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ゲルニカの決意
数日後、フェルドマンはゲルニカに呼び出される。
「すまないな、フェルドマン」
「いや………如何した?」
フェルドマンは第1夫とメリッサの執事兼務なので、執事室が用意されており、その補佐でカイエンにも、机が用意されていて、同席していた。夫がメリッサの側に居ない事はないので、この間はオルサガとフェリクスが育児とメリッサの世話をしている。
「お前に相談がある」
「………エリオスの養父になるつもりですか?」
「え!!ゲルニカ本気なの?」
「な、何で分かった!」
「付き合い長いですしねぇ…………エンゲルベルトを尊敬していた君なら、有り得るんじゃないかなぁ、と………先日、彼からも話を聞いてましたしね……メリッサの養父となった経緯等………相談したんですね?」
フェルドマンは予想していて、カイエンは寝耳に水だった。
「…………あぁ……エリオスを育てたい。メリッサの代わりにな」
「いいんですか?まだメリッサは子作りしますよ?」
「それなぁ………羨ましいが、そっちは任せるよ………4人居たらまた子供が出来るかもしれないが、そうしたらまた誰か付き添うのかとかね?」
「そうなったら次はオルサガでしょうね、護衛も兼ねてますから………歴代の王達の育ての親は護衛が出来る者ですし」
「お前は、全く出来ないもんな」
「兵士達程ではないですが、齧ってますよ剣なら」
「フェルドマン」
「何でしょう、カイエン」
寂しそうな顔をするカイエンが、フェルドマンに声を掛けた。
「婚約者選びの時に、兵士も夫にするのは必然的なのか?………ほ、他の兵士には出来ないのか?」
「…………カイエンは、見ず知らずの兵士に養父を頼みたいですか?」
「………そ、それは……」
「息子ですよ、我々の………メリッサの……私はゲルニカなら安心して頼めます……それが10年先迄会えなくなったとしても」
「わ、私だって……出来る事ならゲルニカやオルサガなら安心するけど………」
「決まったな………俺は行くぜ」
落ち込み気味なカイエンを更に落ち込ます訳にはいかないのでゲルニカは打ち切りにする。
「分かりました………メリッサにはいつ言います?」
「……………ギリギリだな……泣かれたくないし」
「オルサガやフェルには伝えておいて下さいよ」
「あぁ、それなら言ってきた………今な……オルサガは驚いてたが、フェルは知ってたらしい………エンゲルベルトから聞いてたんだと…養父だったのに、再び陛下の夫になったんで、訳を聞いたらしい」
「なるほど……フェルはメリッサと幼馴染ですしね………カイエンもいいですね、メリッサにはまだ内密に」
「………私は顔に出てしまいそうだ」
「…………すまないな、カイエン」
そうして、メリッサに内密のまま、エリオスが2歳になる少し前、メリッサはゲルニカから聞かされる。
「…………え?……どういう事?………夫を抜ける、て………」
「エリオスを育てるんだ、俺が」
「……………と、父さ……エンゲルベルト父様みたいにする、て事?」
「話が早いな………そういう事だ」
1周り、子作りの部屋で房事を終え、ゲルニカがメリッサを抱き締めながら、突如として言ったゲルニカ。その言葉の直後、フェルドマンや他の夫達は、その場から離れる。
その空気で、メリッサだけが知らないという事実に直面する。
「………………やだ!………やだやだやだやだやだっ!!」
「メリッサ………」
「何で、ゲルニカが離れるの?………貴方は私の夫でしょう?」
「……………エリオスを任せられない?俺では」
「!!……………うっ…………うぅ………エリオスの父親に徹するのね?」
メリッサがゲルニカにしがみつき、胸の中で泣く。
「………あぁ、立派な王子として育ててみせるさ」
「…………ゲルニカ………」
「メリッサ……戻って来たらまた夫にしてくれるか?」
「…………貴方が浮気しなきゃね」
「浮気したら戻れねぇよ………そういう決まりだから」
ポロポロと涙を溢し、縋り付くメリッサに優しく抱き締めるゲルニカはそのまま、メリッサと夜を過ごした。他の4人の夫達は、翌朝迄顔を見せる事なく姿を消す。フェルドマンがしみじみと夫達に話掛ける。
「今夜は2人にさせてあげましょう」
「今日だけな」
「フェル、心狭い………」
「カイエンだってそうでは?」
「…………そうだけど、ゲルニカが居ないのは寂しく感じる」
「皆同じでしょう………ゲルニカが決断しなければ、俺が行く事になりましたし………」
「4人で今日は酒でも飲みましょうか」
そして、エリオスが2歳になり、ゲルニカは10年間、エリオスを育てる為に旅立って行ったのは、数日後だった。
暫くはメリッサも元気は無く、息子と離れ離れになった寂しさと、ゲルニカが側に居ない事により、他の夫達に慰められながら、10年過ごす事になった。
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