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エピローグ1 ♡
しおりを挟む美香と拓真はプロポーズから半年後に結婚した。
純白のウエディングドレスを着た美香に、拓真はデレデレで、会社ではクールな印象に徹していた拓真の変貌ぶりに、招待された海外事業部の社員達は度肝を抜かれていた。
「誰だあれ」
「笹島」
「笹島さんよね」
「笹島だ」
「広報部の纐纈さんと付き合ってたのは知ってたが、彼女の前だとああなるのか!」
「纐纈さん、美人だもんね……分かる気する」
「しかし、会長と纐纈さん似てないなぁ………息子の克也とも似てないし」
「知らないのか?纐纈さんは、奥さんの連れ子で本当の娘じゃないんだぞ」
義父との親子関係の事情を知る者も少なくなかった。克也と親しかったり、同期入社の社員は知っていたりする。
「知らなかった、俺」
「私も」
だからといって、美香への印象を変える者は居なさそうで、和やかに式は執り行われ、美香が両親に贈る手紙では、義父への感謝を綴る言葉で締め括り、義父は涙を流していた。
克也は居ない式に、疑問も持つ招待客も居た様で、事件を知らない人に、説明する人が居ても、騒がしくなる事なく、結婚式は幕を閉じた。
「2次会迄、開いて貰えて盛り上がりましたね」
「疲れただけだ、俺は」
「そんな事言わずに」
美香と拓真は、結婚式プランに入っていた、宿泊先のホテルに着いた。結婚式はそのホテルで執り行ったので、一泊分の荷物も既に置いてあった。
「俺は、式が終わったら美香を堪能したかったんだ…………それなのに、式に参加出来なかった奴等の為に、と海外事業部が企画したから、嫌々だったんだぞ」
結婚式は人前式と披露宴を予定していた美香と拓真だが、無理矢理2次会を押し込まれ、時計は日を跨ぎそうだった。
「まぁ、まぁ………私は嬉しかったんで、楽しめました」
「……………美香が楽しめたなら良い………ん……」
ホテルのベッドに座った拓真は、美香に手を差し出した。
もう、汗ばむ季節になって、拓真の着るシャツの袖から伸びる腕の筋肉のラインが美しい。拓真は結婚式前から、体格を気にし始め、ジムに通い始めた。美香も贅肉を落としたい、と同じ様に通いたい、と言うと、スポーツウェアを着る美香を、他の男に見せなくない、と女性専門ジムに行かせられた。
「拓真さん、何故ジムに通う様になったんですか?」
「そんなもの、美香の旦那になる俺が、贅肉付いてちゃイカンだろ………こんなにエロい身体してんだから」
「拓真さんしか言わないですよ、それ」
「お前は、自己肯定感が低いからなぁ………今日のドレス姿、エロ可愛いかったぞ?………海外事業部の野郎共、美香の胸元ばっかり見てたからな…………この今の白いワンピースも、エロい………これ、ウエディングドレスを着たまま、突っ込みたい、てドレスの試着中に言った事覚えてて、これを着たのか?」
そう、拓真はウエディングドレスの試着は絶対に一緒に、と意気込んでいて、美香より拓真が美香のドレスに悩んでいたのだ。其処でボヤいた一言を、美香は覚えていた。ドレスはレンタルだったので、着たままセックスするのは、と思った美香が、白いワンピースを買っていたのだ。
「そ、そうです………ち、ちょっとしたサプライズ、と言いましょうか………」
「サプライズしにては、ネタバレ遅かったよな……2次会に付き合わされたから言えなかったんだが………」
「そうなんですけどね………」
「ドレスを汚せないから、てこのワンピースなんだろ?」
「はい…………」
「じゃ、着たまま始めて良いんだよな?」
「っ!…………は、はい……私は拓真さんへプレゼントなので………」
「っ!…………そ、そうか……有り難く頂く……てか、頂いてるんだけどな」
美香は結婚してから、初めてのセックスで緊張していると、拓真は思っているだろう。だが、驚かせる事はまだあったのだ。
拓真が美香の腰に抱き着き、所在を確かめる様に擦り寄ると、背中のファスナーを下ろした。
着たまま抱き合いたい、とはいえ、胸にむしゃぶりつけないのは嫌なのだろう。肌に触りたいし、脱ぎかけの服のやらしさは、唆られるのだ。
ファスナーを下ろされたワンピース。しかし、その背中の手はスカートを捲り上げていった。
「っ!」
「……………ん?……ちょっと待て………美香……ベッドに手を付いてくれ」
捲り上げたスカート部分の中は、美香が履きなれているガーターベルトとストッキング。そして、拓真好みの色気のあるショーツだと、拓真は思っていた。しかし、この日は違う。
美香にベッドの脇に手を置かせ、腰を突き出す姿勢にさせると、捲り上げたスカートから見えた下着の前から後ろに掛けたクロッチ部分がパールで連なっていたからだ。
「っ!………美香………今日1日、コレだったのか?」
「ち、違います………ドレスから着替えた時に……」
「エロ………可愛いし……ブラはどんなの?」
「スリットありの……です……」
美香の背後で、拓真の生唾を飲む音が聞こえる。
「美香…………このままな………」
「っ…………は、はい……」
パールと美香の尻の間に、拓真の指が挟まれる。
「っん!………ひ、引っ張っちゃ………」
「美香が望んだんだろ?…………こうなる事を…………」
「っ!」
「それを俺が、まんまと思惑に引っ掛かってやったんじゃないか」
「っあぁっ……」
そう、望んだのは美香自身だ。
拓真に見せれば、パールで弄ってくれると思ったから。それを結婚式が終わってから、履いて何時間も経っていて、想像する時間は充分にあり、歩く度に擦れる事に我慢していた。だが、拓真に見せた以上、もう我慢する必要は無い。擦れて喘ぐ事も、表情を作るのに気を張る事もないのだ。
「どんどん溢れてくるな………濡れるの早くないか?」
「っ!…………が、我慢して……ました……から……」
「そっか…………じゃあ、まだ我慢しようか」
「え!」
「え!じゃないだろ?………美香は式が終わってコレを楽しんだんだろ?俺は今からだぞ?」
なんという意地悪な男なんだろう。
美香は、身体が疼いていたのを隠して待っていたのに、拓真がまだ味わえないというのだから。
だが、それは美香が勝手にした事で、拓真がやらせた事ではないので、拓真の言い分は尤もだ。
「あぁぁ、あっ………擦れ………んんぁぁっ……」
「気持ち良さそうだな、美香………床にポタポタと滴ってるから、エロ汁舐めてやらないとなぁ………」
陰核と、秘唇がパールで擦れ、気持ち良さが止まらないのに、拓真は垂れ溢した愛液を太腿から舐め上げて、強く吸い、痕を付けまくる。キスマークが点在しはするが、肝心の場所には舌は来ず、息が掛かるだけでもどかしい。
「な、舐め…………て……下さ……」
「……………喜んで……」
「ふぅっ、ああ……拓真さ………それ……好きぃ……」
「知ってる………今夜も食い尽くさないとな」
背後から、卑猥な音を立ててくれるのは嬉しいが、やはり奥は疼きが増していく美香。奥にも欲しくて、腰が揺れていた。
「…………俺も、このパール使わせて貰うぞ、美香」
「は、はい…………どうぞ……」
やっと、拓真が脱いでくれる、と思った。
やっと貰えると思った美香。
だが、違う。
「はぁ………あぁっ……」
「…………今日も、いっぱい突いてやるからな」
杭を見ると、高揚する。
上に向く杭を握る拓真の色気に、待ち構えた美香は再び、腰をくねられた。
「フッ…………欲しそうな顔して………ちゃんと、やるから」
美香の腰を掴み、拓真がパールをズラして、全身で感じれると思いきや、ズラす事なく素股で擦り始めたのだ。
指でパールを持って擦られるのと訳が違い、押し付けられながら擦られ、杭も感じられて、これもまた気持ちが良い。
「た、拓真さ………欲し……の……に……」
「あぁ…………ちゃんと、挿入ってやるよ………イキそうになったらな」
その瞬間迄、挿入はおあずけという事なのだろうか。
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