囚われの淫魔は迷宮の塔の上で騎士を待つ

Bee

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13※ バド、ブライズとのはじめて

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 はじめてブライズが、今まで一度も開かれたことのないあの大きなドアから顔を出したとき、バドは本当に感激して心が躍った。

 大げさだが、まるでおとぎ話の王子様が迎えに来たのかと思ってしまうほどに。

 ああ、夢で会うときよりもブライズは恰好いい。

 サイドを短く刈った茶金の髪に、すっと通った鼻筋にきりりとした眉は凛々しく精悍であるが、険のない優しい目はかわいらしい。体つきも思っていた以上に逞しく、背筋も伸びて姿勢も良く申し分ない。

 さすが騎士。

 きっと精力も活力も溢れるほどあるんだろうな!

 早くこの男の体いっぱいにみなぎった精気を吸い尽くしたい。




 ぎこちないブライズをそれとなく誘導してやり、痛がるほどガチガチになったものを一度吐き出させると、ブライズは疲れたように脱力し、バドに凭れかかってきた。

 しっとりと汗に濡れた体がぴったりとくっつき、その重みが久しぶり過ぎて離れがたくて、バドもちょっとくらい重くても大人しく敷かれたままだ。

 ほんと久しぶりの人間がこの若い騎士だなんて、すごくラッキーだ。

 抱き合うだけでも質のいい精気を分けて貰えるし、それに加え彼はとてもウブでかわいい。

 恰好いいしかわいいしで堪らないよ、ホントに!

 ブライズが起き上がり、やや乱れた前髪の下からとろんとした目を覗かせ、こちらを見る。

 そしてバドのいろいろとむき出しになったあられもない姿を見るなり、顔を赤らめた。

 しかももう彼のモノはすっかり回復し、腹につくほど勃ち上がっている。


 そっかー、恥ずかしいのかー。

 恥ずかしそうなブライズに、バドは心の中で悶絶してしまう。

 バドが受け手側でなかったら、速攻襲いかかってめちゃくちゃに犯していただろう。淫魔として生まれてこの方ずっと受ける側だったが、攻める側の気持ちがようやく理解できた気がする。

 ただ疑問なのは、顔も良い性格も良い、さらに剛健で騎士になれるほどの男がなぜいまだに童貞だったのか。

 周りの者も黙っていなかっただろうと思うのだけど……。

 それにこれだけ美味そうなら、他の淫魔どもも狙っていただろうに。

 うーん。不思議でならない。



「……バド?」



 そんな変なことを考えていたら、ブライズが熱のこもった目で覗き込んできた。


「……んっ」


 近づく顔を引き寄せて、ペロッとブライズの唇を舐めると、バドの舌を追いかけて口を寄せ、ブライズが深いキスをしかけてくる。

 まだ恥ずかしさが残っていたブライズは、なかなかバドの体に触れてこなかったが、ようやく恥ずかしさよりも興奮の方が勝ったようだ。ブライズが愛おしそうにバドの体を弄りはじめた。

 ワンピースはもうはだけて首にからまり、衣服としてもう用をなしていない。さらけだされた体を、ブライズの剣だこのあるすこし固い手が、腰から腹、そして胸と順に撫で上げる。

 その途中、手のひらにひっかかったわずかに膨らんだ胸の先端を、指でそっとつまみ上げてきた。


「あ、はぁ……っ」


 さっきまでお預け状態だったバドの体にかすかに電気が走ったような快感が体を巡り、思わず吐息を漏らし腰をくねらせた。

 バドの反応に勢いがついたのか、ブライズはバドの首すじに唇を這わせ、両の手で胸の突起を弄りはじめた。

 ブライズの指は、少しだけぷっくりとした先端を優しくつまんだかと思うと、くにくにとこね回す。指でこね続けると次第に固く膨らむのが分かるのだろう。ブライズは夢中で指を動かし、完全に膨らみきった頃には、片方を口に含んだ。


「あ! んんんっ、ブライズっ」


 左は親指で押し潰しながら、右は舌で弄ぶ。ときおりちゅっと吸い舌で転がされ、バドは堪らなくなり腰をブライズに押し付けながら、足を絡めペニスを密着させる。

 下手ではないが上手いとはいえないブライズの舌技は、もどかしさが逆に快感を生み、その身を震わせた。

 久々だからか? それこそ百年ぶりかという直接の愛撫。淫魔としての自分がいかに飢えていたのか、いやでも分かる。

 快感が興奮を呼び、腰をくねらせぐりぐりと下半身をブライズの体に擦りつけ始めると、執拗に胸を弄んでいたブライズの手が、バドのペニスにかかった。


「あ! まって、待ってブライズ!」


 胸への愛撫とともにバドのペニスを扱きあげようとしたブライズを制止した。


 今欲しいのはそこじゃないんだ。


「ブライズ、触るならこっち」


 ブライズの手を尻の方へ回し、蕾へ指をあてがった。ブライズの指を一本だけ手に取ると、自身の中に誘い込む。

 もうそこは入り口からすでに中の潤みが滲んで滑り、ブライズの指を抵抗なく飲み込みこんだ。バドは浅いところを抜き差しするように、ブライズの意思とは関係なく勝手にぬるぬると動かした。その度に蕾からはぬちぬちといやらしい音が聞こえる。

 指一本くらいじゃバドはまったく足りないが、はじめてのブライズには順序よく教える必要がある。次から無茶をされても困るからね。


「んっ、はぁ……触り方わかる?」


 ブライズはバドの下半身を凝視したまま固まり、されるがまま指を操られている。

 童貞の彼は、他人のこんなところ触るのはじめてだろうし、きっとまたかわいらしく戸惑っているに違いない。

 胸の位置でされるがまま固まったように動かないブライズの頭を撫でると、ブライズが上目遣いでバドを見上げてきた。

 その目は熱っぽく潤み、顔の表情からはあからさまな戸惑いが見てとれる。

 その顔はやばい。バドの股間がきゅんっと反応した。


「……あ、今指が締まった」


 ブライズが小さく呟く。

 そしてバドの反応を窺うように、ようやく指を動かしはじめた。

 最初はゆっくりと中を傷つけないよう配慮してくれてるのが分かる。

 きっと中の柔らかさに驚いているんだろうなと思って任せていると、慣れてきたのかしだいに置くまで突き入れてくるようになった。


「んっんっ、ブライズ、すこし、中が緩んだら、指を増やして」


 バドの気持ちよさげな顔を見て、ブライズも安心したのか、2本目を差し入れてきた。

 最初は同時に、途中からバラバラに。内壁を擦られ、バドも熱い吐息が口から漏れ、ブライズの頭を少し強く撫でる。


「あ! ひゃんっ!」


 ふいにブライズの指が中のいいところを指でかすめたらしい。

 不意打ちで与えられる刺激というのは、一瞬で脳をダメにするな。思わず口から涎が出た。


「え、バド、これって大丈夫なやつか? 痛い?」


 眉尻を下げ、ブライズが心配そうに見上げてくる。


「そこ、いいとこ! もっと、もっと、さわって」


 ブライズの頭が胸に押し付けられるたび、短く刈り込まれた髪のゾリゾリとした感触が胸を刺激する。それがまた快感を呼び、ペニスがより固さを増していく。

 バドの頭にはもうブライズに挿れてもらいたいということしか頭になかった。
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