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結論が出ないまま
しおりを挟む那由多は大学を卒業し、建築系の会社に就職した。
実家には戻るつもりはないらしい。
この2年、進展も後展もしないまま、京と一緒に住み、変わらず近親相姦を続けた那由多。
京もまた、心は那由多に向きながら、那由多に知られないまま、康太とも関係が続いていた。
ここまで京は優柔不断なのか、と思われても康太が諦めてくれないのだ。
未だに写真を消去せず、ばら撒く事もなく、京を求める康太もまた、諦めていない。
兄妹である事も内密にしてくれている意図も分からないまま、康太の嫉妬を受入れている京は、どうしていいか結論が全く出なかった。
「行ってらっしゃい、那由多。」
「行ってくる………今日会社の飲み会あるから帰り遅くなる。」
「分かった、飲み過ぎないでね。」
「あぁ。」
那由多と京はまるで夫婦のようだ。
キスを軽く交わし、那由多を見送る京。
見送った後は、京が大学に行く。
家事を済ませ、講義に間に合うようにマンションを出る京。
電車を乗り継ぎ大学に着くと、京に近付きたい男達の眼差しを浴びる。
20歳を迎えた頃から、薬学部だけでなく、他の部の学生からも口説かれるようになったのだ。
1年、2年、と京の側には那由多か康太が近くに居る事が多く、牽制になっていたが、那由多は今は就職し、康太は大学院に進み、近付きやすくなったら、というのもある。
そして、色気も増し更に男達を煽るのだ。
「おはよ、京。」
「おはよう、桜。」
「相変わらず、色っぽいわねお姉さん。」
「………止めてよ、色気なんてないから。」
「気付かないのは本人だけ、てどうなんだろね?これで白衣なんて着た姿見せられちゃ、もう爆弾投下よ?」
「恋愛してるからねぇ……。」
「……ラブラブ過ぎてつまらんわ、別れ話もないだろうなぁ。」
「無いなぁ、全然。私、那由多一筋だから。」
「…………はいはい。」
京と桜の会話も盗み聞きする周囲の男達も多いが、京の心が移らない事にがっかりさせられる男達は、京に話掛ける勇気さえも遮り、高嶺の花になった京。
講義の座る場所さえも、男が取り囲み、研究グループを決めれば、男達が集う。
白衣を来て研究室に入ればまた萌え要素で、その噂が噂を呼び、京に会いに来る学生も多かった。
「今日のランチは何にしよっかな♫」
「あ、朝比奈さん、奢るよ!」
「俺に奢らせて!」
しかし、京はそんな男達に微笑み一言言い放つ。
「結構です。」
「…………そうそう、京は男に媚びないんだから、なぁ?京。」
「康太……。」
丁度、その光景を目撃していたのか、京が大学内のカフェに来る時間帯を見計らったのかは分からないが、大学院生になった康太が間に入る。
学生の中には、康太と京が付き合ってる、と思っている者も居るかもしれない。
それだけ、2人が自然体で話すのを見られているからなのだろう。
「これから飯?」
「うん、康太は?」
「俺も今から………ガッツリ食べてぇなぁ……え?野菜ばっかじゃん、京。」
「………うん、今日は夜適当に済ますから、今日1日分の野菜をガッツリ食べるの。」
「……………夜、那由多は?」
「……………飲み会。」
京は、来たな?という顔をする。
こういう時は康太に会いたくない京なのだ。
チラッと康太を見上げると、ニタニタと笑う。
(……………今日、来るだろ?)
(…………断りたい、て言えると思うの?)
(じゃ、決まり。)
(こういう時は会いたくなかったなぁ………。)
(京のスケジュールは一応把握してるんでね。)
(把握しないで。)
小さな声でボソボソと会話しながら、席に付くと、そのまま2人で食事をする。
こういうのを見ると、京を狙う男達は間に入れない。
「肉も食えよ、俺の一切れやる。」
「要らないわよ。一応私のにも肉入ってるし。」
「ささ身じゃねぇか。」
「タンパク源にはいいのよ、ヘルシーだし。」
「薬学部だからか、健康的だな。」
「太りたくないですから。」
♫♫♫
「私のスマホだ。…………もしもし?…………うん、無くなったの?分かった、じゃあいつもの時間ぐらいに帰るのね?は~い。」
「那由多?」
「そう、て事で今日はナシね。」
「ちっ!嬉しそうな顔しやがって。」
「あ~あ、無くなるんだったら、もう少し肉食べれば良かった………夜にも野菜を用意しなきゃ……。」
「食べる?肉。」
康太が食べているカツカレーのカツをフォークで刺し、京に食べさせようとする。
しかし、京は別のカツを箸で取る。
「ありがとう。」
「………………揺るがねぇな。」
「…………カツ美味しいわぁ。」
揺るがない訳はない。
日々迷っている。
康太に靡けば楽だろう、と頭では分かってるが呪縛のように那由多に惹かれる京にとって、那由多は自分の一部なのだ。
「じゃ、私行くね。」
「………京。」
食べ終わった京がトレイを持つその手を掴む康太。
康太も食べ終わっていたが、京と話す為に待っていた。
「ん?何?」
「今日が無理なら明日は?昼間出てこれないか?」
「……………分かんない、買い物したいし、レポートもあるし……那由多と出掛けるかもしれないし。」
翌日は土曜日。
京も那由多と過ごしたい。
「………京、好きだ。」
「………知ってる。」
「頼む、限界なんだ。」
「………………離して。」
「俺がばら撒きたくないのは分かってるだろ?」
「…………うん。」
「時間取ってくれ。」
「…………明日3時間ぐらいでいい?」
「勿論だ。」
康太は手を離し、先にテーブルから離れて行った。
京は掴まれた手に触れて固まる。
(……………如何すればいいの?康太に惹かれてる自分がいる。那由多!繋ぎ止めて!)
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