2 / 13
2話 調査講習
しおりを挟む
「よし、勇も起きたし時間も頃合だ。始めようか」
いい体格で短髪がより強面を強調している源さんが音頭を取る。歴戦の風貌には数々の現場を体験した物にしかつかないような細かい傷跡がある。それが似合うのだから相当なオーラだ。
音頭をとった時刻は10時。これから夕方近くまで合わせて6限分の講習がある。自動車免許の更新講習のようなもので簡単な確認事項と健康診断を兼ねたものだ。
今日集められたのは上から二番目のゴールド免許の調査員のみ、ランクが変われば講習内容も変わる。授業のような内容はゴールドではすぐ終わり、一人でも多く仲間と討伐隊を生かすために知恵を交換する。
トップの数人しかいないプラチナともなると、世界を飛び回ってダンジョンを攻略するそうだ。ここにいる30数名は日本クラスだがプラチナになれば年収の桁がひとつ増える。真宵を良い環境で寝かせてやるためにも早くランクを上げたいものだ。
「さてと、毎年恒例でゴールド調査員の講習を持った波輪 源太郎(なみわ げんたろう)だ。皆知っているだろうが午前は恒例でダンジョンの成り立ちを話さなきゃいけない。もう聞き飽きただろうがルールだから少しだけ耳を傾けていてくれ」
そんな夢を考えている間に講習が始まりそうだ。
大手調査会社所属でゴールドの源さんが社員を集めてわざわざ講習を開いて、規定通りに講習を進める。
俺より一回り歳が行ってるにも関わらず元気な高齢者だ、髪は白髪も混ざり始めているくせにその体躯は未だ現役のものだ。
俺たち調査員は免許が無ければダンジョンで仕事をすることは叶わない。だからまどろっこしくても全員がこの講習に参加する。方耳を傾けながら俺も察しに目を落として勝手に読み進めていく。
「まずダンジョンの成り立ちだが、どこからきて何から生まれたのかは未だに解明されていない。突如として現れた建造物やもとある建造物、土地を使ったダンジョンまで幅広いものがある」
2032年代から突如としてポツポツ現れ始めたダンジョン。大きさはそれぞれで日本で最大のものだと富士の樹海を丸ごと飲み込んだものもある。
「そして未知の物質で形成されたダンジョンから産出される物質は私たち人類に恩恵と公害をもたらした」
ダンジョンが生成される際に壁が所々鉱物で薄く覆われるのだが、その鉱物がまた軽くて加工しやすく、丈夫という三拍子そなえた超合金だったらしい。
ネットで転がっている程度しか俺も知らないが、どこの企業もダンジョンの入口付近で鉱物を漁り研究を大きく飛躍させた。
AIは完全に生活に浸透し、不足していた資源は全て賄われ、人間の仕事はどんどんと減っていった。
かく言う俺も大学をわざわざ4年も行ったにも関わらず卒業した2035年頃にはダンジョンの調査は3年分進んでしまい、もう俺が大学卒で入れるような人間の仕事はほとんど残っていなかった。
しかし俺には金を稼げる仕事がすぐに必要だったため、ダンジョンに関連する仕事に片っ端から応募したが受かったのは調査会社の下請けだった。
「ダンジョンは様々な企業を成長させ人類の研究を数十年分進めた変わりに、迷宮病という公害を発生させた。迷宮病は罹患者の意識と成長を閉じ込めてしまったかのように時を止める病気だ。ダンジョン生成時、一定範囲内にいた場合罹患率がとても高くなる」
そう俺の妹、鳴宮 真宵は夢で見た通りであの時出現したダンジョンの空気にやられて迷宮病に罹患した。出現した瞬間が一番迷宮病罹患率が高いらしく、出現時にその場に居合わせなかった俺は今でも元気に妹の延命治療代を稼いでいる。
真宵は15のこれから高校生って時に迷宮病にかかった。ダンジョンが少しづつ認知されていたのに自分たちの町の近くに生成されることは無いとタカをくくっていた。
生成前に予兆のようなものはなく、気づいたらもうダンジョンが生まれる。迷宮病はダンジョンが生まれる数だけ罹患者が増え、未だに解決方法は見つからずにいる。
「だから私たちがいる。企業が使っている鉱物はほんの入口のものだ。私たちが調査し、討伐隊がダンジョンボスを討伐すれば迷宮病完治へのヒントがあるかもしれない。少なくとも日本は大きく経済成長をとげる!」
「源さん⋯ダンジョン調査の立場を強くすることしか頭にないくせに」
ドッ!!
ゴールドにもなれば周りは見知った顔ばかりだ。必然と中身をよく知る人間ばかりになりこういったいじりも生まれる。
「当たり前だろうが。ダンジョン調査の立場が強くなれば危険なダンジョンに先頭切って突入するお前らにもう少しいい生活させてやれるだろ」
「源さん⋯」
「俺らのことを⋯」
「さすがだぜ源さん! いつも指揮頼りねぇけど!」
「頼りないは余計だ!」
むさ苦しい男どもが古株の源さんをよいしょする。女性調査員がいないからこそのノリだろう。我先に危険に突入する調査員は収入の割に不人気職だ。
金よりも命の常人はまずならない。
そんな他愛ない話をしていたら源さんの電話がなる。
「すまん、あいもしもし、波輪です。⋯本当ですか、はい分かりました。すぐに⋯。よしお前ら、ここからはビジネスの話だ」
ほら、金の話で男どもの目付きが変わった。
いい体格で短髪がより強面を強調している源さんが音頭を取る。歴戦の風貌には数々の現場を体験した物にしかつかないような細かい傷跡がある。それが似合うのだから相当なオーラだ。
音頭をとった時刻は10時。これから夕方近くまで合わせて6限分の講習がある。自動車免許の更新講習のようなもので簡単な確認事項と健康診断を兼ねたものだ。
今日集められたのは上から二番目のゴールド免許の調査員のみ、ランクが変われば講習内容も変わる。授業のような内容はゴールドではすぐ終わり、一人でも多く仲間と討伐隊を生かすために知恵を交換する。
トップの数人しかいないプラチナともなると、世界を飛び回ってダンジョンを攻略するそうだ。ここにいる30数名は日本クラスだがプラチナになれば年収の桁がひとつ増える。真宵を良い環境で寝かせてやるためにも早くランクを上げたいものだ。
「さてと、毎年恒例でゴールド調査員の講習を持った波輪 源太郎(なみわ げんたろう)だ。皆知っているだろうが午前は恒例でダンジョンの成り立ちを話さなきゃいけない。もう聞き飽きただろうがルールだから少しだけ耳を傾けていてくれ」
そんな夢を考えている間に講習が始まりそうだ。
大手調査会社所属でゴールドの源さんが社員を集めてわざわざ講習を開いて、規定通りに講習を進める。
俺より一回り歳が行ってるにも関わらず元気な高齢者だ、髪は白髪も混ざり始めているくせにその体躯は未だ現役のものだ。
俺たち調査員は免許が無ければダンジョンで仕事をすることは叶わない。だからまどろっこしくても全員がこの講習に参加する。方耳を傾けながら俺も察しに目を落として勝手に読み進めていく。
「まずダンジョンの成り立ちだが、どこからきて何から生まれたのかは未だに解明されていない。突如として現れた建造物やもとある建造物、土地を使ったダンジョンまで幅広いものがある」
2032年代から突如としてポツポツ現れ始めたダンジョン。大きさはそれぞれで日本で最大のものだと富士の樹海を丸ごと飲み込んだものもある。
「そして未知の物質で形成されたダンジョンから産出される物質は私たち人類に恩恵と公害をもたらした」
ダンジョンが生成される際に壁が所々鉱物で薄く覆われるのだが、その鉱物がまた軽くて加工しやすく、丈夫という三拍子そなえた超合金だったらしい。
ネットで転がっている程度しか俺も知らないが、どこの企業もダンジョンの入口付近で鉱物を漁り研究を大きく飛躍させた。
AIは完全に生活に浸透し、不足していた資源は全て賄われ、人間の仕事はどんどんと減っていった。
かく言う俺も大学をわざわざ4年も行ったにも関わらず卒業した2035年頃にはダンジョンの調査は3年分進んでしまい、もう俺が大学卒で入れるような人間の仕事はほとんど残っていなかった。
しかし俺には金を稼げる仕事がすぐに必要だったため、ダンジョンに関連する仕事に片っ端から応募したが受かったのは調査会社の下請けだった。
「ダンジョンは様々な企業を成長させ人類の研究を数十年分進めた変わりに、迷宮病という公害を発生させた。迷宮病は罹患者の意識と成長を閉じ込めてしまったかのように時を止める病気だ。ダンジョン生成時、一定範囲内にいた場合罹患率がとても高くなる」
そう俺の妹、鳴宮 真宵は夢で見た通りであの時出現したダンジョンの空気にやられて迷宮病に罹患した。出現した瞬間が一番迷宮病罹患率が高いらしく、出現時にその場に居合わせなかった俺は今でも元気に妹の延命治療代を稼いでいる。
真宵は15のこれから高校生って時に迷宮病にかかった。ダンジョンが少しづつ認知されていたのに自分たちの町の近くに生成されることは無いとタカをくくっていた。
生成前に予兆のようなものはなく、気づいたらもうダンジョンが生まれる。迷宮病はダンジョンが生まれる数だけ罹患者が増え、未だに解決方法は見つからずにいる。
「だから私たちがいる。企業が使っている鉱物はほんの入口のものだ。私たちが調査し、討伐隊がダンジョンボスを討伐すれば迷宮病完治へのヒントがあるかもしれない。少なくとも日本は大きく経済成長をとげる!」
「源さん⋯ダンジョン調査の立場を強くすることしか頭にないくせに」
ドッ!!
ゴールドにもなれば周りは見知った顔ばかりだ。必然と中身をよく知る人間ばかりになりこういったいじりも生まれる。
「当たり前だろうが。ダンジョン調査の立場が強くなれば危険なダンジョンに先頭切って突入するお前らにもう少しいい生活させてやれるだろ」
「源さん⋯」
「俺らのことを⋯」
「さすがだぜ源さん! いつも指揮頼りねぇけど!」
「頼りないは余計だ!」
むさ苦しい男どもが古株の源さんをよいしょする。女性調査員がいないからこそのノリだろう。我先に危険に突入する調査員は収入の割に不人気職だ。
金よりも命の常人はまずならない。
そんな他愛ない話をしていたら源さんの電話がなる。
「すまん、あいもしもし、波輪です。⋯本当ですか、はい分かりました。すぐに⋯。よしお前ら、ここからはビジネスの話だ」
ほら、金の話で男どもの目付きが変わった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
2週目の人生ですが、生きていた世界にファンタジーがあるとは思ってなかった
竹桜
ファンタジー
1人で生きていた男はある事故に巻き込まれて、死んでしまった。
何故か、男は生きていた世界に転生したのだ。
2週目の人生を始めたが、あまり何も変わらなかった。
ある出会いと共に男はファンタジーに巻き込まれていく。
1周目と2週目で生きていた世界で。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
『パンツの色』を視るだけで最強になった俺、聖女様の『白』で無敵の守護騎士と崇められる ~七色のヒロインに挟まれて理性が限界突破~
白山 乃愛
ファンタジー
「この世の真理は、下着の中にある」
山奥の美魔女師匠にそう教え込まれ、視認した「下着の色」をステータスに変換する最強の魔眼、『煩悩眼(デザイア・アイ)』を手に入れた高校生、色島カナタ。
ある日、学園の「聖女」と呼ばれる生徒会長・真白セイラを襲う魔獣を倒すため、カナタは彼女のスカートの中にある『純白』をガン見する。
「白(ホワイト)……ッ! 君の色は最高だァァァ!」
覚醒したカナタは、「物理無効化」の無敵バフを発動し、華麗に魔獣を撃破。
ただの変態として通報されるかと思いきや――
「誰もが見て見ぬ振りをした私の内面(心)の白さを、貴方だけが見抜いてくれた……!」
なぜか「高潔な精神を持つ騎士様」だと盛大に勘違いされてしまう。
その日から、カナタの学園生活は一変する。
物理的な質量を持つ「極太の好意の矢印」を顔面に押し付けてくる、重すぎる聖女様(白・防御特化)。
「私を見れば、もっと激しくなれるわよ?」と、漆黒の勝負下着で誘惑してくる小悪魔な転校生(黒・攻撃特化)。
白と黒。
二人のヒロインに挟まれ、カナタの理性と鼻血は限界突破寸前!
見れば最強。見すぎれば死(社会的に)。
これは、不純な動機と能力で戦う変態紳士が、なぜか世界を救って英雄になってしまう、ドタバタ学園無双ラブコメディ。
【更新頻度】
毎日更新(予定)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる