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モートン・フェルドマンの婚約
モートン・フェルドマンは代々執事業をする中流家系の5男として産まれた。兄弟姉妹は8人、姉妹は3人居り、父の兄弟も多かった。モートンがまだ子供の頃、叔父マードックが次期女王の婚約者に決まり、フェルドマン家は大いに喜んだ。叔父の中でも、マードックはモートンを可愛がってくれていて、なかなか会えなくなるとは知らず悲しみに暮れていた頃、モートンは国王の伴侶の勉強をさせられた。
子沢山の家系、裕福貧乏、階級関係なく、そういう子供達が集められた勉強会。次期国王、メリベルの産む伴侶教育だと知ったのは、それから直ぐだった。王族の子供は産まれにくい理由、建国からの歴史等、王族にまつわる事を教えられ、叔父マードックの役割を知った。
「叔父上!」
「モートン?フェルドマン家から面会だ、と聞いたが、モートンだったのか」
「叔父上、僕も叔父上の様に、国王の伴侶になるには如何したらいいですか!?」
「…………メリベル様はもう無理だぞ?多分」
当時19歳のメリベル、マードックは31歳、モートンは10歳だ。9歳差の婚姻もあり得ない事も無いが、精通が出来ていない子供がメリベルの婚約者には無理だった。現にメリベルの夫はマードック含め8人居る。一番若い夫は16歳で8人目と結婚したばかりだ。メリベルの体力や気力もまだあるが、子供が出来たら恐らく2人目は諦めるだろう、とマードックは思っていた。
「駄目ですか?叔父上」
「多分な………もし、今メリベル様が妊娠されて、その子が王女だったら、俺から推薦してやる。お前を王女専属執事にな………そうしたら、お前も俺と一緒の第1夫となるかもしれない」
それからモートンは努力をする。そんな時だった。次期国王メリベルに懐妊の兆候あり、と知らせがあった。
「女の子!絶対に女の子!」
その願いが通じたのかは定かではないが、メリベルは王女を産む。だが、2年城に住んだ後、何処か分からないが、居住地を移す慣例があり、王女が12歳になる迄首都に帰って来ない。王女に会いに行こうとマードックに行き先も聞き出したモートン。
「俺も知らん」
「女王も知らないんですか?」
「知っているのはアドルフ殿下、前国王だけだ………メリベル様が会いに行かない様にな」
だが、モートンは王女が12歳になる前に何処に住んでいるかを調べあげた。友人で同じ勉強会で知り合ったモートン・ゲルニカと共に、数日旅行に行く、と言い、12年程前に出来たという田舎町に行く。
「ここ……全員武装してやがる」
「そうなのか?」
「あぁ、旅人だと言い切れよ、フェルドマン」
「じゃあ、ここの可能性ある訳だ」
町中をふらふらと歩き、ゲルニカが気が付く。
「居た………彼女だ」
「……………如何して分かる?」
「彼女の側に居るの………俺の剣の師匠だ……10年前、病弱になった両親の面倒見る、て言って首都を離れた…………げっ!バレた!!逃げるぞ!」
「あ!おい!」
しかし、モートン達は捕まる。足手まといになったのはフェルドマンだった。
「久し振りだな、モートン」
「し、師匠……なんすか、ここに居たんですか………びっくりしましたよ~、あんな可愛い娘居たんすね!」
「…………他言無用だ……分かったな……」
「メリッサ………ですか?娘さんの名前………」
フェルドマンが探りを入れる。
「!!………お前は?」
「モートン・フェルドマン……現国王の第1夫の身内です」
「フェルドマン家か………確か優秀な子が居て、婚約者候補筆頭だと聞いたな……」
「師匠!!俺も候補っす!!でも今ひとつ決定打が無くてですね、師匠のコネ…………ぐえっ!」
「他言無用にするなら、推薦しといてやる……もう帰れ、でなければ森で狼の餌にするぞ」
「「……………り、了解です」」
エンゲルベルトの殺気に尻込みし、会わずに帰って来た2人のモートン。そしてメリッサは首都に帰郷する。
「…………ど、ドデカイ……」
「あの城がメリッサ様のお住いになる城、ゲーデル城です」
記憶に無かったのか、メリッサはキョロキョロしていた。
「メリッサ様を宜しく頼む」
「勿論です」
「……………父さん!!」
「……エンゲルベルトですよ、メリッサ様……お育て出来て楽しかったですよ………頑張って下さい」
影からメリッサと育ての親、エンゲルベルトを見ていたフェルドマンとゲルニカ。
「…………また会ったな………」
エンゲルベルトはメリッサと別れた後、物陰に隠れていた2人のモートンに話掛けた。
「お帰りなさい、師匠」
「ゲルニカの推薦、ありがとうございます」
「…………メリッサ様は頑固でじゃじゃ馬だ、手なづけてみろ、そうしたら酒でも奢ってやる」
「じゃじゃ馬、大いに結構じゃないですか………美しく神々しい国王に仕上げてみせますよ」
「…………ははははははっ!!マードックといい、お前といい、曲者だな!!楽しみだ!!」
エンゲルベルトが去ると、フェルドマンはゲルニカに言う。
「先に会ってくる。ゲルニカも早く参加してくれ」
「おぅ、仕事調整して早く行くわ」
メリベルの部屋の肖像画でメリッサを想像した。マードックに会うために、王宮の執事見習い迄のし上がったフェルドマンは決してメリベル自身に恋をした訳ではない。水神と初代国王との関係に興味があっただけだった。しかし、メリッサに教育していく内に、ハマっていった、ただの男だった。
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