのは決意を新たにしたからだろう。ここから一瞬でも早く離れたい訳では無い。
熱い顔に冷たい夜風が気持ちよく感じた。
キャンプ地に戻るとゼインさんが小さな焚き火の前で座っていた。
「戻ったか…」
ゼインさんの近くに薪を置く。
ゼインさんは置かれた枝を焚き火に投げ込み、長めのもので形を整える。
「見たか?」
何をと言わないのは、ゼインさんも分かっているからだろう。
ラヴァさんがボクに力を見せるためにあえて護らないように堪えたゼインさんはどんな気持ちだったのだろう。
「お嬢が…ネスに力を見せると言った時、私は反対したんだ。できる限り自身を炎にする力は使わないようにと…私がずっと護衛をしていた」
ゼインさんは燃える焚き火を眺めながら、炎に思いを馳せて心の内を語る。
「私が護る間は、お嬢は自身を燃やす必要はない。少しでも一人の女性としての人生を歩んで欲しいと、体に負荷をかけないようにと私は強くなった」
ゼインさんの前で炎が揺れる。
「力を持つものの定めと喜ぶお父上とは反対に、私はあそこまでの力を使う必要は無いと思っていた。
しかし、お嬢は優しい。人を助けるためなら自身を燃やしてでも命を助ける」
パチンと少し水を含んだ枝が弾ける。ぱちぱちと鳴る焚き火とゼインさんの静かな語り声だけが耳に届く。
「お嬢は炎だ。体にでた焦げは時間が経てば元通りになる。傷だってつかない。女性として辛い思いはしないだろう…
だが、そんな命を燃やし尽くさんと、刹那に灯す炎は…私には、優しくも怖く見えてしまう」
ゼインさんは胸の内を語るうちにだんだんと熱がこもり、思い詰めていたのか貯めた感情を吐き出す声は少し泣いているかのようだ。
「ネスに護衛を頼んだ理由も分かっただろう。キミにそれを分かって欲しくて、お嬢の提案を飲んだ。
キミが少しでもお嬢の力の対価を理解してくれたのなら、良かった。ありがとう」
視線を焚き火からこちらに向け、優しい顔で語りかける。
今まで見てきた完璧なゼインさんとの差にボクまで泣きそうになる。
「…がんばりますっ!」
鼻をすすりながら、つられて涙目になったボクはこの夜二回目の決意表明をした。
「ただいま…」
「おかえりなさいお嬢、お身体は大丈夫ですか」
水浴びを終えたラヴァさんがどこか嬉しそうに帰ってくる。浴びた水は炎の体にはもう水気を感じさせず綺麗にかわいている。
力を無駄にボクのために見せたというのに、ボクの決意でこの人の笑顔は採算が合うのだろうか。
そんなことをきれいな顔を眺め思った。
「あんまりジロジロ見られると…困る」
「…す、すすすみません!」
ゼインさんとの会話で生まれた空気は、顔を赤くさせ体を抱き込むラヴァさんによって壊される。
思い出し、ボクは顔を真っ赤にして服を着ているのに背中を向ける。
「おい、ネス。患部を眺めるのまでは許したが…腹を見ただけの反応ではないな」
ゼインさんのオーラが優しかったものからだんだんと大きくなる。
ボクはこのゼインさんを知っている。
「さぁ構えろ…お嬢に抱いた気持ちが消えるまで鍛え抜いてやる」
その場で立ち上がり拳を構えるゼインさん。
「さ、さっきまであんなにいい雰囲気じゃなかったですかー!」
「いい雰囲気だと!? なおさら鍛え抜かねばならないな!」
「ラヴァさんとじゃないですよ!」
繰り出されるゼインさんの拳をボクは避ける。避け無かったらどうなるかなんてのは、避けたさきにある物達が証明してくれている。
地面は凹み、後ろの身動きが取れないトレントなんかは根元から引っこ抜ける。
(ボクを攻撃する中で初めて本気なんじゃ…)
ゼインさんの巨体から繰り出される隕石のような拳をギリギリを避け続け休憩のためのキャンプも休まる時間がなかった。
ラヴァさんは焚き火の前のトレントだった木に座り、こちらを眺めてコロコロと笑っている。
ラヴァさんもボクに隠していた対価を晒し、受け入れられたことでどこかスッキリとした顔だ。
(よかった…)
ラヴァさんが笑う顔を視界にとらえた瞬間に景色が流れ、意識は刈り取られる。
「「あっ…」」
ゼインさんとラヴァさんの声が聞こえた。
ギリギリ避けれる攻撃をボクがラヴァさんを意識してしまったため食らう。
何度目かの優しい温かさに包まれる。
今度はラヴァさんを知れたからなのか、いつもより人の体温を感じられる。
「だ、ダメですよお嬢!」
ゼインさんも騒いでいる声が聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。
優しい温かさと柔らかさを最後にボクの意識は飛んだ。
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