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皇太子にバレたアリシアの素
しおりを挟む「リュカリオン皇太子殿下、ご挨拶申し上げます。皇太子邸前に陣取るのは、アードラ国アルフレッド王子の侍従ロバート。彼が無礼な事をしている事は承知しております。申し訳ありません。」
「アリシア王女、皇太子邸に入る時、声を掛けたから承知しています。彼も入室許可をしてもいいのだが……。」
「いいえ!!絶対に絶対に要りません!!わたくしの憩いの場をロバートに取られたくありません!!」
「……………。」
リュカリオンもアリシアの言葉に驚いたようで、唖然としてしまった。
先日のアリシアが謁見の間で見せた口調と儚けの態度と真逆だったからだろう。
ナターシャが、リュカリオンの耳元にコソッと囁くと、リュカリオンは納得したような表情をした。
「なるほど……アリシア王女、それなら許可を出さないでおこう。妃の居るこの皇太子邸を憩いの場にお使い下さい。………ナターシャ、着替えてくるよ。」
「はい。」
ナターシャは笑顔でリュカリオンを送り出すと、ソファに戻ってくる。
「わぁ………ナターシャお姉様と皇太子殿下、絵になりますわぁ……。」
「ナターシャ、何を耳打ちしたんだ?リュカに。」
「わたくしはただ、『監視されている気がして嫌なんですって』と言っただけですわ。全部言わなくとも、理解してくれていると思ってますから。」
「わ、私もそうなれるかな……伴侶と。」
「ラメイラ、トーマス殿下と前向きに考えますの?」
「うん……トーマスに望まれてるなら、留学期間ギリギリ迄考えたいな、て。」
あぐらをかき、頭を毟り搔くラメイラに、いつもの姿だと知っているナターシャは平然と聞いた。
「ラメイラお姉様………凄い格好……。」
「アリシア様は真似しなくて良いのですよ?」
「大丈夫です、わたくしはそれは真似しません。」
(そこ迄は、人前で見せたいとは思わないわ。)
ナターシャから刺繍の手ほどきを受けたアリシアは満面の笑顔で皇太子邸をラメイラと出て来ると、ロバートが駆け寄ってくる。
「アリシア様!!私はアリシア様の護衛ですよ!何故ご一緒出来ないのです!!」
皇太子邸入り口には数人の衛兵が常に待機している事で、皇太子邸内に護衛は必要ない。
それでも護衛すると豪語するこの男。
皇太子邸に待機する衛兵達は、ロバートの態度に冷ややかな目を向けている。
おそらく、皇太子にも願い出たというのか………。
(皇太子殿下は何も仰る事は無かったけれど、詰め寄ってないでしょうね……。)
「ロバート、まさか皇太子殿下に失礼な事をお願いしたりしなかったでしょうね?」
「私は護衛ですから、お願いはしましたが?皇太子殿下の許可があれば入れるようでしたので。」
アリシアは深々と溜息を付く。
「それで?何てお返事頂いたの?」
「………護衛だからと言って、私が許可した者でなければ貴族であろうとも、妃の生活を邪魔する可能性のある者は如何なる理由があっても許可はしない……と。………寛大な方かと思っていたのに………。」
「何だと!!」
「殿下を侮辱するような言葉は許さん!!」
(え!!ちょっと!!この馬鹿!!)
ブツブツとロバートがリュカリオンへの侮辱と思われ兼ねない事をボヤいた為、衛兵達の怒りを受ける。
「ロバート、それには理由があるんだ!仕方ないんだよ!」
ラメイラがロバートを庇いながら、衛兵を留ませるように、両手を広げた。
「衛兵は警備を……訳は後でロバートに説明するし、ロバートはその理由を知れば納得するだろうから、今後そんな言葉が出ない………と思うから!!ね、ここは私に免じて怒りを抑えてくれ!!彼はアードラからの客人!分かるだろ?あなた達なら!!」
「ラ、ラメイラ様が仰るなら………。」
衛兵と客人扱いの兵士をモメさせてはいけない事は、衛兵達も分かっているのだ。
ロバートは分かっていないようだけど。
ラメイラはその場を抑え、早々と皇女宮にアリシアとロバートを連れて行き、ナターシャがリュカリオンとの婚姻が決まってから結婚して暫くの間に起きた、命迄狙われた事がある事を説明する。
「ナターシャお姉様………そんな事が……。」
「ラメイラ様、分かりました………。そういう理由で入れないのなら仕方ありません。間に入って頂き、ありがとうございました。」
意外にも素直にラメイラの説明に納得したロバートを見たアリシアは驚く。
ロバートも兵士としての役割や君主であるアルフレッドの立場と被らせたのか、ラメイラに頭を下げたのを見たからだった。
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