失恋した神兵はノンケに恋をする

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ノンケは男を好きになれるのか3

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 コウさんはまじまじと俺の体を見つめて、「やっぱりセイドリックさんの体はすごいな」と感心したように呟いた。
 
 俺の筋肉の筋を辿り、ひとつひとつ確かめるように撫でていく。
 
「神兵の訓練は相当過酷と聞くが……何か特別な鍛練とかあるのか?」
 
「俺は筋肉が付きやすいだけだ。とくに変わったことはしていない」
 
「そうなのか? それでこんな所にも筋肉がつくものなのか」
 
 驚いたように胸の下や脇腹を撫でる。緊張して、変なところがピクピクと動くのをコウさんは楽しそうに触っている。
 体を褒められるのは嬉しいが、これではよくある筋肉自慢だ。
 
 
「コウさん、……俺も触っていいか」
 
「ん、ああ。……兵士だけあって傷も多いな」
 
「まあな」
 
 俺の筋肉に夢中になっているコウさんの肌に触れる。男にしては滑らかな頬を指で撫で、耳朶をふにふにと柔く揉む。
 
「コウさんは、髭は生えないのか?」
 
「俺は体毛が薄いんだ。髭もたまにしか剃らない」
 
 確かに全体的に毛が薄い。腕もほとんど毛がない。恐らく下も……。
 
 おっといかん、想像すると興奮が増す。
 ただでさえ距離が近いというのに。
 
 耳朶から手を首筋に回し、これまで触りたいのに触ることのできなかった、コウさんのきれいに刈り上げられた項を触る。
 手にザリザリとした感触があり、俺の心は歓喜に震えた。
 
 項が少しこそばゆいのか、撫でていると「ん」と首をすくめた。
 
「……嫌か?」
 
「嫌じゃないが、こそばゆい」
 
「そうか」
 
 では、と俺は手を下に滑らし、鎖骨から胸へと移動させる。
 もし嫌がられるとしたら、ここから先だ。
 
 コウさんのきれいに盛り上がった胸の筋肉を手で撫で、軽く揉む。
 
「あ、おい、揉むのか?」
 
 コウさんが焦ったように言うが、男同士でもこれは普通だ。
 
「……だめか?」
 
「男だぞ? 胸も触るのか」
 
「触る。ここは男でも気持ちよくなる」
 
「ちょっ、おい」
 
 俺は少し陥没気味の先端を指で撫でた。
 
 コウさんの体がピクリと強張り、拒否されるかもと覚悟したが、コウさんはされるがまま抵抗しなかった。
 
 周囲を優しく揉みながら、指で刺激してやり、ちょんと顔を出したところを指で軽く摘む。
 
「んっ! いっ」
 
「すまん、痛かったか。……今のはだめだったか」
 
「ちょっと、痛かっただけだ」
 
 少し拗ねたような口調だが、受け入れてくれようとしているのが分かる。それが嬉しくて愛おしい。
 
「……口づけたい」
 
 そう思わず口にすると、コウさんが「ん?」と上を向いた。
 それが合図のように、俺はむしゃぶりつくように唇を重ねた。
 
 肩に乗せた手を腰に回し、密着させるようにしてその体を抱きしめる。
 
 コウさんの体は思った以上に抱き心地がいい。
 
 以前は華奢な体を優しく抱きしめるのがとても良いと思っていたが、これくらい筋肉があったほうが弾力があって気持ちがいいと、はじめて気がついた。
 密着する皮膚の感じも、ぺっとりと貼り付くようですごくいい。
 
「ん……」
 
 コウさんからの抵抗がないことをいいことに、弄る手を次第に下に下げていく。
 腰を弄り、剥き出しの尻に到達すると、ゆっくりと揉みしだいた。

「んっ! …………あっ」
 
 そして、それまで触れるか触れないかの位置を保っていた股間を、思い切ってコウさんに押し付ける。グリグリと、硬くなったモノを擦りつけ、コウさんの反応を伺った。
 
「んんん! ちょ、うあっ……」
 
「コウさん……俺に触られるのはどうだ? 嫌か? コウさん……! ああ……答えてくれ」
 
 耳朶を柔く噛み、囁きながらコウさんの返事を待つ。
 
「セ……セイドリックさん……。耳は、卑怯だ……! ちょ、ちょっと一回離れてくれ! 性急すぎるぞ!」
 
 両手で突っぱねられ、俺は慌てて体を離し、コウさんの顔色を伺った。
 
「すまん、気に障ったか」
 
 流石に焦り過ぎたか。——いや、俺のモノを擦りつけられ不快だったのかもしれん。
 
「い、いきなり尻を揉むな! 焦りすぎだ! がっつく男は嫌われるってよく言うだろう」
 
 そう言うと、まるで幼児への仕置きのように、俺の体をペンッと軽く叩いた。
 
「すまない、ついやりすぎてしまった。……その、不快だったか?」
 
「……不快じゃない。ただあんたは何でもそうやって性急過ぎるんだ。こっちの身になってくれ。気持ちが追いつかん」
 
 俺はおどおどとコウさんを見る。
 
「——まだ続行してくれるか?」
 
「ああ。とりあえず休憩しよう。続きはそれからだ」
 
 ——良かった! コウさんは俺のモノは不快ではないと、そう言ってくれた!
 コウさんの口調も、さほど怒っているふうでもない。
 
 あわよくばと思いはしたが、不快でないと分かっただけでも御の字だ。
 
 コウさん、どうか俺を受け入れてくれ。——そう願うばかりだ。
 
 
 
 
 
「……それにしてもいい部屋だな。壁紙の色もいい。落ち着く。——本当に俺が使っていいのか? 改修だって金がかかっただろう」
 
 コウさんは休憩を宣言した後、一喜一憂する俺を残し、さっさとひとり寝台にあがっていた。
 
 そして寝台の上で胡座をかき、じっくりと観察するように部屋の中を眺め、感嘆の声をあげた。
 
 俺も寝台に乗り、コウさんの横で胡座をかく。
 
「この屋敷も前の持ち主から譲り受けたままの状態で放置していたからな。コウさんが来てくれることになって丁度良かったんだ。ここは一番日当たりがいい部屋でな。……一番いい部屋でないのは申し訳ないんだが、豪華な広い部屋よりは、小さくても気持ちよく過ごせる部屋をコウさんの部屋にしたかった」
 
 そう俺が答えると、コウさんがトンと俺の肩に凭れかかってきた。
 
「すまないな。ずっと何かして貰いっぱなしだ。——これから先、俺があんたにしてやれることは、多分そんなにない。あんたが女なら俺が守ってやるって言えるのに、あんたの方が俺なんかよりもずっと強い。金もあるし、地位もある。俺はあんたにしてやれることがない。それでもいいのか」
 
「そんなことは気にすることはない。何かして欲しくてコウさんを好きなわけじゃないからな。ずっと側にいてくれるなら、俺はそれでいい」
 
「ははっ。お人好しだな。では俺にできることをやろうか。……よし、続きだ。心の準備はいいか」
 
 コウさんは体を起こし俺に向き合うと、ニッと笑った。
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